くりんば梅雨時期は、晴れていても雨が降っていてもじめじめとし、蒸し暑い。主が熱中症対策にとクーラーを設置してくれたが、経費の都合上大広間に3台が限界だった。後は各部屋に扇風機を購入。扇風機も弱から強へと様々な風を設定出来るが、それでも自分に当たるのは生ぬるい風だった。
体中、汗でびっしょりし思わず布と小豆色の長袖のジャージを脱いだ。しかし誰にも見られたくない為、ほぼ全振りが居るであろう大広間には向かわず、執務室の付近の縁側へ向かう。
ーーーチリン チリン
暑がりの主がどうやら、少しでも冷を感じたいが為に、倉庫から引っ張り出してきたらしい。金魚鉢をモチーフにした風鈴だった。
今日は誰もここに居ないようだ。ここで少し涼んで、休息を取ろう。
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