If「負けてしまったなぁ」
オレンジの空を見上げぽつりと呟く。
10年間頂き続けた王冠が地に落ち、背負っていた重たいマントも、もう俺の物ではなくなった。
ここ数日間で起きたことは紛れもない現実で、後始末の慌ただしさが去った後ダンデに残されたのはどう扱えば良いか分からない大量の時間だけだった。
今までずっと走り続けていた。
ずっとずっと、ひたすらに前だけを見つめて。
沢山の人が俺のもとを去り、残ったキバナでさえ
俺が負けてしまったばかりにあの日から新しいチャンピオンのライバルになってしまうのだろう。
「嫌だなぁ……。キバナ君だけはずっと俺の、俺だけのライバルでいて欲しかったのに」
もしも、あの時負けなければ
もしも、あの時ローズさんにしたがっていれば
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