オイシイモクロミ とある配信を見終えたサニーは、すぐさまレシピを検索するためにキーボードをたたき始めた。検索ワードは【Alfredo pasta】。どんなものかくらいは知っているが、あまり馴染みはないものだから作り方までは把握していない。検索結果を見る限り元々はイタリアのシンプルな家庭料理のようだが、おそらく自分の探しているのはクリーム系のソースを用いたものの方だろうとあたりをつける。
ソースの作り方も調べられはするが、どうやらスーパーで購入できるようだからどちらの材料も揃えてしまってもいいかもしれない。あとは肝心の海老、これを忘れてはいけない。パスタの種類はどうするか。元となっている方はフェットチーネを使用しているが、スパゲティを使用しているレシピも多くあり、そもそもクリームソースならリングイネとの相性も良さそうだ。
(……いっそのこと全部試してみるか)
何が正解かも分からないのだから変に絞りこむことはない。まずは自分の中の最適解を出して、そこから答え合わせをしてベストな答えに近付けていけばいい。上手く出来たと画像のひとつもあげてみればきっと彼は何がしかの反応をくれるだろう。それを糸口に好むものへと改良していけばより良いものになるはず。時間はかかるかもしれないが、気に入るものが用意できるのならその為の労力は少しも惜しくなかった。
ひとまず買ってくるものを控えなければと、サニーは手近な紙の裏にペンを走らせる。パスタは三種類に、パルミジャーノ・レッジャーノと冷蔵庫に入っていそうだが無塩バターも。あとは市販のアルフレッドソースに海老はひとまず冷凍のものを。ついでとばかりにオリーブオイルを書き足し、最後に漏れがないかを指さし確認すると財布と一緒にひっつかんでポケットにねじ込んだ。
馴染みのスーパーに向かうつもりだが、チーズに関しては少し足を伸ばしてみてもいいかもしれない。それなら他の食材についても普段よりも少し上等なものの目星をつけるのもアリだ。
(ついでにパスタマシンも見てみるかな)
上手くいくかはさておいて、彼を喜ばせる為の算段をするのは心が躍る。なんと言ってくれる、どんな表情で、どんな反応を見せてくれる。それらを想像するだけでこんなにも気分が高揚するのだ。なんて素敵な存在だろう。
(ははっ、アルバーン最高!)
彼の配信でお馴染みの言葉を内心で唱えると、サニーは鼻歌まじりに部屋を後にしたのだった。