俺は、とうに生きるのを諦めている。
26歳。
職場で受けた健康診断で引っ掛かってしまい精密検査を総合病院で受けた。
その時に見つけたのだ。
密かに身体を蝕んでいた病魔を。
国内でも発症例が少ないその病。
まだ治療法がない難病だった。
この病は進行が早く、もって1年、などど担当した医師にハッキリ言われた。
…ショックだった。
けど、俺以上にショックを受けて泣いている家族を見ていたら不思議なことに何だか淡々と事実を受け入れることが出来た。
じゃあ身辺整理だな、と逝くまでの時を有効的に使うことを考え始めたのだ。
少しずつ住んでいたアパートのものを片付けた。誰かに見られたら恥ずかしいものは真っ先に全処分。
もし健診で引っ掛からなきゃ、病気の事を知らずに過ごし、アパートの中で倒れてるとこを後に発見されたりして。部屋の中を調べられて見られたら恥ずかしいものを見られたり、お世話になっている大家さんの物件を俺の所為で事故物件にさせるところだった。
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