黒犬を愛でる1黒犬を愛でる
「オルトいる?開けて!!」
「こんばんは、いきなりすみません」
ドアを騒々しく叩く声に渋々家の入り口を開けば親友と白銀の美丈夫が一緒に立っていた。外は吹雪の極寒の中、わざわざ訪ねてきた二人を帰すわけにはいかず、オルトは苦虫を噛み潰したような顔をして仕方なく客人を家に招き入れた。
「こんな夜分遅くにすみませんね」
「ごめんオルト、二人でオルトの話をしているうちにどうしても会いたくなっちゃった」
オルトは深いため息をつきながら二人分のカップにホットワインを注ぐ。程よく温められた赤ワインの湯気から甘いスパイスの香りが漂った。
「で、こんな夜中に二人して家に何の用なんだ」
「そんな怖い顔しないでよ。オルトと三人で話がしたいと思っただけなんだから」
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