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    🪦村川🪦

    twst中心二次創作用垢/20↑/twst→🌸監(男装♀)で文章書いたり妄想したり。🦁さんの夢女。🐚寮箱推し気味ですが皆大好き/おべいみにどハマり中。次男と🌸MCちゃん推しで四男六男の夢女/のんびりまったり/腐×ですごめんなさい/アイコンは@tunral様よりお借りしています/FRBご自由に/お友達募集中です

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    🪦村川🪦

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    おべみ四男中心夢。
    ※がっつり個性あり夢主&MCがいる
    ※夢主はMCが人間界で飼ってた黒猫。正体は猫又
    ※猫を前にした四男のテンションを掴みかねている
    ※今作では次男の扱いが雑

    #夢小説@村川
    dreamNovel@Murakawa

    猫の日習作



    どこの世界でも、縄張り争いというのは等しく起こるものらしい。
    ひび割れたガラスのようなずれた音が煩わしくて、猫は不愉快げに目を細める。その態度すら気に入らなかったのか、猫を囲むように立っている黒い靄を纏った悪魔たちはまたぎいぎいと騒いだ。
    「なんだその顔は」
    「お前などが近付いていい場所では」
    「あの方々をどなただと心得るか」
    「テメーなんて引き裂いて食ってやっても」
    今は頭上にない耳をぴるぴると動かしたい気分だった。億劫そうに睥睨して、猫はあくまで穏便に済ませようと口を開く。
    「……つまり、あの屋敷に、あの七人に近付くなと、そう言いたいのだろう?」
    「そうだ」
    「物分かりがいいな」
    「その通りだ」
    不協和音が勢いを増す。どうしたものかと猫は考える。散歩から帰宅途中の突然の因縁。別にあの屋敷にもあの七人にも特に何の未練も感情もないのだ。そこに含まれていないただ一人を除いて。
    「あの七人に近付かないことはできる。ただ、あの屋敷に近付かないのは無理だ。主人(あるじ)がそこにいるからな。帰らねばならない」
    「主人だと!?」
    「どのお方に仕えたのだ!?」
    空気が一転して友好ムードに変わる。嘘をついて、あの七大君主のうちの誰かの名前を適当に出しておけば、穏便に切り抜けることは可能だっただろう。
    だが猫は素直だった。なんの打算もなく、ただただ己の主君に忠実なだけであった。
    「伊吹だ」
    「…………誰だ、それ」
    「あれじゃねえか、留学生、人間の」
    「特例で館に住んでる」
    「あいつが? 主人? 人間が?」
    ぶわははは、と空気を震わせる笑い声。侮蔑に満ちたそれを、猫は真っ正面から受け止め、そして静かに問いを投げかけた。
    「何故、笑う?」
    「人間なんかに飼われてる分際で」
    「所詮は下級」
    「我らが忠告するまでもない」
    「ザコなんてほっとけばよかったなあ!」
    「人間なんかと言うが、不本意ながらあいつらだって同じ主人を持つ仲間だが」
    あいつらも随分馬鹿にされたものだな、と呟くと、ぶわりと黒い靄が広がって、悪魔達が形状を変えた。その瞳には殺意が燃えている。
    「調子に乗るなよ下級!」
    「あの方々と同列に身を置くなど!」
    「身の程を知れ!!」
    「ぶっ殺してやる!!」
    猫は笑った。
    最近運動不足だという自覚はある。ここに来てから、主人に害が及ばないようにとひたすら大人しくしていた。揉め事の類は七人の悪魔達が大抵どうにかしてしまうし、天使や魔術師もついている。猫の出番は主に主人の癒し要員であった。
    ここらでひとつ大暴れしておくのも悪くない、と考えて猫は笑った。服装が変化し、頭上に耳が、腰からは四本に分たれた尻尾が出現する。爪を鋭く尖らせ、伸びた牙を剥き出して笑った。全員始末してしまえば後腐れもないだろう。
    「殺せるものならーー」
    「そこまでだ、ロウ」
    耳がぴんと立つ。反射的に飛び退いた視線の先、今まで猫がいた場所のすぐ近くに男が立っていた。殺気立っていた悪魔達が身を縮こめて首を垂れる。
    「サタン様!」
    「うちの猫が世話になったようだ。何か粗相はしなかったか?」
    「い、いえ、滅相もない」
    「少し、そう、運動でもしようかとしていたところで」
    「可愛い猫ですな」
    「ぶっ殺したいくらいに、ぎゃふっ」
    最後の悪魔が他の悪魔に殴られているのを見て、興味を失った猫は耳と尻尾と爪と牙をしまった。その辺りを歩いている悪魔とーー人間と変わらない見た目になった猫は、サタンへと告げる。
    「飽きた。帰る。こいつらどうにかしておいてくれ」
    「せっかく迎えに来たんだ、一緒に帰らないか?」
    「は? 嫌」
    拒絶の言葉を切るようにサタンは右手を振る。そこに握られていたのは、全ての猫の大好物であるデビュール(猫用高級おやつ)であった。
    猫は人型をやめ、元の黒い毛並みの猫の姿に戻る。ついついと歩いてサタンの足元まで行き、されるがままに抱き抱えられながら己の前足を舐めた。
    「よし、帰ろうか」
    上機嫌のサタンは、悪魔達に再び視線を向けた。す、と細められた緑色の瞳の奥には、青白い激情の焔がちりりと揺れている。
    「言うまでもないことだけど。次に猫にーーロウに限らず、この世の全ての猫に、危害を加えようとした時は、流石の俺も怒らないわけにはいかないからな」
    憤怒のサタン。一度怒らせたら、魂までも消し炭にされるという。
    震え上がった悪魔達は何度も頷く。それに麗しい笑みを投げかけて、サタンはデビュールを齧る猫を抱え、屋敷への道を歩いていった。


    「サタン、お帰り……にゃごちゃん!」
    伊吹が驚きの声を上げる。人間界での飼い猫だったこの黒猫は、魔界に来てからも決して伊吹以外には懐こうとしなかった。不機嫌そうに尻尾で叩かれ、爪で引っかかれ、それでもにこにこしていたサタンの姿を覚えている。
    その比ではなく溶けた笑みを浮かべながら、猫を抱きしめているサタンはとても幸せそうだ。腕の中にいる猫は、若干うんざりしたような顔をしながらも、されるがままにもふもふされている。
    「遂に絆されたか? それともエサにつられたかぁ?」
    にやにやと揶揄いに来たマモンの顔面に強烈な尻尾の一撃を見舞う。きゃいん! と鳴いて顔面を押さえたマモンは、青筋を立てて猫へと手を伸ばす。
    「このクソ猫!」
    「ロウに触るな!」
    「いでっ! こンの、何しやがるサタン!」
    伸ばされた腕を取り逆方向に伸ばしたサタンは、怒りの声を上げるマモンを無視してぎりぎりと腕を絞り上げていく。
    「いでいでいでで! ちょ、おま、離せ折れる!」
    「俺の目の前で猫に危害を加えようとするとはいい度胸だ、このままへし折ってやってもいいんだが……!」
    「まじで痛えって! 悪かったよ!」
    「わあ、サタンこわーい」
    「ほんと、猫のことになると目の色変わるよね」
    「それ知ってたはずなのに、マモンってほんっとバカ」
    「ほんとにね」
    「アスモ、ベルフェ! 喋ってねえでオニイサマを助けろぉ!」
    「あっ!? ねえサタン、ポケットのそれ、新発売のデビュールじゃない!?」
    「あ、ほんとだ。大ヒットしすぎて、今生産追いついてなくてプレミアついてるって聞いたけど」
    「ロウのために、生産元の社長に話つけて特別に取り寄せた」
    「わあ、出たよ謎人脈」
    「そういえば、そのローちゃんはどこ行っちゃったの?」
    「はっ! 俺としたことが、ロウから手を離してしまうなんて……!」
    「ううう、助かった……ナイスアシストだぜアスモ……!」
    「ちょっっっと! うるっさいんだけど!? 折角手に入った『僕が異世界転生したら憧れのあの子がオークの導き手になってたんだが!?』初回特典のくっ殺映像集にぜんっぜん集中できないんだけどいい加減にしろよバカマモン!」
    「なんっで俺だけ名指しなんだよ!? 元はと言えばあのクソ猫……いやお猫様が……!」


    「賑やかだよねえ」
    猫を腕に抱きながら、伊吹はのんびりとした口調で話す。猫は答えない。ただひくりと鼻を動かして、ヒゲが揺れただけ。
    ぎゃいぎゃいと騒ぐ四人の中に一人が混ざり、更に音量は増している。正直に言って騒音だ。おそらく、もうそろそろ長兄の雷が落ちるだろう。
    予感にぺたりと耳を伏せ、ちらりと主人の顔を伺う。
    「この賑やかさが好きなんだ。無理にとは言わないけど、私の好きな人たちを、にゃごちゃんも好きになってくれたら嬉しいな」
    その表情があんまり穏やかだったので、猫はしゅるりと尻尾の先で主人の頬を優しく撫で、ゴロゴロと喉を鳴らして瞳を閉じた。
    夕飯の完成をベルゼブブが告げ、それでも収集がつかなかった騒ぎは、予想通りにルシファーの一喝でようやく収まったのだった。
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    Replies from the creator

    🪦村川🪦

    DONEおべみ四男中心夢になる予定の前日譚。
    ※がっつり個性あり夢主&MCがいる
    ※MCのデフォ名あり(伊吹)
    ※L20クリア済みの方向け
    ※村川本人は現在21-5あたり
    猫はただ、のんびりと暮らしていた。
    主人(あるじ)は平凡で人畜無害で心の優しい人間の女で、一人暮らしをするのだと言い出した時はどうついて行こうかと画策したものだったが、結果的に主人自ら猫を連れて行ってくれたので、のんびりとした二人暮らしをそこそこ楽しんでいた。
    主人は朝に出かけて夕と夜の間くらいに帰ってくる。留守の間は家を守っている時もあったし、気ままに散歩に出たり、主人の様子を見に行ったりもした。情報収集、縄張りの見回り、無意味に街を散策したりもした。そんな穏やかな日常は一変する。
    主人が帰って来なくなった。
    猫は待った。大人しく待っていたわけではない。探し歩いて、住処に戻って、探し歩いてはまた戻った。どこにも主人の足跡はなく、そうこうしているうちに主人の実家へと戻された。
    そこでの会話からすると、主人は留学をしたらしい。
    おかしい。主人は猫には何でも話す。その日あった出来事、自分の気持ち、今後の予定、楽しいことも辛いこともなんでもないことも何でも話す。その主人が、猫に何も言わずに留学などという一大事へと旅立つはずがない。そもそも、部屋の片付けも荷物のまとめも、猫をどこかへーーそれこ 2570

    🪦村川🪦

    DONEおべみ四男中心夢。
    ※がっつり個性あり夢主&MCがいる
    ※夢主はMCが人間界で飼ってた黒猫。正体は猫又
    ※猫を前にした四男のテンションを掴みかねている
    ※今作では次男の扱いが雑
    猫の日習作



    どこの世界でも、縄張り争いというのは等しく起こるものらしい。
    ひび割れたガラスのようなずれた音が煩わしくて、猫は不愉快げに目を細める。その態度すら気に入らなかったのか、猫を囲むように立っている黒い靄を纏った悪魔たちはまたぎいぎいと騒いだ。
    「なんだその顔は」
    「お前などが近付いていい場所では」
    「あの方々をどなただと心得るか」
    「テメーなんて引き裂いて食ってやっても」
    今は頭上にない耳をぴるぴると動かしたい気分だった。億劫そうに睥睨して、猫はあくまで穏便に済ませようと口を開く。
    「……つまり、あの屋敷に、あの七人に近付くなと、そう言いたいのだろう?」
    「そうだ」
    「物分かりがいいな」
    「その通りだ」
    不協和音が勢いを増す。どうしたものかと猫は考える。散歩から帰宅途中の突然の因縁。別にあの屋敷にもあの七人にも特に何の未練も感情もないのだ。そこに含まれていないただ一人を除いて。
    「あの七人に近付かないことはできる。ただ、あの屋敷に近付かないのは無理だ。主人(あるじ)がそこにいるからな。帰らねばならない」
    「主人だと!?」
    「どのお方に仕えたのだ!?」
    空気が一転して友好ム 3158

    🪦村川🪦

    MOURNINGレオナさん夢…10ヶ月前に書いたやつ…夢主のキャラもレオナさんのキャラもうまく掴めず挫折したやつ…リヴィエール(夢主)はちゃんとどこかで書き切りたいなあ…供養供養…
    しかし私の中の初期の監、こんな感じだったんだなあ笑
    「断る」
    事情説明後の冷たい第一声に、斜め前のジャックくんの耳がピンと伸びて毛が逆立つのがわかった。まあそりゃあそうですよね、とどこか他人事のように思う。纏めてきた荷物が地味に重い。そんなに入っていないはずなんだけど。
    薄ぼんやりした頭の中に「第一部屋がねえだろ。空いてる部屋は物置になってる。今から片付けてたら朝になっちまうぞ」というレオナ先輩の声が響いた。ねむい。今から片付けはちょっと無理そうだけど、この際物置でもいいから端っこで寝かせてくれないだろうか。というか本当に荷物が重い。目線をそちらに向ければちゃっかり乗っかっているグリムがいた。そりゃ重いわけだ。下ろそう。
    「じゃあレオナさんの部屋に泊めればいいんじゃないッスか?」
    この声はラギー先輩だな。レオナ先輩のお部屋なんて恐れ多くて眠れない。いやウソです今ならどこでも5秒で眠れる。大丈夫。ほんとこの談話室のソファー…いや贅沢は言わないのですみっこを、すみっこを貸してほしい。レオナ先輩とラギー先輩が言い合っている。グリムを下ろすにはまず床に荷物をおかないといけないんだけど怒られるかな。とばっちりは勘弁だな…。
    「レオナ、部屋に泊めて 1616

    🪦村川🪦

    MAIKINGイド監に挑戦しようと思って躓いてる書きかけ三人は「なかよし」


    立てば上品座れば紳士、歩く姿も擬態済み。お触り禁止の確信犯、咬魚の片割れジェイド・リーチ。
    立てば気紛れ座れば暴君、歩く姿は破壊神。誰が言ったか愉快犯、咬魚の片割れフロイド・リーチ。
    決して善良とは言えないNECの生徒が口を揃えて唱える言葉。
    『リーチ兄弟(あいつら)には関わるな』
    脅しに暴力なんでもござれ、証拠隠滅どんとこい。気に入られても疎まれてもどちらも末は地獄行き。厄介極まりないこの兄弟に最近捕まった運のない人間といえば、誰もが口を揃えてオンボロ寮の監督生の名を挙げる。
    弟のリーチに後ろから抱きつかれ「小エビちゃーん!」と絞めあげられているその姿。おやおやフロイド、手加減しないと監督生さんも苦しそうですよ。と口を出すものの手助けをする気配は微塵もなくにこにこと眺めているだけのリーチ兄。男子校で唯一の異性である彼女を双子が気に入っておもちゃにしていることは誰の目にも明らかだった。同情はすれど助けはしない。弱肉強食が世の常だ。それは監督生にとって数少ない味方である友人達にも適用される。一学年上で腕力も魔力も優れているリーチ兄弟にとって、彼らは紛れもなく弱者だ 634

    🪦村川🪦

    MAIKING四男とMCの話。オチを見失っている。見直してないから口調違うかも。サタンがMCに頼まれて媚薬を作る話


    期待か緊張か、或いはその両方か。
    珍しく顔を硬らせて、しかし瞳にだけはきらきらと生気を湛えながら、目の前の少女はもう一度同じ言葉を口にする。
    「サタンに、媚薬を作って欲しい」
    先程言われた言葉と一言一句違わない。脳に全く染み込まない、右耳から入って左耳から出ていくような感覚にサタンは思わず天を仰いだ。
    「ご、ごめん、こんなこと頼めるのサタンしかいなくて」
    少しだけ気分が上向く。頼られるのは悪くない。
    一番適任なのはアスモだ。何せ色欲の悪魔、気が向いたらその類の商品の監修もしているのは有名な話である。しかし、彼に頼んだら最後、使用用途から対象から事細かに訊かれるに決まっているし、なんだかんだと丸め込まれて自分に盛られた上にどうにかされてしまう可能性も十二分にあり得る。ーーそこまで考えて、過ぎってしまう想像。まさか相手はアスモなのでは? だからアスモには頼めなくてこちらに来たのでは?
    口の端が歪む。
    「……相手は人間? それとも天使? 悪魔? 動物?」
    「動物ではないけど……それ、言わないとだめ?」
    「だめだ。人間相手に悪魔(おれたち)用の分量で作っ 2685

    🪦村川🪦

    MAIKING監のためにラップバトルをするジェの話。ぺとりさんへのお題作品。収集がつかねえ。始まる 拍動 怒涛


    監督生はスマホを所持していなかった。オンボロ寮にテレビなどはなく、この世界のあれこれは図書館で借りてきた本から情報を得ていた。なので最新のヒットチャートや流行りの服やトレンドなどは全く知らず、ケイトやエースから話を聞いたりたまにスマホを借りて映像を見るなどするくらいであった。
    そんな生活が、学園長からスマホを支給されたことで一変した。
    まずはケイトから是非にと勧められたマジカメの登録。次いで学園生活で縁ができた人物をフォロー。大まかな使い方を教わり、数件の投稿や検索なんかも少しだけ自分でできるようになってきた頃、その衝撃的な出会いは訪れた。

    「エース! デュース! ヒプノシスロッドって知ってる!?」

    会うなり顔を紅潮させてスマホを突き出してきた監督生に、顔を見合わせてマブの二人はそれぞれ口を開く。
    「そりゃー知ってるに決まってるっしょ、今一番勢いあるグループだもん」
    「僕はあまり音楽は聞かないが、名前はよく聞くな。母さんが好きだと言ってたのは確か…Snディビジョン? とかなんとか」
    「何枚かMD(ミュージックディスク)持ってるけど、貸してやろうか?」
    「本当 1764

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    🪦村川🪦

    DONEおべみ四男中心夢。
    ※がっつり個性あり夢主&MCがいる
    ※夢主はMCが人間界で飼ってた黒猫。正体は猫又
    ※猫を前にした四男のテンションを掴みかねている
    ※今作では次男の扱いが雑
    猫の日習作



    どこの世界でも、縄張り争いというのは等しく起こるものらしい。
    ひび割れたガラスのようなずれた音が煩わしくて、猫は不愉快げに目を細める。その態度すら気に入らなかったのか、猫を囲むように立っている黒い靄を纏った悪魔たちはまたぎいぎいと騒いだ。
    「なんだその顔は」
    「お前などが近付いていい場所では」
    「あの方々をどなただと心得るか」
    「テメーなんて引き裂いて食ってやっても」
    今は頭上にない耳をぴるぴると動かしたい気分だった。億劫そうに睥睨して、猫はあくまで穏便に済ませようと口を開く。
    「……つまり、あの屋敷に、あの七人に近付くなと、そう言いたいのだろう?」
    「そうだ」
    「物分かりがいいな」
    「その通りだ」
    不協和音が勢いを増す。どうしたものかと猫は考える。散歩から帰宅途中の突然の因縁。別にあの屋敷にもあの七人にも特に何の未練も感情もないのだ。そこに含まれていないただ一人を除いて。
    「あの七人に近付かないことはできる。ただ、あの屋敷に近付かないのは無理だ。主人(あるじ)がそこにいるからな。帰らねばならない」
    「主人だと!?」
    「どのお方に仕えたのだ!?」
    空気が一転して友好ム 3158

    🪦村川🪦

    DONEおべみ四男中心夢になる予定の前日譚。
    ※がっつり個性あり夢主&MCがいる
    ※MCのデフォ名あり(伊吹)
    ※L20クリア済みの方向け
    ※村川本人は現在21-5あたり
    猫はただ、のんびりと暮らしていた。
    主人(あるじ)は平凡で人畜無害で心の優しい人間の女で、一人暮らしをするのだと言い出した時はどうついて行こうかと画策したものだったが、結果的に主人自ら猫を連れて行ってくれたので、のんびりとした二人暮らしをそこそこ楽しんでいた。
    主人は朝に出かけて夕と夜の間くらいに帰ってくる。留守の間は家を守っている時もあったし、気ままに散歩に出たり、主人の様子を見に行ったりもした。情報収集、縄張りの見回り、無意味に街を散策したりもした。そんな穏やかな日常は一変する。
    主人が帰って来なくなった。
    猫は待った。大人しく待っていたわけではない。探し歩いて、住処に戻って、探し歩いてはまた戻った。どこにも主人の足跡はなく、そうこうしているうちに主人の実家へと戻された。
    そこでの会話からすると、主人は留学をしたらしい。
    おかしい。主人は猫には何でも話す。その日あった出来事、自分の気持ち、今後の予定、楽しいことも辛いこともなんでもないことも何でも話す。その主人が、猫に何も言わずに留学などという一大事へと旅立つはずがない。そもそも、部屋の片付けも荷物のまとめも、猫をどこかへーーそれこ 2570

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    MOURNINGレオナさん夢…10ヶ月前に書いたやつ…夢主のキャラもレオナさんのキャラもうまく掴めず挫折したやつ…リヴィエール(夢主)はちゃんとどこかで書き切りたいなあ…供養供養…
    しかし私の中の初期の監、こんな感じだったんだなあ笑
    「断る」
    事情説明後の冷たい第一声に、斜め前のジャックくんの耳がピンと伸びて毛が逆立つのがわかった。まあそりゃあそうですよね、とどこか他人事のように思う。纏めてきた荷物が地味に重い。そんなに入っていないはずなんだけど。
    薄ぼんやりした頭の中に「第一部屋がねえだろ。空いてる部屋は物置になってる。今から片付けてたら朝になっちまうぞ」というレオナ先輩の声が響いた。ねむい。今から片付けはちょっと無理そうだけど、この際物置でもいいから端っこで寝かせてくれないだろうか。というか本当に荷物が重い。目線をそちらに向ければちゃっかり乗っかっているグリムがいた。そりゃ重いわけだ。下ろそう。
    「じゃあレオナさんの部屋に泊めればいいんじゃないッスか?」
    この声はラギー先輩だな。レオナ先輩のお部屋なんて恐れ多くて眠れない。いやウソです今ならどこでも5秒で眠れる。大丈夫。ほんとこの談話室のソファー…いや贅沢は言わないのですみっこを、すみっこを貸してほしい。レオナ先輩とラギー先輩が言い合っている。グリムを下ろすにはまず床に荷物をおかないといけないんだけど怒られるかな。とばっちりは勘弁だな…。
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    ※がっつり個性あり夢主&MCがいる
    ※夢主はMCが人間界で飼ってた黒猫。正体は猫又
    ※猫を前にした四男のテンションを掴みかねている
    ※今作では次男の扱いが雑
    猫の日習作



    どこの世界でも、縄張り争いというのは等しく起こるものらしい。
    ひび割れたガラスのようなずれた音が煩わしくて、猫は不愉快げに目を細める。その態度すら気に入らなかったのか、猫を囲むように立っている黒い靄を纏った悪魔たちはまたぎいぎいと騒いだ。
    「なんだその顔は」
    「お前などが近付いていい場所では」
    「あの方々をどなただと心得るか」
    「テメーなんて引き裂いて食ってやっても」
    今は頭上にない耳をぴるぴると動かしたい気分だった。億劫そうに睥睨して、猫はあくまで穏便に済ませようと口を開く。
    「……つまり、あの屋敷に、あの七人に近付くなと、そう言いたいのだろう?」
    「そうだ」
    「物分かりがいいな」
    「その通りだ」
    不協和音が勢いを増す。どうしたものかと猫は考える。散歩から帰宅途中の突然の因縁。別にあの屋敷にもあの七人にも特に何の未練も感情もないのだ。そこに含まれていないただ一人を除いて。
    「あの七人に近付かないことはできる。ただ、あの屋敷に近付かないのは無理だ。主人(あるじ)がそこにいるからな。帰らねばならない」
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