兎ディルガイバニーネタ進歩「なぁ、ディルック……そろそろこの鎖を大剣で壊して欲しいんだが……」
「ガイア、自分が何をしているかわかっているのか?」
地の底を唸るような声が部屋に響き、ビクリと震えるガイア。何をしているかは義兄に問い返したいところなのだが……騎士団の要、頼れる庶務長、孫を預けても心配ないーーそう言われるくらいに信頼も実力もある男は今ーー
逆バニーで義兄の前でベットに放り出されていた。
遡ること数時間前
「(……なんともまぁ悪趣味なところで取引するもんだ……アンバーやジンに関わらせなくて正解だ)」
ファデュイとモンドの一部の組織が接触を図ったかもしれないという情報を聞きつけたガイアはその巧みな情報網で会合の場所まで突き止めた。
突き止めたまではよかったのだがーー
「(酷い匂いだな)」
酒、タバコ、得体の知れない薬の匂いが地下のクラブに充満し、あたりは男と女が……いや、ここでは性別など関係なく人間が睦み合う。キャストと分かれば客が否応なしに声をかけるようなところで。
「(本当にこんな姿騎士団の連中に見せられない)」
いくら相手の油断を誘うためとは言え、まさか一生のうちでこんな服を着る羽目になるとは思わなかったとガイアは酒を運ぶ手を止め、物陰でため息をつく。そう、潜入場所はいわゆる如何わしいにもほどがある店。今ガイアが着ている衣装は俗に言う逆バニーと呼ばれるもので黒く長い手袋のように見える部分的に上半身が見えるように切り取られたシャツ。そしてそのシャツに繋がっている脚部だけのストッキング以外は胸と局部にハートのニップレスをつけているだけという魅惑的な状態なのだ。
「(慣れないな……すーすーする……)
ふとした拍子で外れてしまいそうなニップレスをチラリと横目で見つつ、それというのもファデュイと今回追っているターゲットは何故こんなところを選んだのか。それは接待も兼ねているだろうし、こんなところは常連しか入れない。つまり店側にとってもある程度信用のある人間しか出入りできないので機密性が保持できるという理由もわからなくはない。何せ通常のフロアは音楽をながし、照明を暗くして雰囲気を出しているのだから人の声が聞きづらい状態なのだ。勿論声を外部に漏らさない目的もある。その奥の応接室など密会が漏れるわけもない。意外と厳重な警備にどうする?と考えた時にキャストとして入り込むしかないと考えたのだ。幸いまだ情報を掴んでいたのがガイアだけだったこと。店は男女問わず見目麗しいものなら人手不足なので即採用するという穴をつけたのはよかったのだ。