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    フィンチ

    @canaria_finch

    🔗🎭を生産したい妄想垢

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    フィンチ

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    現パロ、憑かれやすい人×視える人な🔗🎭

    #Sonnyban
    sonnyban

    縁は異なもの キャンパス内で偶然見かけた憑かれている人間。一匹一匹は大したことのないモノだったけれど、それがいくつも憑いているとなれば多少なりとも影響は出てくる。実際、彼からはどことなく消耗している気配が漂っていたものだから、アルバーンはちょっとした親切心からその肩をぱっぱと祓った。
     当然、見ず知らずの相手にそんなことをされれば驚くし、いったいなんのつもりかと警戒されても仕方がない。これはあくまでもお節介。だから、怪訝そうな視線を向けてくる彼にもアルバーンはまるで気にせずにっこりと笑いかける。
    「驚かせてごめんね、肩に糸が付いてたの気になったんだ」
     それだけ告げると、じゃあねと言って一方的に話を切り上げた。あのまま続けたところで彼から出てくるのは更なる疑いの視線か恐縮した態度だろうし、そもそも感謝されたくてやったことでもない。本当にただ、気になっただけ。だって、アルバーンからすると視えてしまうのだから、あんなものを肩に憑けていたら気にするなという方が無理がある。
     でもまあ、名前も知らない相手だから同じ学内にいるとはいえこれっきりだろう。そうアルバーンは思っていた。
     しかしその数日後、今度は食堂でまた彼を見かけてしまう。その肩にはまた別のものが憑いていて、まあ随分と身体が重そうだ。
     アルバーンは別に聖人君子でもお人好しでもないので、目に入る全ての困っている人を助けようだなんて思わない。ただ、彼の憑かれ方はちょっと度を越しているから目につくし、食堂は混み合っていて二人席の片側に座る彼の正面くらいしか空いていそうにない。であれば、相席の了承を得るついでにそいつを祓ってしまおう。そう決めるとアルバーンは躊躇することなくその肩を叩いた。
     驚いたように振り返り、見上げてきた瞳は菫青石アイオライトのような不思議な輝きを放っていてその美しさに思わず魅入ってしまう。元々キラキラしたものが好きなアルバーンではあるが、それを差し引いてもこの瞳には引き込まれてしまいそうだ。だが、彼の表情が単なる驚きから警戒の色を滲ませ始めたことに気付くと、アルバーンはぱっと頭を切り替えてにこやかに口を開いた。
    「ここ、座ってもいい?」
     すぐの返事はなく、一旦辺りに視線を巡らせたのは他に空いている席がないか確認するためだろう。他に空きがあったならそれを理由に断るつもりだったに違いない。でも残念、空いてないから声をかけているのだ。気まずげに視線を戻してきた相手にさあどう返してくると笑みを強めると、諦めたようにいいよと一言返される。それに対してありがとうと口にし、お邪魔しますと付け加えるとアルバーンは正面の席に腰を下ろした。
     まあ、だからといって別に一緒に食事を楽しもうという訳ではない。アルバーンの目的は昼食の為の席の確保と、そのついでに彼の肩にべったり憑いていたもの追い払うことであるから既にそのふたつは達成している。後は恙無く昼食を終えるだけ。とはいえ彼からすればよく知りもしないやつが急に近付いてきたようなものだからこの反応も仕方がないし、今回はただの偶然ではあるがそんなことはあちらからすれば関係ない。だから正面から感じる警戒の気配には気付かぬふりでアルバーンは食事を始めた。ここはさっさと退散してしまうのがお互いの為だ。
     ひとつ残念な点があるとすれば、今日初めて気付いたあの吸い込まれてしまいそうなあの美しい瞳。それをじっくりと見られないことだろうか。憑いているものにばかり気を取られていたが、無造作に伸びた髪の下にあんな綺麗なものが隠されていたなんて。まあそれも受け取り方次第。少しでも関わったからこそあの瞳を見れた、そうポジティブに受け取っておこう。
     そんなことを考えながらアルバーンはパスタを巻き付けたフォークを口に運んでいく。こちらの存在が気にかかってなのか、なかなか彼の食事の手は進みにくくなっているようだから。くるくるっとスプーンの上で回して一口、また一口。僕は食事に集中してますよ、他のことなんて気にしてませんよとあくまでも素知らぬ態度は崩さずに。そして最後の一口を頬張って、よく噛んでから飲み込んだら紙ナプキンで口元についてしまったソースを拭き取ってごちそうさまと昼食は終了。
    「じゃあね、ありがと」
     声をかけても困らせるかとも思ったけれど、黙って立ち去るのも気が引けるとトレイを持って席を立つとお邪魔しましたの代わりにアルバーンは笑顔でそう言い残していく。返事を求めていないのは変わらずに。だから彼がどんな反応をしていたかも当然見ていない。この広いキャンパスで偶然なんてそう続くわけがないと、その時も思っていたからだ。
     けれど、翌日にさっそく廊下の曲がり角で鉢合わせてしまったことでアルバーンはその考えを改めることになった。衝突する寸前で踏みとどまれたものの、驚きから咄嗟に言葉が出てこないのはお互いに。これは完全に『縁』が出来てしまっている。どうする、どう立ち回るのが一番いい。その答えがすぐに出るはずもなく、アルバーンは動揺が僅かに残る声で笑ってみせた。
    「っ…びっくりした〜、ごめんね!」
     別にアルバーンにだけ非がある状況ではないが、前方不注意ではあるから軽い謝罪は口にしておく。加えて、すれ違いざまに彼の肩をぽんと叩いて憑いていたものを追い祓っておくのは忘れずに。それにしても、次にまた会ってしまったらその時はどんな対応をしたらいいだろう。移動中でもあったし、ここで立ち話をする理由はそもそもないから一応不自然な態度はとっていないはずだけれど。
     別にアルバーンとしては関わりを持ちたくない訳ではなかったが、人付き合いが苦手そうな相手となるとその限りではない。嫌な思いはしたくないし、させたくないし。どうしたものかなと小さく息を吐きながら、ひとまずは次の講義がある教室に向かってアルバーンは再び駆け出した。





     それからどうなったかというと、危惧していた通りに顔を合わせる頻度が増えたのは想定内として、予想外だったのはそこからの彼―サニーの行動。気まずそうにしながらも、何故か顔を合わせると声をかけてくるようになったのだ。そうされるとアルバーンも応えない理由はなく、ついでに祓っておこうとさりげなく肩なりに触れて接しているうちに自然と会話も増えていって、あれよあれよという間に友達と言って差し支えない間柄に。思った以上に話も合って、始めのうちこそあったぎこちなさが取れてからはぐんと距離も縮まった。そう、精神的にだけではなく、実際の距離感も。
     スキンシップが増えたのは自然とではあったけれどアルバーンにとっては好都合。これで遠慮なく憑いてくるものを祓える。それに、近ければ近いほどサニーの瞳がよく見えるのもスキンシップに拍車をかけた理由のひとつ。外見に惹かれて親しくなった訳ではないが、綺麗なものを見ていられるのは単純に嬉しい。何より、下から覗き込むように視線を向けると照れたような反応を見せてくれるのも可愛くてお気に入りだった。
     思い返すとまあ、他の友人に同じことをしていたかといえばそんなことはない。それでもまだ、この時は親密な友人くらいには留まっていたように思う。決定打となったのはサニーからのある問いかけだ。
    「アルバンもさ、髪切った方がいいと思う?」
     それは誰かに言われたからこその聞き方だった。確かにその時のサニーは瞳が見えないほど前髪は長く、後ろ髪だって伸ばしっぱなしではあったからそう言われてもおかしくはなかっただろう。ただ、不潔にしている訳ではなかったし、アルバーンとしてはそんなことは個人の自由だと思っているから好きにしたらいいというのが正直なところ。しかし、それをそのまま口にしては取りようによっては突き放しているようにも聞こえてしまう。だからひとつだけ付け加えてみた。
    「んー……そうだねぇ…、僕はサニーがしたいようにしたらいいと思うよ。でも、視界が開けたら今より歩きやすくはなるかもね」
     それを聞いたサニーは少しだけ考え込んで、分かった、ありがとうと微笑んだ。その時はそれでおしまい。話を引きずることもなく、いつも通りにまた明日と別れて。そして翌日、サニーは伸びっぱなしの髪をばっさりと切った姿で現れた。
     これまでを考えれば思いきった行動ではあるが、アルバーンが驚いたのはそのことにではない。すぐに何かに憑かれてしまう彼は長い髪で顔が見えにくいだけでなく、体躯に恵まれているわりに覇気もなくて、率直に言うなら近寄りがたい雰囲気を常に身に纏っていた。それが今はどうだろう。いつもは何かしら憑いてきているはずのモノは見当たらず、そいつらがまとわりついていないせいか髪もまるで金糸のようにキラキラと輝いている。そして極めつけはその美貌。顔立ちが整っているのは知っていたが、昨日まではどこかくたびれて見えたその顔が今日はハッとするほど美しい。大抵の人はこれをイメージチェンジと受け取るだろうが、アルバーンにしてみれば昨日までとは違って生気に満ち溢れていることは一目瞭然。良かったけど、サニーにとっては間違いなくいいことなんだけど、突然どうして?加えて、そんな疑問を抱くアルバーンを更に困惑させたのが外見に留まらないサニーの変化だった。
     相変わらず社交的ではないものの、背筋も伸びて堂々とした姿は行動にも影響を及ぼす。以前はアルバーンからのスキンシップを気恥ずかしそうに受け止めていたのが、傍から見ていても分かるほど嬉しそうにし、時にはサニーからも仕掛けてくるようになったのだ。別にそれ自体はいい。そういった触れ合いが嫌ならそもそも自分からもしていないし。困ったのはその視線に、表情に、行動に込められた感情があまりにも分かりやすかったから。疑いようがない、これは恋愛感情を伴う好意だ。そして、元より隠す気もなかったのかサニーは早々にそれをアルバーンに告げてきた。
    「気付いてると思うけど、俺、アルバンのことが好きだよ」
     それを聞いて、自分はいったいどうしたらいいだろう。アルバーンも好意は持っているがそこに同じ感情が含まれているかといえば答えは否。けれど、それを正直に答えてしまえば彼が離れていってしまうのではないか。そう考えると胸のあたりがざわざわとしてあまり良い心地とは言えなかった。
     嘘は吐けない。でも、だからといって距離を置かれてしまうのも受け入れ難い。正解が分からないまま口を開いたアルバーンだったが、言いかけた言葉はサニーに遮られてしまう。
    「っ…あのね、僕…サニーのこと…!」
    「分かってる、そういう風に考えたことない、だろ?」
    「…うん」
     先回りで言われたことは図星で、申し訳無さげに頷いたアルバーンだったがそこから続けられた言葉に目を丸くした。
    「じゃあ、これから考えてみてよ。俺のこと、そういう意味で好きになれるか」
     すぐに答えを出さなくてもいいの?そう問いかけるかのような視線にサニーは目を細めて微笑む。
    「諦めたくないんだ、お前のこと」
     そうして返ってきた声に、ホッとしてしまった時点で先のことなど決まっていたのかもしれない。
     元々スキンシップは多いふたりであったから表面的にはそう変わらないように見えたが、二人きりになるとサニーはさりげなくアルバーンにこれまでとは違った形で触れてくるようになった。並んで座っていると、無防備に置いていた手に大きな掌を重ねられる。人通りの少ない帰り道では、不意に手を繋がれるなんてことも。対してアルバーンも、そんなサニーの行動に驚きはするが拒絶することもなかった。引き止める為にではなく、純粋に嫌ではなかったから。それどころか、包みこまれるような温度には心地良さすら覚える。手と手が触れているだけなのに。もっと、それ以上に触れられたらいったいどんな心地だろう。そんなアルバーンの期待を知ってか知らずか、抵抗なく受け入れられるのならとサニーの行動も徐々に積極性を増していく。手だけでなく、髪に、額に、頬にも触れるようになり、二人きりの時のハグはもはや抱擁と言って差し支えない。そこまでいってしまえば答えを言葉にするまでもなく、口付けて、更に先の段階にまで進むのにもそう時間はかからなかった。





    「ふぅん…、そういう訳か」
     意味深な呟きと共ににっこりと笑みを深めた友人・浮奇を前に、アルバーンは気まずげに視線を彷徨わせる。顔を合わせるなり良い話が聞けそうだと言ってのけたこの友人は視る力が特に強く、そのうえ洞察力にも優れているので隠し事をするのもなかなか難しい。とはいえ始めからあれもそれも話すつもりがあった訳でもないのだけど、店に入り、お互いに注文したものが揃ったところで彼との馴れ初めから聞かせてもらおうかとくれば退路は絶たれたようなもの。なにせ、話す前から相手を『彼』と断定されていたのだ。何が視えているのかと聞きたくもなる。
    「もしかして、僕のこと占ったりした?」
     タロットも嗜んでいるからもしやと問いかけてみたが、目を据わらせた浮奇から返ってきたのは言葉ではなく額へのでこピン。あいたっ、と弾かれた部分を手で抑えていると、そんな訳ないでしょと呆れた声での追い打ちまで貰ってしまう。確かに勝手に占っていたのではなんて勘繰ったのは悪かったけれど、それならどうして分かったのかくらい教えて欲しい。そう訴えたアルバーンだったが、浮奇の口から出てきたあまりにもあけすけな答えだった。
    「それくらい見れば分かるよ、力の強いパートナーとSEXしてますって顔してるもの」
    「?!?!」
     思わず言葉を詰まらせると返ってきたのは意味ありげな微笑。
    「っ……う〜き〜、僕のことからかってない?」
     すっかりペースを握られてしまっていることに恨みがましげな視線を向けてみたものの、それで調子が取り戻せるかというと否。
    「んふふ、でも図星でしょう」
     そのうえ、妙に確信を持って言われてしまうと上手い返しも思い付かず、小さく唸り声をあげることくらいしか出来ない。
    「うぅ…、そんなに分かりやすいかなぁ」
     顔に手をあて、アルバーンがへにゃりと眉根を下げて困ったように呟くと、今度はうってかわって穏やかに微笑んだ浮奇の口から種明かしがされた。
    「顔云々は冗談として、見れば分かるってのは本当だよ。今のアルビーの“気”は混じってるけど、悪い感じはしなかったからね。少し主張が強いのはまあ……それだけ愛されてるってことかな」
     付け加えられた内容には心当たりもあり、からかうような口ぶりでもなかったというのに何やら気恥ずかしさが込み上げる。実際、サニーとお付き合いを始めてからアルバーンの調子はすこぶる良かった。具体的にあげるなら肌艶は良くなり、祓う力も増して、まさに心身共に良好と言っていい。文字通り心も身体も満たされている。いいこと尽くめだ。その理由が他者に知られてさえいなければ。
    「ね、ねぇ、そこまで分かるのって浮奇にだけだよね?」
     そうでなければさすがに恥ずかしすぎる。言外にそう滲ませて問いかけると、浮奇からは普通の人には分からないだろうし、視える人間でも他の“気”が混ざっているかなんてそうそう分からないだろうという返事が。つまり、今回気付かれたのはあくまでもイレギュラーなこと。それならまあと安堵しかけたアルバーンだったが、ああでもと付け加えられた言葉にびしりと顔を強張らせた。
    「元々のアルビーを知ってる人には分かっちゃうかもね」
     なんていい笑顔でとんでもない爆弾を落としてくれるんだ。そんなの、知り合いの能力者には隠しようがないと言われてるようなものじゃないか。それこそ、これからやってくる彼らになんて――
    「ふたりとも遅くなって悪い!ちょっと仕事が長引い…て」
     背後から聞こえてきたよく知る明るい声が不自然に途切れる。まさか本当に気付かれた?いや、まだ分からない。何か別の理由からという可能性も捨てきれないし。
     そう言い聞かせながらおそるおそる振り返ったアルバーンの目に入ったのは、顔を真っ赤にして固まっている従兄と、その横であちゃあと言わんばかりに額に手をあてているその友人の姿。ダメだ、これは疑いようがない。完全にアウトだ。
     そう認識した瞬間に一気に体温が上昇し、同じように真っ赤に顔を染め上げたアルバーンはあまりの恥ずかしさに言葉にならない声をあげてテーブルに突っ伏すのだった。
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    フィンチ

    DONEふわっとしたMHパロ、ガノレク🔗×アイノレー🎭の馴れ初め
    仲良くなれるかな? とある村のアイルーキッチンで働き始めたアルバーンには悩みがあった。仕事自体は新入りということもあって覚えることも多く大変ではあるが違り甲斐がある。コック長は厳しくも懐の大きいアイルーであるし、手が足りてないようだと働き口として紹介してれたギルドの職員も何かにつけて気にかけてくれている。それならばいったい何が彼を悩ませているのかというと、その理由は常連客であるハンターの連れているオトモにあった。
    「いらっしゃいニャせ!ご注文おうかがいしますニャ」
    「おっ、今日も元気に注文取りしてるなアルバにゃん」
    「いいからとっとと注文するニャ」
     軽口を叩きながらにっこりと愛想の良い笑みを浮かべてハンターを見上げるアルバーンは、傍らに控えているガルクからの視線にとにかく気付かない振りをする。そう、このガルクはやってくるとずっとアルバーンを見てくるのだ。しかも、目が合っても全く逸らさない。ガルクの言葉など分からないから当然会話も成立しない。初めて気付いた時には驚きつつもにこりと笑いかけてみたのだが何か反応がある訳でもなく、それはそれは気まずい思いをした。だからそれ以来、気付かない振りをして相手の出方を窺っているのだが、今日も変わらずその視線はアルバーンを追っているようだった。
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