RELAX~スタベアオンリー・エアスケブ御礼SS~ スタイナーは風呂というものには無縁に等しい半生だった。
アレクサンドリア再建した今でこそ、城の従者も利用できる大浴場があるものの──世界各国の復興支援をしたジェノムたちとリンドブルム公国の技術の賜物である──。
護衛や見回りに勤しむ日々だ。鎧を脱ぎ素肌を晒すのは、簡単に清拭し、寝るときくらいのものだった。
かつて星の命運を懸けた旅路には、秘湯に巡り合うこともあったが、そのときもスタイナーは『見張りが必要である!』と固辞しているのだ。
だから、スタイナーには風呂というものは馴染みがない習慣だった。
──ベアトリクスと恋仲になるまでは。
※
きっかけは、ひょんなことだった。
「今晩、貴方の時間を、私に下さいませんか」
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