勝己のプロポーズは出久の5歳の誕生日の翌日であった。
才能に溢れる者が集う学び舎でも、ともに学上に励む知己には「才能マン」と言われる己は5歳の時分でも、この世の中の事は大体把握できていた。
曰く
この個性が尊ばれる時代に於て無個性として生まれてしまえば、生き抜くのですらいばらの道であると言う事を。
テレビのコメンテーターがまるで人の総意であるとクソデカい声で言うのだ
「大個性時代ですね」
「個性によって成り立つ世界です」なんて
クソくらえと思う
4歳を過ぎて5歳になっても個性が発現しなかった幼馴染が「ひーろーになりたい」と
大きなみどりの瞳からぽろぽろと綺麗な涙をこぼして、小さなコーラル色の唇を噛みしめて言うのを抱きとめながら、ギリリと奥歯を噛みしめる
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