図書館燃えてない藤秋ちゃん僕たちが通う高校の裏には図書館があった。
図書館と言ってもとっくの昔に閉鎖され、大袈裟な門の柱に書かれた「帝国図書館」という文字だけがそれが図書館であった事をしてしている、大きなレンガ造りの建物である。
その廃図書館に幽霊が出るという噂を、ある日友人である花袋から聞いたのだ。
「それは興味深いね……」
「だろ?」
「うん。どんな人なんだろう?」
「うーん、黒髪で白い和服姿らしいけど……きっと美少女に違いない!」
「美少女かぁ……」
僕は目を細めて花袋を見た。そう言うことを平気で言うところが彼の良さでもあり悪さでもあるんだけど……。彼は僕の目線を特に気にする様子もなく話し続ける。
幽霊の見た目はともかく廃墟に現れる幽霊自体には興味がある。だって僕らはまだ見たことがないんだから。もし美少女ならば見てみたいと思うし、そうでないにしてもそんな人がなぜ廃墟に現れたのか知りたいものだよね。それにしても……。
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