最初の冬の日 鼻先を張り詰めた空気が掠めた。そこに冬の始まりを嗅ぎ取って、ジャックは思案する。
今夜あたり、気温が下がって雪が降るかもしれない。
ジャックの故郷に比べると頻度はかなり落ちるが、この輝石の国の首都でも冬の間雪が降ることは珍しくない。
あたりを過ぎていくいつもの光景を見ながら、思考を巡らせていく。
デュースのやつ、冬支度はできているのだろうか。
腕のふりや呼吸を意識しランニングを継続しつつ、意識は同居人のことへと移っていく。
デュースがこの国に転勤となり、住居を共にするようになってから数ヶ月。気心の知れた仲であったし、価値観も重なるところが多い。幸い、大きな衝突はなく日々を重ねてきた。
ただ、彼の仕事である魔法執行官はかなりの激務である。
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