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    にらたま

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    にらたま

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    書かなきゃいけない注意書きが多すぎてキャプションが足りなくなるので割愛しますが、先に上の方の話(と注意書き)を読んでからの方がいいと思います。出られないロッカー(物理)と師弟の話が急に始まって急に終わる。

    あるもの
    ・捏造学パロ設定の続き
    ・風味程度の霊モブ要素
    ・ロッカーに閉じ込められる二人
    ・強めの幻覚

    #霊モブ
    ReiMob
    #学パロ
    School Parody

    あらすじ: 夏休みにクラスメイトに肝試しに誘われた弟子と、うっかりしていた弟子から話を聞いてしまった以上、教師として止めに行かなきゃいけなくなった可哀想な師匠。

    ――

    「ってぇ……」
    背中を硬い壁に強かに打ち付けたような衝撃に、
    霊幻は思わず舌を打ちかけたのやめた。たった一人とはいえ、今、自分の目の前には教え子の存在があるからだ。

    「師匠、大丈夫ですか?」
    目の前、と言うには近すぎるかもしれない。気配としてはほとんど目と鼻の先。ここに灯りがあればおそらく相手の瞬きすら見れる距離だ。

    (なんだってこんなことに……)

    真っ暗な狭いロッカーの中。助けも呼べるか分からない状況で閉じ込められた霊幻は、たまらずため息をついた。さっきまで自分はモブと廊下を歩いていたはずなのに、物音がした教室を開けた瞬間これである。

    「俺は大丈夫だ。モブは怪我してないか?」
    「僕もちょっと腕をぶつけましたけど、大丈夫です」

    ひとまず互いに大きな怪我はないようで一安心だ。生徒たちが夜更けの学校で肝試しを始めた挙句、怪我をした者がいたなんてことになればどれほどの面倒が起こることか。考えただけで、霊幻にとっては怪奇現象なんてものよりよほど空恐ろしい。

    「とりあえずここを出たいんだが、モブの力でどうにか……」

    当たり前だが教室の中にエアコンなんてついているわけもなく、夜になって多少涼しいとはいえまだまだ残暑も残る八月末。このままこうしていては熱中症や脱水にならないとも限らない。

    段々と暗闇にも目が慣れ、ちょうど自分の胸元に位置する少年の顔を伺ってみるものの、その様子は芳しくない。

    「……出来るかもしれないですけど、力加減を間違えたら僕達ごと……」
    「よし、最後の手段にしよう」

    心底安堵したようにほっと息をつく仕草を見て、
    霊幻は何処にいるかも分からない元凶に怒りを感じていた。一体どこの誰の仕業か知らないが、世の中には暗い場所や狭い場所が気を失うほど怖い人間だっているのだ。それを悪戯の範疇として行ってくる、その考えがどうにも許せない。

    「……誰の仕業か知らないが、ここから出たら説教だな」

    先程校舎の入り口で自分の顔を見て逃げ出した数名の生徒を思い浮かべる。あの中に、ここまで大掛かりで趣味の悪い悪戯をやりそうな者はいないと思っていたが、こうして実際に被害を受けた以上はキツく言い聞かせなければならない。

    「でも師匠、たぶん誰っていうよりは、ここにいる霊達のせいだと思うんですけど」

    一瞬、ロッカー内が沈黙で埋め尽くされる。

    そういえば確かに、この教室を開けてからこの中に閉じ込められるまでの意識が曖昧だなとか、なんか引きずり込まれるような気がしたのあれ気のせいじゃなかったんだなとか、そんなことを霊幻はふと思い出した。
    そして、首を傾げた少年が師匠もしかして、と言いかけたのを強引に咳払いで誤魔化す。いや分かってたけどな、俺には弱すぎて区別が付かなかっただけで。

    「じゃあ俺達がここから出られないのも霊の仕業か?」
    「いえ、出られないのはおそらく他の理由だと思います」

    確かに、霊とか、いわば超常的な現象ならモブがさっさとどうにかしてしまうだろうし、仮にできないとしても、この少年が太刀打ち出来ないほどの事象なら自分なんかがどうにか出来るとも思えない。

    けれどもし、そうではないのならば。

    「モブ、ちょっと耳塞げるか」

    一度深呼吸をして、ちょうど扉が自分の正面に来るように身体の向きを変える。そして、モブが両の手を顔の横に当てたのを見てから、左腕を後頭部に添えて庇うように抱き込み、渾身の力で自身の右側に位置する扉を思い切り蹴り上げた。

    スチール性のドアが衝撃で壁に勢いよくぶつかり、半ば破裂音のような音が教室目一杯に響き渡る。

    「っ……開、いた……?」
    「みたいだな。驚かせて悪かった」

    先に耳を塞がせておいて良かったと、自分の腕の中で身体を硬く縮こませているモブの姿を見て思う。兎にも角にも、さっさとこの暗くて埃っぽい箱から出るとしよう。

    そうして出た瞬間、霊幻の身体が硬直した。

    「師匠、これって……」

    元々新品とは程遠いロッカーだったとはいえ、無理やり蹴り破ったせいでその扉はどう見ても言い訳ができないほど至る所が破損してしまっていた。滝のような冷や汗が背を伝う。

    「……お前の力でどうにかできたりしない……よな……?」


    結局、どうにかこうにかロッカーの扉が閉まるように形を整えて教室を出るまで、更に三十分以上の時間を要したのであった。
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