『ありがとう』を君にNo.4視点
ー 朝起きて,顔を洗って,朝ごはんを食べる。
これが大体の人間が朝にする行動だと知ったのは、自分達が実験用施設の様な場所から逃げ,『リヴリー』とやらの研究をしている職員に拾われてからである。
初めて冷たくない水を浴びたり,毒や薬じゃないご飯が出てきたり…
職員さん達は初めて僕とゼロに『幸せ』を与えてくれた人達。
…そんな事を思い出しながら、テレビの電源をつける。
すると,天気の話をしていた女の人が『そういえばそろそろクリスマスの時期が近づいてきましたね〜』
と言った。
『くりすます』?
一体何をする日なんや?
この場所に来てから初めての冬やから,くりすますなんて今初めて知った…。
これゼロ知っとるん?聞いてみよ…
「なぁ,ゼロ」
0「何〜?フォー」
「”くりすます”って何をする日なん?」
0「…ん?くりすますって何…?そんな日あるん?」
「今テレビで女の人が『くりすますの時期』って言うとった。くりすますってそんなに有名なんか…?」
0「うーむ…ワイも初めて知ったし,1回職員さん達に聞いてみよか」
「せやな」
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職員「あぁ,クリスマスですね。
クリスマスというのは子供達が”サンタクロース”にお願いして,プレゼントを貰う日の事ですよ。」
「じゃあ僕達は年齢とか分からんから貰えへんのかなぁ…」
0「うむぅ…わからんなぁ…」
職員「そんなに心配しなくても大丈夫ですよ!そうだ,クリスマスになったら皆でクリスマスパーティをしましょう!」
「パーティ…?!ええの?!」
0「フォーはほんまにパーティ好きやなぁ…ワイも好きやけどw」
職員「勿論ですよ
あっ…そろそろ会議の時間だ…!
すみません,そろそろ失礼します
また分からないことがあったら聞いてくださいね〜!」
「「ありがとう〜職員さん〜」」
…行ってしもたな〜
それにしても,『プレゼントを貰う日』か…
せやええこと思いついた
「ゼロええこと思いついたから聞いて」
0「ん〜何何〜?」
「いつもお世話になってる職員さん達にクリスマスプレゼント渡そ」
0「天才か…?そうと決まれば早速プレゼント何にするか考えようや」
「じゃあまずは〜…」
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………………………
……………
……
「「…で、出来たぁぁ」」
0「フォーはよ渡しに行こ」
「うん行こ」
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No.0視点
フォーと一緒に作ったプレゼント,喜んでくれるとええなぁ〜…
「「職員さん達いますか〜」」
…ドタドタッ
職員「「「「どうしました」」」」
いざ言おうと思うと緊張するなぁ…
よし…
4「いつもありがとう…」
「これ…2人で作ったクリスマスプレゼントです」
「「受け取ってください」」
シーン…
ーむっちゃ静かや…やばい…プレゼント嬉しくなかったんかなぁ…
職員「…グスッ」
「…え?」
職員「めぢゃぐぢゃうれじぃでず
ありがとうございまず(泣)」
4「…え?!職員さんなんで泣いてるん」
よく見たら他の人も泣いてるなんでぇ
職員「プレゼント…開けてもいい…?」
4「どうぞ…」
ペリペリ…パカッ…
職員「すごい…全員分の人形だ」
「皆大好きやから…2人で一生懸命作ってん」
職員「嬉しい…ありがとう」
職員2「これ俺だすごい…そっくり…」
職員3「おぉ…これは私だすごく綺麗に作られてる」
皆喜んでくれてよかったぁ…
4「…実はゼロにもプレゼントあんねん」
「…え?」
4「これ…」
そう言って渡されたのは,『いつもありがとう,ゼロ』という文字が書かれた手紙と,自分とフォーが描かれた綺麗な絵だった。
「…これ…ワイに?」
4「そう。…いつもありがとう,ここまで生きてこれたのはゼロが一緒にいてくれたからやで,
これからもよろしく。」
…あぁ,ワイは守れてたんや
人体実験をされてた頃は見れなかったフォーの笑顔,
ここに来てからよく笑ってくれるようになった
ずっと…本当に守れてるんか不安やった。
ポタッポタッ…
4「えぇゼロまで泣くん」
ー 今,ワイ泣いてるんか…
でも,これは悲しい時の涙じゃない
ー「幸せ」を感じた時の涙や ー
「ありがとう…」
4「…ほら,今日は職員さん達がご馳走作ってくれるんやって!はよ行こ」
「うん!!」
ー 昔の自分達には「幸せ」がなにか分からなかった。
でも,今なら分かる気がする。
フォーが居るこの世界で生きている事,そして,愛してくれる職員さん達が居ることがワイにとっての「幸せ」
そんな「幸せ」を教えてくれたフォーに抱きつきこう言った。
「一緒に生きてくれてありがとう」