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    フィンチ

    @canaria_finch

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    フィンチ

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    プチオンリーで無料配布した現パロ🔗🎭

    #Sonnyban
    sonnyban

    カレの攻略法 吊り目がちなオッドアイに柔らかそうな茶色い猫っ毛。友人の家でたった一度顔を合わせただけのこの少年を、バイト先で見かけるようになったのは働き始めて半年ほど経った頃のこと。始めのうちはシフトの関係でたまたま遭遇しなかっただけとも考えたが、予想に反して週に2,3度というそれなりの頻度で彼はサニーが働くゲームセンターに姿を見せていた。
     お目当てはどうやら最新のリズムゲームのようで、確かにあの筐体は設置店も限られていたはずだから、それなら急に見かけるようになったことにも合点がいく。ランキング画面に名前が載る程の実力者であるから腕前もなかなかのもの。ここまでなら常連客がひとり増えたくらいで終わる話なのだが、彼がやって来る度にサニーには気まずく感じてしまう理由があった。知り合いが来たとかならともかく、一度挨拶したきりの友人の弟なんてほぼほぼ他人のはずだというのに。
     ひとつは、やたらと家族写真を見せられたせいで一方的に知っているような状況になっているから。それこそ、遠目からでもすぐに分かったほど。だがそれ以上の理由がもうひとつ。
    「うぇ〜……AP逃した!」
    「えー、でもフルコンじゃん。さっすがアルにゃん!」
     悔しそうにリザルト画面を見る彼の隣には、金髪にピンクのメッシュを入れた華やかな見た目の少女。友人にも高校生カップルにも見えるふたりだが、つい先日彼が連れていたのは全くタイプの違う黒髪の美人だった。その前も、更にその前も、見る度に違う相手が隣りにいる。これはいっそ、デート現場に居合わせてしまうよりも気まずい。いや、別にそれでトラブルになってもいないし、親しい仲でもないのに気にする方がおかしな話ではあるのだが。
     目で追ってしまわないよう、見かければさり気なく別のコーナーに移動してみたりもしたが狭い店内で取れる距離などたかが知れていて、そうしたところで今度は時折聞こえてくる声が気になって仕方がなかった。こんなの盗み聞きも同然じゃないか。いいから仕事に集中しろ。そう内心で己を叱咤してみても、いつの間にか姿を追い、声を拾おうとしている。ハッと我に返り、何をしているんだと首を振ってみてもすぐにまた同じことの繰り返し。これではいつ不審に思われても不思議じゃない。もしかすると既に…、などと考え始めた矢先に彼の方に変化があった。サニーが知る限りでは初めて、同性を連れてやってきたのだ。
     同い年か少し上か、これまでとは明らかに違う距離感に動揺を禁じ得ない。何人もの少女達と楽しげに話している姿は見ていたけれど、どんなに親しげであっても彼らは目に付くほどのスキンシップを図りはしなかった。だが、それが今日はどうだ。これまでとはまるで違う。
    「へぇ…上手いもんだな、やるじゃないか」
    「ふふん、これくらいはね〜…って、頭押さえるなってば!縮んだらどうしてくれるんだよ!」
    「そんな威嚇じゃ怖くもなんともないぞ、アルバにゃん」
     わしゃわしゃと髪をかき乱された彼は、抗議の声をあげると共に頭をぐりぐりと押し付けるようにして反撃に出る。それは、友人間で行ってもおかしくないやり取りなのかもしれない。気安い仲とでも言えばいいのか。けれど、サニーの胸にはモヤモヤとした言いようのないものが広がっていく。その場を離れ、その声が聞こえなくなっても心は晴れぬまま。結局その日は同僚にバックルームでの作業と交代してもらうと、閉店時間までサニーが店内に戻ることはなかった。



     そして次の出勤日、いつになく重い足取りでバイト先に向かったサニーは予想外の光景を目にすることになる。またあの男と連れ立って来たらどうしようという危惧に反し、彼はひとりで訪れ、普段遊んでいるはずのリズムゲームではなくクレーンゲームのコーナーへと向かったのだ。
     きょろきょろと何かを探すように視線を巡らせたかと思えば、ある物に目を留めてパッと表情を明るくする。視線の先にあったのは、伏せた姿勢のリアルな子猫のぬいぐるみ。見た目だけでなくサイズまでリアルなそれは、つい先ほどサニーが配置を直したばかりのものだった。
     極端に取りにくい位置には置いていないはず。と思いつつも、大丈夫だろうかと気にはなる。小さくはないそのぬいぐるみを獲得する方法は、三本爪のアームを用いて隅の獲得口に落とすのみ。単純に考えるならアームでぬいぐるみを持ち上げてとなるが、そう簡単な話ではない。上手い具合に持ち上げられたとして、大抵は移動途中にアームからぬいぐるみが零れて落ちてしまうから片側のアームで引っ掛けて転がすように移動させていくのが安定択。持ち上げて少しずつ獲得口へ近付けていくというのもひとつの手ではあるが、落ち方によっては全く移動しないこともあれば、最悪逆方向に転がって離れてしまうことすらあり運に左右され過ぎる。それは彼も分かっているようで、慎重にアームの位置を調整しながら堅実に移動させていた。
     これなら手数はかかってしまうものの順当にいけば獲れるだろう。そう思い仕事に戻ったサニーだったが、それからしばらくして耳に届いたのは明らかに良い状況とは思えないような声。
    「はぁっ⁉」
     いったい何があったのかと様子を見に行くと、順調に獲得口へと近付いていたはずのぬいぐるみは明らかにアームが届かない真逆の位置で転がっていた。これでは自力での続行は不可能。店員の手を借りる他ない。
     一応状況を聞いておいた方がいいかと思ったサニーだが、それよりも早く申し訳なさげな声がかけられる。
    「すみません、アームが届かない位置にいっちゃって…」
     けれど、彼の口から出たのはそれだけ。どうしてこうなったかまでは言わないでいるつもりらしい。
    「少し待ってくださいね」
     それならと、サニーは素知らぬ顔でケースのガラス戸を開けた。教えてくれないのなら自分の目で見て判断するまで。途中まで移動させられていたことは目にしているから、問題はその後に何があったかだ。転がったからにはアームで持ち上げたのだろうが、何故そうしたのか。そのまま爪を引っかけて、落としてしまえば良かっただろうに。だが、そう出来ない理由はよくよく見ればすぐに分かった。獲得口の位置が高く、転がすだけでは動かしきれなかったのだ。確かに、そうなってしまえば後は持ち上げるしかない。
     それならと、サニーは端まで転がってしまったぬいぐるみを獲得口から半分より僅かにはみ出した状態で置き直した。放っておいても落ちないけれど、上から押し込んでやれば落ちる程度の位置に。
    「え」
    「ここを、こう押しこんでやれば傾くんで、頑張ってみてください」
     言われずとも分かるだろうという内容をわざわざ口に出し、指し示したのはそれが店員として『景品の獲得に手こずっているお客様へのアシスト』だから。それに、一見するとすぐにでも落ちてしまいそうな置き位置も、このサイズのぬいぐるみであればどこを押しても落ちるというものでもない。伝えた通りに出来れば獲得出来るだろうし、そうでなければまだまだかかる。そうして戸惑う様子には気付かない振りでガラス戸を閉めて再開を促すと、サニーはすぐにその場を離れてカウンターへと向かった。
     ちゃんと伝えた通りに出来ているか気になりはするが、あくまでもアシストの範囲を超えないようにしなければ。それに、獲り方自体は分かっているだろうからその場で見守るよりも持ち帰り用の袋でも用意した方が彼の為にもなるだろう。
     実際その考えは間違っていなかったようで、サニーがぬいぐるみがすっぽり入る程の大きな袋を手に戻ってくると丁度獲得口に落ちたぬいぐるみを取り出している姿が目に入る。
    「おめでとうございます」
     無事に獲れたようで良かった。そんな思いは内にだけ留めて声をかけると、返ってきたのはお礼の言葉とはにかみ顔。それは時折見かけていたどの表情とも違うもので、サニーの心臓は思わずどくりと音を立てて脈打つ。しかし、声を潜めて続けられた言葉には別の意味でドキリとさせられてしまった。
    「あの、ルカのお友達……だよね?」
     サニーには彼が友人の弟だと気付くだけの理由があったが、自分が気付かれる側になるとは思ってもみない。
    「いつから気付いてたの」
    「えぇと……最初っから、かなぁ」
     誤魔化すように笑って口にされた言葉には、驚きよりも気まずさが先に来る。それならそうと言ってくれればいいのに。なんて、思ってみたがそれはそれで無茶な話だ。
    「一度挨拶しただけなのによく覚えてたな」
     サニー自身が口にしたように、ふたりの面識自体は挨拶をしただけの一度きり。だから見かけたとて気軽に声をかけられるほどの関係性はない。なのに、彼は更に心を揺さぶるような言動をとってくる。
    「んはは、僕、メンクイだから」
     まるで、猫が瞳を細めるような笑い方だ。可愛くて、でもそれだけじゃない。胸のあたりがざわついて、酷く落ち着かない気持ちにさせられる。それってどういう意味って聞いたらなんて答えるつもりなんだよ。そんな八つ当たりじみたことを内心で言ってしまう程度には、既に彼のことばかりでサニーの胸も頭も占められていた。
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    フィンチ

    DONEふわっとしたMHパロ、ガノレク🔗×アイノレー🎭の馴れ初め
    仲良くなれるかな? とある村のアイルーキッチンで働き始めたアルバーンには悩みがあった。仕事自体は新入りということもあって覚えることも多く大変ではあるが違り甲斐がある。コック長は厳しくも懐の大きいアイルーであるし、手が足りてないようだと働き口として紹介してれたギルドの職員も何かにつけて気にかけてくれている。それならばいったい何が彼を悩ませているのかというと、その理由は常連客であるハンターの連れているオトモにあった。
    「いらっしゃいニャせ!ご注文おうかがいしますニャ」
    「おっ、今日も元気に注文取りしてるなアルバにゃん」
    「いいからとっとと注文するニャ」
     軽口を叩きながらにっこりと愛想の良い笑みを浮かべてハンターを見上げるアルバーンは、傍らに控えているガルクからの視線にとにかく気付かない振りをする。そう、このガルクはやってくるとずっとアルバーンを見てくるのだ。しかも、目が合っても全く逸らさない。ガルクの言葉など分からないから当然会話も成立しない。初めて気付いた時には驚きつつもにこりと笑いかけてみたのだが何か反応がある訳でもなく、それはそれは気まずい思いをした。だからそれ以来、気付かない振りをして相手の出方を窺っているのだが、今日も変わらずその視線はアルバーンを追っているようだった。
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