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    kuuronnzyou

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    kuuronnzyou

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    第一話 「起・全ては過ち、或いは正しかった」前編44GT44Gu54mp6Kqe44Gu6Kqe44KK5omL44Gv5LiA5Lq6

    非日常と日常とはなんだろう。

     【日常】_にちじょう_
    つねひごろ。ふだん。
     「平穏な―を送る」

    二人が一つの物事を観測したとしてその結果は変わらないとしても、認識の差というのは生まれるものだ。

     【非日常】_ひにちじょう_
    いつも通りのありきたりな様子でないさま、日常とはかけ離れた異様さが感じられる様子などを意味する表現。

    cs投稿

    俺達が求める真実とは常に理不尽である。

     【真実】_しんじつ_
    うそや飾りのない、本当のこと。まこと。
     「―を語る」

    見たいと見ても、見たくなくても、現実は平等に現れる。平等に平等に。
    あまりに残酷だ。
    現実は常に残酷に私たちの日常を壊す。
    敵は、自分自身とも他人の全てとも言える。
    あまりにも目に入れたくない現実を見た時人はどうするのだろうか。
    幸福は千差万別だ。
    誰かの不幸は誰かの幸福だ。
    ↑終わり

    「おはようございます。」
    眠い目を擦らないように我慢しながら洗面台に向かう。水で顔を洗って、歯を磨いて、髪を櫛でとかす。
    いつものように事務的な挨拶をして、食卓に着く。
    綺麗に整頓されておぼんに収まる、ご飯、汁物、魚、卵焼き、漬物。
    手を合わせ、いただきますと呟く。母から「早くお食べ」と言われ返事をする。
    【スチル】
    会話はなくニュースだけが生活音だった。
    地元のちょっとしたニュースから天気予報に移り変わる。
    「今日の天気は、晴れで降水確率も0%。文句なしの快晴と言えるでしょう。日差しが強くなることが予想されるので_」

    ほんの少し、この変わり映えのない日常に華が有ればいいのになんて思う。

    まぁ、テレビの内容がどうなんて話す相手はいないのだけど。普通だったら寂しいとか思ったりするのかな、なんて。
    「ご馳走様でした。」
    手を合わせてそう言うと、父がタイミングよくテーブルに新聞を置く。
    「影慈。今日はお供え、頼んだぞ。」
    その言葉と共に僕が食べた茶碗を母が片付ける。
    残された答えははいだけで。
    「わかりました」
    と他人のように返事をした。
    部屋に必ず配置された神棚から威圧感を感じるからあまり好きではなかった。家系的なものだから、やらなきゃいけない。普通だったら、貴方だったら、お供えなんてものは非日常に所属するのだろうけれど。
    僕には、日常だった。受け入れて、消化しないといけない現実だった。



    朝起きる。倦怠感が酷くてもう一度布団に頭を突っ込んだ。
    おはようなんて言葉にしただけなのに虚しさが心に染みてくる。
    嗚呼、嫌だ。
    なんとか身体を起こして身支度をする。祖母から嫌そうな目で見られる。すかさずいつも通りの笑顔を浮かべ「おはよう」と元気に不快感がないよう最新の注意を払い挨拶をした。
    はよ学校に行こう。そう思った。
    学校は楽しいと姉が聞く、学校は、楽しいんよ。とっても楽しいんよ。

    『スチル』笑顔の雪遥

    姉ちゃんとも学校一緒に行きたかったなぁという願いは。胸の奥にしまった。
    「楽しんできてね」
    姉のその善意で呟かれた一言は俺に呪いのようにのしかかってくる。
    憂鬱だ。
    なんで、とかどうして、とか言えたら楽だったのかななんてね。
    俺らしくないからこんな事考えない方がいい。
    世の中に平等なんてものはない。
    なのに先生は、先生だけは平等であることを願った。

    貴方がいい筈だと言った未来はきっと“俺”の居場所はないんだ。



    今日は日直だったと思い出した。

    教室のドアを開ける。
    目の前にはありえない光景があった。
    日常に存在してはいけない。

    非日常への片道切符…こと。
    それを“死体”と人は呼ぶ。

    荒くなった呼吸。
    嫌と言うほど心臓の音が聞こえて。
    ヒューと喉が鳴った。

    その姿はよく知っている人だった。
    「…厳島先生…」
    確かめるようにゆっくりと、ゆっくりと一音一音を意識して言葉を吐いた。

    でも、おかしい。

    おかしいのだ。

    ”先生“は優しい先生で。

    おはようと誰よりも明るく、明るく、

    【スチル】

    腹部に刺さっている包丁。
    首に垂れ下がってる縄。

    元気に、僕なんかに話しかけてくる。そんなそんな”良い先生“。

    死因はおそらく



    カッターで乱暴に鉛筆の芯を削る。
    消しゴムはとっくに真っ暗に丸くなっていた。
    睨むように時計を見て、目の前に立てたキャンパスは真っ白で苛立ちがひどくなった。
    思わず、空のペンキ缶に八つ当たりをする。
    足が痛いだけで何もなかった。
    俺の人生は灰色だった。
    何もない。
    空虚って言うんだろうか?

    【空虚】-くうきょ-
    物のなかみ、または物事の内容をなす価値、あるいは心のより所が、何もないこと。からっぽ。
     「―な生活」

    足りない。満たされない。満たされたい。
    吐きそうな感情に胸焼けして気持ち悪い。
    色のつくのないキャンパスが僕の人生そのもののように思えた。


    真っ黒な僕の絵を「色が鮮やかでいい」と評した奴が居た。心底バカだと思った。同時にとても嬉しかった。カラフルな色を使った描画は苦手だった。目が痛くなるし、色がうるさいから。
    たまに僕の絵を見て「天才にしかわからない芸術ってやつ?」なんて言う輩がいる。
    何の意味なんてない。伝わらなくていい。だって僕が描いてるものは僕も理解できてない心なんだから…。

    時計を見る。もう学校の時間か。
    【スチル】
    野菜ジュースを適当に飲んで、紙パックを握りつぶし、ゴミ箱に捨てる。スケッチブックと濃さの違う鉛筆のケースを乱雑に鞄に突っ込む。
    「行ってきます」
    声は静寂に消されて言った。



    先生の傷から血は落ちる。ぴちゃんと、音を立てて、血の池ができてそれで。

    それで…。

    登校時間になって、いつものように二人がやってきて。



    「…おはよう」
    「おはよう」
    「おはようさん」
    真剣な声色で“いつも通り”の挨拶をする。
    数秒も立たない内に“いつも通り”は音もなく崩れて全員の視線は「先生」に釘付けだ。
    無理もない。

    何も変わらない朝。
    いつも通りの学校。
    当たり前に訪れる筈だった日常。
    死体“先生”は異常で、全てを非日常へと変えた。
    正確に言うなら非日常の物として日常を侵食している訳だ。

    でも…
    おかしい
    だって3人しかいないのだ。
    いるはずの大人がいない。
    電柱に止まっていたカラスが意味ありげに羽ばたいて。
    蝉の鳴く声だけが酷く響いた。



    飼育の難しさの例えによく魚が使われる。
    例えば、
    金魚の飼育は病気になりやすい。
    熱帯魚は温度調節が難しい。
    と言ったくらいに。

    たった一つ条件が変われば、命が失われる。

    水槽がまるで箱庭のようだ。

    【箱庭】_はこにわ_
    小さな、あまり深くない箱の中に、小さな木や人形のほか、橋や船などの景観を構成する様々な要素のミニチュアを配して、庭園や名勝など絵画的な光景を模擬的に造り、楽しむものである。

    閑話休題



    認識論というものがある。
    認識論は、認識、知識や真理の性質・起源・範囲について考察する、哲学の一部門である。存在論ないし形而上学と並ぶ哲学の主要な一部門とされ、知識論とも呼ばれる。

    ガリガリと音を立ててカッターの歯を鉛筆に這わせるように当てて滑らす。中々尖らない芯に苛立ちを覚えた。焦っていい事はないのに、
    どうして。
    “どうして”
    という言葉だけが頭に残る。
    【スチル】手を伸ばす
    「ねぇ【検閲済み】、どうして…どうして【検閲済み】」

    「バイバイ    」
    ”彼“の身体が宙に浮く。
    残った色は、鮮やかすぎる赤色。
    目がチカチカする。
    目のまえには綺麗に笑う君がいた。



    何も出来ずただ呆然と死んでしまった先生の顔を見る。



    永遠にも感じるほど長い沈黙。
    静かに先生に黙祷する。絶対犯人は捕まえて見せるからと誓う。
    それから、これからの為の取り決めを幾つか決めた。
    おかしなくらい淡々と”次“の為に行動する僕らは「おかしい」のかもしれない。
    そんな疑問を口に出来る人なんていなかった。

    「なぁ。黙っててもこの異変にはどうもできん。寝て治るなんて思えへん。」
    「それは、僕もそう思う。」
    沈黙。
    「とりあえず探索でもする?」
    「その前に先生の死体調べた方がええんやない?」
    「…現状を把握しないとね。」
    「えっと、貴方何を描いているのですか?」
    「非常事態だし、記録残した方がいいでしょ?」
    「確かに記録どうするかって感じだよね。警察にも連絡つかなさそうだし…。」
    「現場保存って言っても、教室で先生が死んだとは思えんわ〜」
    結局皆が確認できるようにと黒板に約束事を描いた。

    一つ、調べられるものを調べ現状を把握すること

    二つ、出来る限り情報を共有すること

    三つ、死なないこと

    「学校の事大まかにわかったらそしたら別行動しようか。」
    犀の提案。
    「俺は賛成!」
    「僕も賛成です。」



    ドアも扉も閉まってる…。てことは密室?!でもさっきまで僕らは入れた。じゃあ何故わざわざ密室に?
    人の声が聞こえないからまず普通の人間じゃ無理だ。

    「皆落ち着いて聞いてくれる?僕たち、閉じ込められています。…おおよそ、脱出するには探索が相場ですし、誰かが計画した物ならどうにか解決できるかと…」

    閉じ込められているとなると水の確保、食糧の確保、火の入手が必要になる。
    まずは扉を開けるところからだろう。



    Pz8/Pz8/Pz/vva8/P++9qj8/Pz8/Pz8/Pz8/Pz8/Pz/vvbw/Pz8/Pz8/Pz/vvag/Pz8/Pz8/Pz8/
    Pz8/Pz8/Pz8/P++9qj8/Pz8/772jPz8/P++9ve+9sD8/Pz8/Pz8/Pz8/Pz/vvbw/



    「ちゃんと、助けてね?」
    人影が小首を傾げてそう言った。


    ◇共通情報
    先生の死体の状況及び死亡時期の特定。
    それが今得られた武器だ。
    情報の整理をしよう。
    一つ、今朝から厳島先生の姿がない。
    二つ、教室の空きの机からの絞首、死因は腹部のナイフの傷による失血ショック死。
    遺書はなし

    となると自殺か、他殺か。
    現在他殺の線が濃厚。

    第一話 「起・全ては過ち、或いは正しかった」前編了
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