心を聴かせて いつも通りの徹夜明け。外が明るくなるまでゲームをして、どちらからともなく気が付いたら寝落ちていた。キンキンに冷やした部屋がさすがに寒すぎたのか、目が覚めたら至さんが蝉のように俺の体にしがみついていた。
窓の外の太陽はぎらぎらと無駄に照りまくっていてげんなりする。ソファの下に落ちていたスマホに手を伸ばすと、とっくに正午を回っていた。左手でソシャゲを開いてログイン演出をタップで飛ばす。トップに置いたキャラクターの午後用のセリフが再生されたところで、右半身にとまっていたタルタル蝉がもぞ、と動いた。
「おは。っつーか、昼過ぎだけど」
「んん……まぶし……」
日光から逃げるように俺の脇に潜りこんで三秒。がばりと急に起き上がる。
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