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    フィンチ

    @canaria_finch

    🔗🎭を生産したい妄想垢

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    フィンチ

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    付き合ってないふたりのVD収録後の話

    #Sonnyban
    sonnyban

    たからものみたいな君のために「っ…――」
     リテイクなしとの連絡を目にし、ほっと安堵の息が漏れる。ボイスドラマの収録という初めての試みを成し遂げ、いつになく身体は高揚していた。
     そういった方面の仕事もしたいと思っていたのは勿論だが、それをアルバーンとふたりで出来たという事実による充足感は計り知れない。良いものを作り上げようと多くの言葉を交わし、時間を共にし、ひとつの物語をふたりの声で完成させる。それもプライベートにではなく仕事としての抜擢だ。なんと幸運なことだろう。改めてそんな機会を与えられたという奇跡を嚙みしめていると、アルバーンからも完遂を喜ぶメッセージが届いていた。
     そして、その文章の終わりの言葉に目を奪われる。
    《サニーと一緒で良かった、ありがとう》
     頼られることは嬉しい。助けになりたいとは常に思っている。今までにない仕事に対しての意気込みを持ちつつも、どこか不安げだった彼の力に俺は少しでもなれたんだろうか。先ほどまでとは別の歓喜がじわりと広がっていき、気付いた時には彼を呼び出す為のコール音を鳴らしていた。
     まずい。メッセージを送ってきたのだから起きてはいるのだろうが、時差から考えて眠ろうとしていてもおかしくはない時間。どうする、切るか。迷っているうちに通話は繋がり、不思議そうに呼び掛ける彼の声が耳に届いた。
    『サニー…?』
    「ごめん、急にかけて」
    『ううん、僕もちょっと……話したいなって思ってたから』
     かけてきてくれて嬉しいと、気恥ずかしそうに伝えてくる声にぎゅっと胸がしめつけられる。話したいと思ってくれたなら遠慮せずにかけてくれていい。そうしたら俺からもかけられるのに。なんて、そんなこと到底言えるはずない。ままならない距離だなと苦笑しつつも、せっかく得た機会なのだからと話し始めると思った以上に会話は広がっていった。
     まるで思い出話のようにその時々にあった事、感じた事を話すアルバーンは饒舌で、その口振りからも感情の昂りが窺える。なんて幸福に満ちたひととき。嬉しい、楽しいといった感情が素直に伝わってくる様子が堪らなく愛しい。
     そんな思いに浸って耳を傾けていると、不意にクスクスと楽しそうではあるが少しばかり違った笑い声が聞こえてきた。
    「アルバン?」
     どうかしたのかと名前を呼びかけると、楽しげな雰囲気はそのままにアルバーンは話し続ける。
    『あのね、サニーってすごいなって今回改めて思ったんだ。だって、サニーの声なのに別の人みたいで、名前を呼ばれるとドキドキしちゃうんだもん』
     この動揺に気付かれてはいないだろうか。恐らく彼にとっては他意のないエピソードのひとつなのだろうが、その言葉の持つ破壊力ときたら。そんな言い方をされて期待するなという方が無茶だ。けれども、そんな期待も長くは続かせてくれない。
    『追い付かれちゃう、早く逃げなきゃって』
     ああ、そういうこと。がっかりしたような気もしつつ、そう上手い話はないよなと納得してしまった自分もいる。いや、別にいいんだ。楽しそうに話しているのは可愛いし、笑っていてくれるならなんだって構わない。だが、ここで話は思わぬ方向に向かい始めた。
    『だからかな、いつもの声で名前呼んでもらえてホッとしたんだ』
     今度こそ息が止まるかと思った。なんて声で、なんてことを言ってくれるんだ。動揺と、歓喜と、ほんの少しの羞恥と優越感。様々な感情が頭の中で渦巻いて言葉にならない。
    『サニーってやっぱり、優しい声してるんだなって』
     そんなつもりはなかった、少なくとも俺は。

     でも、もしそう聞こえるのだとしたらそれはきっと、大切な君に優しくしたいと思っているからだ。
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    フィンチ

    DONEふわっとしたMHパロ、ガノレク🔗×アイノレー🎭の馴れ初め
    仲良くなれるかな? とある村のアイルーキッチンで働き始めたアルバーンには悩みがあった。仕事自体は新入りということもあって覚えることも多く大変ではあるが違り甲斐がある。コック長は厳しくも懐の大きいアイルーであるし、手が足りてないようだと働き口として紹介してれたギルドの職員も何かにつけて気にかけてくれている。それならばいったい何が彼を悩ませているのかというと、その理由は常連客であるハンターの連れているオトモにあった。
    「いらっしゃいニャせ!ご注文おうかがいしますニャ」
    「おっ、今日も元気に注文取りしてるなアルバにゃん」
    「いいからとっとと注文するニャ」
     軽口を叩きながらにっこりと愛想の良い笑みを浮かべてハンターを見上げるアルバーンは、傍らに控えているガルクからの視線にとにかく気付かない振りをする。そう、このガルクはやってくるとずっとアルバーンを見てくるのだ。しかも、目が合っても全く逸らさない。ガルクの言葉など分からないから当然会話も成立しない。初めて気付いた時には驚きつつもにこりと笑いかけてみたのだが何か反応がある訳でもなく、それはそれは気まずい思いをした。だからそれ以来、気付かない振りをして相手の出方を窺っているのだが、今日も変わらずその視線はアルバーンを追っているようだった。
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