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    YRntB11

    @YRntB11

    ネタメモや短文、考察文など🙌
    あとは写真📸もここに置いてます
    全体的に暗めのお話が多めです🫶

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    YRntB11

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    家族パロ、七夕前日。当日書き切れるかは不明。

    七夕飾りと兄弟達※若干の不穏…?





    「よし、七夕の準備をするぞ!」
    「……タナバタ?」
     兄弟達の集うリビングで、四男・高人が声を上げた。曰く、明日は七夕だから折角なら七夕の気分を皆で味わおうと。笹の葉とやらを既に東谷に持って来るよう頼んでいるらしい。根回し済みなところを見るに、初めから七夕をやるつもりだったのだろうと思う。
    「ほら、短冊。これに願い事を書いておけ!」
    「願い事……?」
    「ティケト。七夕について教えてやろう、こちらへ」
     三男・経若がソファーに腰かけたまま振り返って言う。末っ子・ティケトが元気よく駆けて行くのを見つめながら、高人と次男・充はその表情にほんの少しだけ憂いを見せた。

     七夕。織姫と彦星に、年に一度だけ訪れる逢瀬の日。……とされる伝説がある。難しいことは割愛するが、とにかく笹の葉に願い事を書いた短冊を飾るお祭りだ。

    「願い事……」
    「ティケトー、これ、あー……あいつの分」
    「……チュンタか?」
    「ああ。明日まで時間あるし、ゆっくり書けばいい」
    「タカト……ありがとう」
    「おう」
     どこか真剣な眼差しで短冊を握るティケトの頭を、ポン、と一撫でする。何を抱えているのかは知らないが、せめて今だけは子供のように無邪気でいられるようにと願いを込めて。
     ここは現代日本だ。彼が暮らしていた世界よりは生きやすく、過ごしやすいだろう。例え過ごしにくいとしても、サポートするつもりだから構わない。

     だからせめて。ここにいる間は笑顔でいて欲しいと。

    「高人」
    「……充」
    「君が弟を心配する気持ちは分かるけどね。君自身が楽しまないとあの子も楽しめないよ」
    「……楽しめてなかったか?」
    「と言うより、少しわざとらしかった、が正しいよ」
     あー、うー、と唸り始めた高人を見ながら、充の脳裏には人を弄ぶかのように笑む死の姿があった。



     ──7月7日。願い事を飾るまで、あと1日。

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