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    tp0_g4

    @tp0_g4

    よんきしの絵とか文の落書き&練習置き場
    ※カプはランジクとヴェパシのみ

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    ランジク

    12/13:子供の頃の思い出 魔物討伐の依頼を無事に終え、一行は依頼先の街の人々からお礼として貰った名産品の数々を持ち帰り、グランサイファーでささやかな慰労会を開いていた。開始した時間が遅かったこともあり、討伐に参加した、比較的年齢が低い団員達は疲れもあってウツラウツラと揺れ始める。瞼を完全に閉じてしまう前に寝室に戻った者もいたが、間に合わずに夢の中へ入った者達は大人達に抱えられて自室のベッドへと帰っていった。
     子供達が寝た後も、騒ぎ過ぎない程度に宴は続いていた。一方で、ジークフリートは程々に飲んだ酒の熱を冷ます為に甲板の方へ向かうと、ランスロットも付いて歩いた。
    「先程は手伝わせてすまなかったな」
     ジークフリートからの労りの理由について思い起こすと、子供たちを寝室に運ぶ手伝いをしたことについてだとランスロットは気付く。
    「いえ全然、大したことはしていませんよ」
     少し前のこと、宴の最中にランスロットは誰かに呼ばれた気配を感じて周囲を見渡した。すると、ソファーに座っていたジークフリートと目が合い、呼んだのは彼だと理解しすぐさま駆け寄る。近くに行くと、ジークフリートの傍らではヤイアが寝息を立てており、膝の上ではフュンフが仰向けになって豪快に眠っていた。身動きが取れなくなっていた彼を助けた流れで、ランスロットは二人を寝室に運ぶ手伝いをしたのだった。
    「それに、俺も小さい頃はよくああやって親に運んでもらってましたし」
     父と母が、眠る我が子を運んでいた時の感情はこれと似たものだったのだろうか。思い出すと可笑しさと愛おしさが入り混じったような不思議な気持ちになっていた。その理由の当事者であることに全く気付かないジークフリートは、ほう、とランスロットの話に興味を持つ。
    「やはり、お前は子供の頃から真面目だったのか?」
    「そうでもありませんよ。父の知り合いの家に行った時、退屈のあまり寝たふりをして……」
    「ふむ、それで?」
    「……これ以上はその、忘れてしまったので……」
     その話が、帰り道に父親の背中の寝心地の良さで本当に眠った結果、夕方に会う約束をしていた幼いヴェインを酷く心配させ泣かせてしまって終わる内容だと気付き、咄嗟に忘れたふりをしてしまった。大の大人が、好きな人の前で背伸びをしようとしている事実を痛感し、ランスロットは言い表せない羞恥に駆られる。
     そうか、と返ってきた言葉でランスロットが油断していると、ジークフリートは話を続けた。
    「お前が話してくれないなら、ヴェインに聞くとしよう」
    「ジ、ジークフリートさん!」
     はは、と揶揄うように軽く笑うジークフリートにランスロットは何の文句も言えなくなった。それと同時に、もう少しだけその顔を見ていたいという欲が出たので、ランスロットは必死で他の話題で誤魔化そうと子供の頃の記憶を手繰り寄せる。
     出来るだけ、恥ずかしくない思い出話を。
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