【翻訳】乱序のチャミュエル(7日目)特別な設定を発見。
追加のバックアップを起動...完了。
生存者を検索中...残存率1.03779%、残存率が高すぎるため、人為的な削除を許可。
損傷箇所の特定が完了...
リアルタイムデータの読み取りを開始...
再ログインの位置決め中...
心拍数を取得中...
安全領域を設定、リソースの読み取りを待機...
システム準備完了、時間設定は7日に設定。
いつでも起動可能。
「世界再構築...開始」
悲鳴と引き裂く音、硝煙と焦げた匂いが混ざり合い、まるで世界全体が轟音をたてて沈んでいくようだった。
シルタ】
見つけた、あと1人。
遠くで知らない声が聞こえ、足音が響き渡っているが、はっきりと聞こえなかった。
ここはどこで、私は一体...だれ?
ドカーン!
???】
...危ない!
突然、何者かが現れ、爆風から私を守ってくれた。
シルタ】
2人いるようだな。
???】
...大丈夫かい?
見知らぬ人に暗い路地に引きずり込まれ、周りには混沌とした足音が響いていた。
深い闇の中からは何日も腐敗した酸っぱい臭いと濃厚な血の匂いが漂ってくる。
見知らぬ人は私を影に隠して守るようにして路地の入口の方を警戒している。
???】
しっ……まだ動かないで。
体が壁に押し付けられ、冷たい壁越しに激しい鼓動が聞こえてくる。
???】
時間がない、手を握って、早く逃げるよ!
砂利の散らばった階段を下る。彼の後ろからは常に爆発音が聞こえ、何度か撃たれそうになった。
階段には多くの障害物があり、崩れた壁だけでなく倒れた人々の残骸もあった。濃厚な血と充満した腐った臭いに吐き気を催す。
道の先には黒い大きな穴があり、そこから冷たい風が吹き出している。
???】
こっちだ、彼らを避けるために下に降りよう!
私は考える余裕もなく、彼に続いてその洞窟に隠れた。
後ろから、そのグループの声が角を曲がって近づいてくる。
シルタ】
...ちっ。
シルタ】
ヴィアティンは負傷しているから、遠くまで逃げられないだろう。人員を旧市街に分散させ、近くの薬局や地下医療施設を監視しろ。
異測会メンバー】
了解しました。
シルタ】
ここはすべてチェック済みか?
異測会メンバー】
はい、チェック済みでです。全滅させました。
シルタ】
よし、引き上げるぞ。後始末はハゲワシに任せる。
シルタ】
厳重に警戒し、彼らを見つけたらすぐに私に連絡しろ。
彼らが去ったのを確認し、私たちは洞窟の外に出た。
私が質問をしようとすると、その見知らぬ人は胸を押さえて突然地面に座り込んでしまった。
ヴィアティン】
……はぁ…はぁ…
ヴィアティン】
よし、ここでしばらく休もう…怪我のせいで今は歩けそうにない。
ヴィアティン】
心配しないで、大した傷じゃないから。ただ、ちょっと体が弱ってるだけだから…けほっ。
ヴィアティン】
これは君のものだ。さっき逃げるときに君のそ側に落ちていたから。
ヴィアティン】
この端末に表示されているのが君の名前?
(おそらく)
(覚えてない)
ヴィアティン】
君も記憶を失っているのかい?
ヴィアティン】
それは偶然だね。実は俺もなんだ。
ヴィアティン】
ただ、俺の場合は君よりも複雑かもしれないね。どう言えばいいのか分からないけど、俺は俺自身ではないんだ。
(あなたは…あなたではない?)
彼は手を伸ばし、少し戸惑いながらそれを見つめ、慣れていない様子で手を軽く握り締めた。
ヴィアティン】
信じられないかもしれないけど、今使っている体と脳内の記憶は自分自身のものじゃなく、俺は……何か別のものだと思う。けど俺自身のことは思い出せない。
ヴィアティン】
でも少なくとも、君よりは多く知っているはずだよ。
(あなたは誰?)
ヴィアティン】
この体の名前はヴィアティンというみたいだから、とりあえずはそう呼んでくれ。
ヴィアティン】
ヴィアティンは極度の宗教狂信者で、数週間前に部下たちと一緒に他の都市からこの都市にやって来て、ある目的を果たすために儀式を行った。
ヴィアティン】
ヴィアティンが所属する組織名は「黒棺」。
(じゃあ私は誰?)
ヴィアティン】
分からない……でも俺たちは「黒棺」の一員ではないはずだよ。ヴィアティンの記憶には君や俺の姿はないから。
(私たちを追っている人は誰?)
ヴィアティン】
「異測会」、通称「異常観測協会」……世界中の異常現象を研究し、危険人物を追い詰めて殺す過激派集団……儀式は彼らによって中断された。
ヴィアティン】
それと、ブラックゲートの出現によって、世界には神器使いと呼ばれる、強力な力を持つ人々が現れた。ヴィアティン……今の俺も、その神器使いの一人だ。
ヴィアティン】
ここに留まり続けたら、いつかは異測会に捕まるだろう。俺たちはすぐにでも助けを求めに行く必要がある。俺たちが行ける場所は……うーん……
ヴィアティン】
……聖……聖星教会、そうだ、この名前だ。
一瞬、脳裏に断片的な記憶がよぎった。
聖星教会……この名前はなんとなく知ってる気がする。
しかし具体的な内容は何も思い出せず、私はは首を振るしかなかった。
ヴィアティン】
聖星教会は宗教団体で、自分たちの信仰を広めようとしているけど、比較的穏やかな方向性で信者も多い。
ヴィアティン】
異測会は聖星教会と何も関係がないけれど、黒棺と聖星教会は教義とかの問題で密かに対立している。
ヴィアティン】
少なくとも、ヴィアティンの記憶の中の黒棺の情報を提供する代わりに「証人保護」をしてもらうによう頼むことができると思う。
ヴィアティン】
心配いらない、もしそれでも交渉が必要なら、俺が…
ヴィアティン】
うぐっ!
(どうしたの?)
ヴィアティン】
...はぁ、いや、大丈夫。ただ、この記憶は俺のものではないから、深く思い出そうとすると頭が痛むんだ。
ヴィアティン】
じゃあ、出発しようか。俺も少し怪我をしたけれど、そんな危険な場所を一人で行かせるなんてもっと心配だからね。
ヴィアティン】
心配しないで、もし俺に悪意があったら、彼らの追跡から君を逃がしてあげることはなかったから。今は共通の目的を持ってる。
ヴィアティン】
俺が君を守る。ついてきて、俺のそばから離れるなよ。
『目標変更』
聖星教会に潜入して助けを求める。
『手帳』
旧市街でヴィアティンという謎の人物と出会い、共に異測会に追われることととなった。
生き延びるため、ヴィアティンの言う通り、聖星教会に忍び込んで助けを求めよう!
「秘密の通路を探す・1」
毎晩騒がしいベイシティだが、朝になってもまるで眠り続けているかのようで、通りには人影がほぼみられない。
ヴィアティン】
人が少ないと逆に行動がしにくいな…
ヴィアティン】
この身体の記憶によると、黒棺は複雑な地下空間を利用して、交界都市全体を自由に移動できる秘密の通路を作り上げたみたいだ。
ヴィアティン】
少しでも異変があればすぐ逃げれる…それが異測会が彼らを完全に根絶できなかった理由だろうね。
ヴィアティン】
ベイシティみたいな人の多い場所は、彼らにとって最高の隠れ家だ。
ヴィアティン】
暗闇に住み、華やかな灯火の影をうろつくネズミ…まさに黒棺の身分にお似合いだね。
ヴィアティン】
それにしても、この体はとても面白い場所を訪れたみたいだ。
ヴィアティン】
ことが落ち着いたら、〈指揮使い〉を連れて行ってあげるよ。
ヴィアティン】
もちろん、〈指揮使い〉がそういう派手な場所が好きじゃないなら断ってもいい。
○
»1(ヴィアティンはそこは好き?)
ヴィアティン】
え? 俺は……
ヴィアティン】
うーん……記憶が曖昧だけど、どの場所も俺にとってはあまり変わらないかな。時間があるときは、家で料理したり、ドリンクを作ったりするのが好きだよ。
ヴィアティン】
機会があれば、〈指揮使い〉にも振る舞いたいな。俺に残された唯一の記憶を忘れたくないからね。
»2(なんとなく良くない場所だと感じる)
ヴィアティン】
変わった場所…?
ヴィアティン】
そういうことか。でもそうだね、〈指揮使い〉が思ってるような場所とは違うかな。
ヴィアティン】
俺が〈指揮使い〉をあんな場所に連れて行くわけがないよ……元の「ヴィアティン」は結構そういう場所に行ってたみたいだけど。
ヴィアティン】
それとも…〈指揮使い〉は実はそういう場所にかなり興味があったりするの?それなら、案内してあげるけど。
○
ヴィアティン】
あ、この先が黒棺の隠し通路の入り口だ。異測会のやつらに追いつかれる前に、早く入ろう。
「秘密の通路を探す・2」
ヴィアティンと一緒にパーラーの奥に座っていると、街でうろついていた異測会のメンバーたちが、時折店に目を向けていた。
ヴィアティン】
緊張しなくても大丈夫だよ、ただの遊びに来た学生だと思えばいい。
ヴィアティン】
それにここはほぼ死角だから、彼らが俺たちを見つける可能性は低い……
(もし彼らが入ってきたらどうしよう?)
ヴィアティン】
もし入ってきたら、そこから出よう――
ヴィアティンは左の方を見上げ、その視線の先へ目を向けると、小さな隠しドアがあった。周りには様々な宣伝ポスターが貼られてため、一目では見つけるのは難しかった。
ヴィアティン】
裏通りに続いてる出口のはずだから、そこから出て路地を抜ければショッピングセンターに行ける。異能会の人たちは基本的に人の多い場所は好きじゃないから、そこに行けば大丈夫だろう。
ヴィアティン】
もちろん、これは予備プランだ。怖がらなくていい、今はまだ安全だから。
ヴィアティンは私にウィンクをすると、目の前のアイスクリームを一口食べ、店内を平然とした様子で見回した。
ヴィアティン】
〈指揮使い〉、俺の方に寄って――周りを見ないで。
(彼らが入ってきた?)
(すぐに出た方がいい?)
ヴィアティン】
大丈夫、彼らはドアの近くにいただけで、こっちを見てなかったから。
彼は手を伸ばして私を影で完全に守り、薄く曇った表情で外の方を警戒している。
ヴィアティン】
……気が抜けないな。
いつもとは違い、口元から溢れる声は否が応でも危険を感じさせ、まるで地獄の亀裂から発せられたかのようだった。
ヴィアティン】
よし、彼らはいなくなったよ。
警戒を緩めると、ヴィアティンは笑顔で振り向いてきた。
ヴィアティン】
っ…………!!!
(どうした?)
ヴィアティン】
大丈夫……突然ちょっとめまいがして……
ヴィアティンは頭を横に振り、和らげようとした。
ヴィアティン】
……お会計を済ませて出ようか。異測会の人たちはすでに他の場所に移動したみたいだし。
ヴィアティン】
ここを出て右に曲がってしばらく行くと黒棺の秘密通路の入口がある。
店を出るまでヴィアティンは頭を押さえており、とても疲れているように見えた。
»聖星教会に無事到着した
「聖星の庇護」
セス】
こっちこっち〜すまないねぇ、今日は教会が休みでさ。しかし、万人が尊敬する司祭セス様はお前たちの疑問を解決するために手伝うと決めた!
セス】
けど、お前たちのそのボロボロの姿からすると、祈りや懺悔のために来たってわけじゃなさそうだな。
(助けてください…!)
(何者かに追われてます!)
セス】
どうやらとても緊急な事情のようだなぁ。じゃあ、まずは中に入って話をするか。
セス】
つまり…お前たちは、異測会に追われている記憶喪失の二人で、そのうちの一人は自分が黒棺の人間だと思い込んでいるんでるってわけか…ああ、こりゃあ大変なことに巻き込まれたねぇ。
セス】
だが、ここに来たのは正解だな。まずは、自己紹介をしよう。俺の名前はセス、聖星教会で最も人気のある模範的な神官…
セス】
こほん、まあそんな焦るな。人を探して、解決策を考えてやるから——
お茶を飲んで、少しは落ち着けよ。
セスは隅の方へ行き、電話をかけ始めた。
セス】
もしもし……繋がってる?元気か、セレス?
セレス】
あなたはめったに電話をしてこないはず、何かあったのですか?
セス】
もちろん、真面目な用事だよ。あんたも他人に迷惑かけられるのは嫌だろうから、俺も十分気遣ってるだろう?
セレス】
……。
セス】
こほんこほん、話を本題に戻そう。黒棺と異測会の情報が欲しいんだ。今二人が追われてここに避難してる。
セレス】
異測会であろうと黒棺であろうと、彼らは世界の影で活動しているだけですから、光のある場所まで追いかけてくることはありません。彼らをここに留まらさせば、安全でしょう。
セレス】
ですが、追われている人たちの正体は聞きましたか?
セス】
聞いたよ、一人は純粋な記憶喪失、もう一人は記憶喪失で自分が別の人物になったと思い込んでいる……“ヴィアティン”っていう名前だ。
セレス】
…分かりました、上層部に報告して人員を派遣してもらいましょう。
セレス】
セス、彼らは記憶を失っているのですから、行動には十分気を付けてください。
セス】ああ、やっぱりセレスは頼りになるなぁ。あとは情報を忘れずに俺に伝えてくれよ!
セス】
よし、これでよしっと。でもお連れさんの状態はあまりよくないようだねぇ……。
ヴィアティン】
…………俺は……
セス】
えっと、ちょっとどいてくれるか?こいつの状態を診てみるから…
セスはヴィアティンの近くに行き、手で彼のまぶたを開ける。
ヴィアティン】
うぅ……やめろ……
セス】
うーん……
そして、彼の怪我をした腕に触れる。
セス】
外傷のせいじゃあないみたいだが、彼の意識はかなり混乱しているな。恐らく記憶の問題だろうすぐに部屋に連れていって休ませよう。
セス】
よいしょっと——
セスはヴィアティンを楽々と持ち上げた。
セス】
さあ、中の部屋に行くぞ、お前も来いよ、〈指揮使い〉。荷物も忘れずにな。
『目標変更』地域解放
ヴィアティンが回復するまで、引き続きこの地域を解放していこう!
『手帳』
聖星教会に着き赛斯神官に助けられ、ひとまずは安全だろう。
ヴィアティンの状態はかなり悪そうだから、完全に回復するまで側で付き添おう。
»聖星教会にたどり着けなかった
夜が更けても、私たちはまだ聖星教会にたどり着けていなかった。一日中異測会に追跡されたため、ヴィアティンの体はますます弱っていた。
ヴィアティン】
は…はぁ…
(大丈夫?)
(休憩したほうがいい?)
ヴィアティン】
聖星教会に…早く…行かないと…けほっ…けほっ…
女性の声】
もう遅い。
聞き慣れた冷たい声が背後から聞こえた。
シルタ】
黒棺の奴らがまさか聖星教会に助けを求めるとは、大したものだ。
シルタ】
私の部下がお前たちの居場所を突き止めるのに時間がかかったのも無理はない。
ヴィアティン】
…………
シルタ】
小細工をしようとは思わないことだ。今は昼間とは違って、手を出せる。お前たちは勝てない。
ヴィアティン】
〈指揮使い〉、早く逃げてくれ……
シルタ】
無駄だ。
異測会の女が手を叩くと、周りには武器を持った人たちが現れ、私たちを包囲した。
シルタ】
闇から来たものは、闇に戻るべきだ。
シルタ】
悔いがあるなら、お前たちが生まれたこと自体を嘆くんだな。
銃弾や刃物が襲ってきたが、ヴィアティンは神器でそれらをすべて防いだ。しかし、もはや限界に近いのか彼は激しく咳き込んでいる。
ヴィアティン】
彼を逃がしてくれ……俺が君たちについてくから……
シルタ】
今のお前に、交渉する余地があると思っているのか?
(うっ!)
視界の死角から何かの武器が飛び出し、猛禽の爪のように私の肉を引き裂いた。胸に一瞬の激痛を感じた後、異様なな虚無感と歪み感が襲った。
目の前が鮮血で染まり、死ぬことに対する恐怖に直面しても、側にいたヴィアティンが放つ殺気はそれ以上に恐ろしかった。
意識が闇に沈む前に、異界の深淵から恐ろしい咆哮を聞いたような気がした——
「安らかに眠りなさい。次の花が咲く時、また会いましょう。」
花園の中では、しぼんで枯れた花びらが散って、深紅の血のような液体が滲んでいた。