雲海が晴れ、アルストと呼ばれていたこの世界は新たな幕開けを飾った。
アルストを救った者たちは、それぞれ、自分の戻るべき場所に帰っていき、平穏な日常が訪れた…。
それは、スペルビアでも……
朝焼け眩しい帝都の最も高い部屋、メレフはネフェルが居る部屋の扉を叩いた。
「陛下、今、大丈夫でしょうか?」
いつも通りの時刻。報告の時間。
「メレフですね、入ってください」
メレフは入ると軽く会釈をした。
広く開放感のある部屋で、小さな背丈には不釣り合いな煌びやかで大きな玉座にネフェルは浅く腰掛けていた。彼はメレフの姿を視界に捉えるとスクッと立ち上がり、さぁ話してください、と報告を促した。
「本日もスペルビア帝国内での大きな事件等は見られていません。
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