尚六な延主従に24の質問 −前半戦−※前置きが長いので、24質部分のみ読みたい方は
■■■前半戦■■■の辺りまで飛ばしてください♡⃜
昨夜は仁重殿の六太の牀榻で眠りに就いた延主従。
明日は二人で関弓に下りて羽を伸ばそうとの提案に、台輔は久しぶりの逢引きだと心密かにうきうきしていたのだが…
「…た……六太。」
「んぁ…?」
尚隆に揺り起こされ目を覚ますと、そこは見覚えのない場所だった。
「え…?何ここ…しょーりゅーが運んだのか…?」
「いや。気が付いた時にはここに居た」
六太は首を傾げる。自分はともかく、薬でも嗅がされない限り尚隆が気付かぬままに場所を移されることなど有り得ない。
きょろきょろと辺りを見回すも、なんの情報も得られなかった。どうやらここにはー…
「扉が…ない…?」
「なさそうだ。というか、この牀榻とその小卓の他は何も…壁すら見当たらん」
「どういうことだよ…」
「少なくとも普通の状況ではないな」
「…」
そりゃそーだ、の言葉を飲み込んで眉根を寄せる六太の手を、尚隆がそっと引く。
「そう顔を顰めるな。焦ってどうこうなる状況でもなさそうだ。それなら二人だけの空間を存分に味わいたいとは思わんか」
「…ばっかじゃねーの…」
口調にそぐわず可愛い顔を見せた半身に、尚隆が満足気に口付けようとしたところでー…突然、かさりと音がした。
見つめ合っていた二人が顔を上げれば、先程まで何も無かった筈の小卓の上に1枚の紙が置かれている。
[以下の二十四の問い全てに答えれば元の部屋に戻そう]
「………どーゆーことだ?」
怪訝そうにする六太の横で、尚隆がゆっくと口を開く。
「やはりこれは…」
「「天帝の仕業」」
二人の声が重なる。
只人…どころか仙にもできないであろう不思議な所業。これは恐らく天帝の仕業なのだろう。天帝は二次創作に都合の良い存在としても知られている。(※誤解です)
「なんでだよ〜…」
「まあそう剝れるな。質問に答えさえすれば出られるのだろう」
「だって俺…街に降りんの楽しみにしてたのに」
「六太…」
「だいたい喉渇いたし。」
言うが早いか、ことり、と音がしたかと思えば小卓には茶器が並び、辺りには柔らかな香りが漂う。
「………果物もほしい」
「なかなか欲張るではないか。ここまで準備させたのだ、気は済んだろう。とにかく答えれば良いのだから」
「さっさと答えて関弓にいく」
「そうしよう」
かくして、机に並んだお茶と果物を頬張りながら問答は始まったのだったー…
■■■前半戦■■■(全年齢向け)
1.お二人が懇ろになったのはいつですか?
「なんでそんなの訊くんだよ」
「…百年と二百年の間頃、までで良いか」
「もう細かい事忘れてんじゃねーの」
「莫迦を言うな」
2.お相手へのお気持ちが芽生えた、またはご自覚なさったのはいつでしょう?
「…明確に自覚したのは五十年を過ぎてからだが…」
「なんだよ…」
「後から考えれば、俺は拾ったあの時からどうにも気になって仕方がなかったのだなと思ったよ」
「……おれは最初からそうだよ。」
「よく言う。六太と麒麟の感情の別に気付かせるのに苦労した」
3.お二人のご関係は、どなたがどこまでご存知なのでしょうか?
「特に公言はしていないが隠してもいない」
「だな。玄英宮に勤めてる奴は大体知ってると思う」
4.蓬莱(瀬戸内)でのお相手についてお聞かせください
「…民に慕われてたし俺にもよくしてくれて、たぶん良いやつだったと思う。けど、こいつも統治者になるんだなって、俺からしたらすごく複雑だった。」
「いつも俺に付いて回るくせに何か別の所をを見ているような…それでいて、お前が隣にいるのが心地良かったのを覚えている」
「ふぅん…」
5.常世(十二国)に渡ってからのお相手についてお聞かせください
「馬鹿殿が本物の馬鹿殿になった」
「こちらに渡ってからと言うより、信用する前と後が違う。かなり張り詰めたような顔をしていたのが、随分と穏やかになった」
「なんだよ…ちゃんと答えれば良いんだろ。髪が伸びた」
「…お前も髪だけは伸びたな」
「成獣だからいーの!」
6.今のようなご関係を育むにあたり、何か障害はありましたか?
「六太自身だな」
「否定はしない…」
「そこもお前の可愛い所だとは思っている」
「…そうかよ」
7.主上の妓楼通いについて、現在どうなっていますか?
「諜報活動の一環だ」
「姐ちゃん達は風漢様に呼んで欲しがってるけど?」
「とは言うがな。一度お前が迎えに来れば、その店子からは声すら掛からん」
「どーだか?」
「お前のその容姿で誰が勝てると思うのか…」
8.常世へのお渡り以後、台輔が主上を蓬莱の御名でお呼びになったことはありますか?
ある場合はその時の感想を、ない場合はその理由をどうぞ
「これ答えていーのか?」
「……仕方あるまい」
「偶に、呼ぶことはある」
「あれを形容するのは難しい。此奴だけが、本当に全てを知る…半身なのだと思い起こさせる」
「俺は好きだけど。甘えられてる感じするし」
9.主従、情人、伴侶、家族、友人等々…さまざまなご関係を内包しているお二人ですが、その比率をおおよそでいいので教えてください
「比率って…五百年もいるんだぞ。今更関係を分別なんかできない。ぜんぶ一緒くただろ」
「分けようがないから『半身』だな」
10.お相手がお二人にとって大切な記憶を失っても、お相手を愛せますか?
「関係ない」
「ほう、言い切るな」
「別に。お前が耄碌しても俺が覚えてるし、俺が耄碌してたらお前が覚えてろよ」
「はは。いっそ共に耄碌するのも悪くないかもな」
11.来世があるとして、またお相手と出会いたいですか?
「…俺が探さずともお前が見つけに来そうだがな」
「……そうならないようにして欲しいんだけど」
「今から手放す気がない訳か?随分と熱烈だな」
「五月蝿い」
12.お相手に対して「愛しい」と思うところを最低三つ挙げて惚気けてください 難しい場合はお相手の望むところに心を込めて口づけをしてあげてください
「…どこがいい」
「何だ、もう降参か。では首に」
「なんかそれ…やらしー」
「心を込めてだぞ。さて六太の愛しいところか…まずはこの五百歳を超えているとは思えぬ憎まれ口だな。誰が見ても解るだろうが概ね照れ隠しだ。二つ目はその憎まれ口で隠せてない愛念だろうか。特に目が雄弁でー…」
「俺は口!ほら早く口にしろ!!」
「ほらな」
■■■前半戦 終了■■■