ふたり、のたり。 シオンが目を覚ましたのは、昼を回った頃だった。
夕べは遅くまで書類と格闘をしていたため、つい起きるのが遅くなってしまったのだ。
「腹減ったな……」
寝ぐせのついた髪に手をやって、シオンは辺りを見回した。
いつもは「腹減った口撃」がやかましいヘキサも、今日は珍しく大人しい。
「……居ないのか」
机の上に置いていた『非常用』の貯金箱が、空っぽで横倒しになっているところをみると、いつまでも起きてこないシオンに立腹して、ひとりで外食に出たのだろう。
「あいつ……全部持って行きやがったな」
給料前の数日を凌ぐために貯めていたのを根こそぎ持っていかれ、シオンは眉間に皺を寄せて項垂れた。
「今日は昼抜き決定だな……」
1991