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    kimuranatsuno

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    kimuranatsuno

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    もだもだイチャイチャするスミイサ@豪華客船
    グイグイ行くタイプのイサミと察しの良いルルちゃんがいます。

    #スミイサ
    #ルイイサ

    【スミイサ】日本ではそれをギャップ萌えという【ルイイサ】 戦いの後処理と秘匿の算段と世界復興のゴタゴタのあいまをぬって、イサミとスミスの関係は恋仲に発展した。といっても、そこにはロマンスのかけらもない。もともとスミスは……ブレイバーンはイサミへの好意を隠そうとしていなかったから、イサミが一歩を踏み出せば、あとは転げ落ちるようにそうなった。
     そんな二人の恋に障害など存在しないように思える。けれど実際はそう甘くない。二人きりになれる時間がなかったのだ。仲間も友人も野次馬も、みんなヒーローの顔をひと目でも見たがった。各所を巡るセレモニーでは必ず衆目にさらされた。聴取や身体検査は、いつも個別に行われた。
     転げ落ちるように始まった二人の恋愛は、じれったい幸福のなかで停滞していた。戦いが終わった直後も、世界がすこしずつ復興してゆく今でさえ、キスから先へ進めずにいる。
     それから半年。
     繰り返される英雄譚に人々が飽き、ヒーローの存在が復興のシンボルへと落ち着いたころ。イサミとスミスに、ようやくいくばくかの自由が与えられた。行動の制限はあるものの、希望したとおり任務をこなすことができる。休日だってある。しかし、そんな平穏な日々も束の間。イサミとスミス、そしてルルは、ふたたび非日常に放り込まれた。豪華客船世界一周の旅(半強制)である。

     天候は晴れ。海面はキラキラ輝き、波はおだやか。風はそよぐ程度のやさしさで、パラソルの下の男たちを撫でていく。ゆっくりと過ぎていく時間は、生きていることを否が応でも実感させてくれる。落ち着いてものごとを考えるのにも最適だ。
     就寝と検査以外で横になるなんて、どれくらいぶりだろう。イサミはそんなことを考えながら、いろいろなフルーツの飾られたトロピカルジュースをひとくち飲んだ。得体の知れない青緑色のそれは、味がぼやけていて美味しさがよく分からない。一方、デッキチェアで並んで横にいるスミスは、船上プールで泳ぐルルをサングラス越しに見ていた。上手く息継ぎができない彼女に、時たまアドバイスをしたりしている。
     ブレイバーンがスミスに戻り、世界にも平和が戻った。翳りない幸せなひとときが、その空間にはある。ひとつだけ、イサミの心情を除いて。
    「なぁスミス」
    「なんだ? イサミ」
    「お前、なんで俺のこと避けてたんだよ」
    「!」
     色の濃いサングラスをかけていても分かるくらい、スミスは動揺した。それはもう、ギクッという書き文字まで見えそうなくらいに。
    「……分かりやすいんだよ」
     なのにイサミは、スミスの気持ちがまったく理解できない。
     以前ほどの忙しさがなくなってから、一夜を共にするチャンスはいくらでもあった。それなのに、スミスはイサミに会おうとしなかった。そのくせ偶然顔を合わせようものなら、心底嬉しそうに笑う。人目もはばからず肩を組み、親愛を込めてハグをしてくる。しかし恋人として先に進もうとすると、決まって二人の足並みは揃わなくなった。二の足を踏むのは、いつもスミスだ。ベッドでの役割は最初に相談済みだから──しかもスミスから「抱きたい」との申し出があった──プラトニックな関係を望んでいるわけでもないだろうに。そのままズルズルと時は過ぎ、どういうわけか豪華客船の上にいる。
    「すまなかった」
     長くうつむいていたスミスは、サングラスを外してイサミを見つめた。
    「怖くて」
    「何がだよ」
     イサミの強い口調にスミスは眉尻を下げ、プールを横目でうかがうように見た。クロールとバタフライの中間の動きで必死に泳ぐルルは、二人のただならぬ様子などまるで気にしていない。それを確認すると、スミスは静かに話し始める。
    「先に進むのが」
    「なんでだよ」
    「ええっと……」
     イサミは矢継ぎ早に問い詰めるが、スミスは歯切れが悪い。やがて何かを言いかけて、やめて、それを何度か繰り返してから、言葉を選ぶように告げた。
    「相性が悪いと、気持ちが冷めてしまうような気がして」
    「相性? 今さらなんの──ッ」
     イサミがそこまで言って言葉を打ち切ったのは、スミスの顔が目前に迫っていたからだ。金とみどり。表情よりも、色に意識を釘付けにされる。キス? そう感じたイサミは受け入れる気持ちに切り替えたが、スミスの唇はイサミの輪郭をかすめ去っていった。そうしてさらに身を乗り出して、その三文字を耳打ちする。
    「SEX」
     その瞬間、ゾワッともブワッともつかない感覚が、イサミの背筋を駆け抜けた。
     イサミだって成人男性だ。そんな単語で照れるほどウブではない。なのに、体は過剰に反応した。そうなってしまったのは言葉の持つ意味のせいではなくて、スミスのせいだ。無自覚な不意打ちと、声量を抑えたことによる声の重さ、憂いと艶っぽさ、かすれ。それらが合わさって、即効性のある麻薬のように作用した。キスされるよりも顔が火照って、気温が一気に上昇したかと思うくらいだ。少なくとも、体温と心拍数は上がった。
    「……ッ!」
     デッキチェアの上にいながら、イサミは限界までスミスとの距離を取った。
     ささやく声だけで明らかだ。相性が悪いわけがない。
    「それでも──」
     うるさい心臓をなだめようと胸に手を当てるイサミを見つめて、スミスは言葉を続ける。
    「二人きりになると、したくてたまらなくなって……だからずっと困ってた」
    「スミス……」
     その表情は、まるで叱られる大型犬のようだ。戦闘時のスミスからは想像もできなくて、幼気にさえ感じる。そんな様子を見ていると、イサミの鼓動はすぐに落ち着いた。代わりにじわじわと笑みがこみ上げてきて、胸の手を口元にやる。
     この感情の主成分はスミスからのBig Loveだ。さらに『強く求められていた』という安心感とよろこび。そして、あと少しだけ含まれる、この気持ちの名前は……カトウ三曹が言っていた気がする。これは。
    「ギャップ萌え?」
    「ん? gap? more?」
    「なんでもねえよ。気にすんな」
     そう言うと、イサミは誤魔化すようにトロピカルジュースに手を伸ばした。まだ三分のニほど残るドリンクを吸い上げて、一気にからっぽにする。そして深く息をして、スミスではなく正面をまっすぐ見つめたまま。
    「なぁスミス。二人きりになれる所、行かねぇ?」
     イサミのその意図が時間差を経て伝わると、スミスの顔が一瞬で真っ赤になった。
    「イサミ……ッ、あぁッ、でも、でも準備が」
    「心? 俺?」
    「イ、イサミの」
    「出来てなきゃこんなこと言わねえよ!」
     イサミは勢いよく立ち上がると、スミスの腕を力強く引く。そしてちょうどプールの水面に上がってきたルルへ、大きな声で呼びかけた。
    「ルル! 俺たちちょっと船の中見てくる! 危ないことすんなよ!」
    「ガピッ、分かったー」
     ルルが両手を振って返事をするのを見届けると、イサミはスミスを連れて船内へ向かった。
    「イサミ……スミス……」
     二人の後ろ姿と足取りを見て、ルルは何かを察する。その直感は正しかった。
     それから丸一日のあいだ、二人の姿を見た者は誰もいなかったという。


    【やっぱりめちゃめちゃ相性がよかった後のピロートーク】

    「スミス=ブレイバーンって思い知ったわ無茶しやがって。お前に合わせてたらこっちの身が持たねぇ……前も言ったなこれ」
    「アハハ、言われたな」
    「笑ってんじゃねえよ! 次からは俺が『やめろ』って言ったらやめろよ」
    「しかしイサミ」
    「ンだよ。日本語でも分かるだろそれくらい」
    「ぜんぜん「YAMERO」って顔、してなかったから……」
    「…………」
    「思い出したら、もう一回したくなってきた。イサミ、OK?」
    「……一回だけだぞ」
    「That's amazing! 普段のイサミはクールでプリティだが、ベッドでは情熱的でビューティフルだ。たまらなくゾクゾクするな」
    「はっ……それ日本語で『ギャップ萌え』って言うんだぜ」
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    kimuranatsuno

    DOODLE複座スミイサ。ギスギスしている。クヌに目を付けられたきっかけのようなもの妄想。
    【複座】眩いばかり 洗っても洗っても拭えない、走っても走っても振り切ることができない、目を閉じても消えていかない濃密な死の予感に囚われたとき、何を望むのが人間か。

     XM3ライジング・オルトス。日米が極秘に開発していた複座式TSには、日本とアメリカからパイロットが一人ずつ選ばれた。まずはシステムを運用できる数少ない適合者であるイサミ・アオ三尉。そして、そのイサミに『ついていける』人間、ルイス・スミス少尉だ。
     前線に投入されたライジング・オルトスは、希望をつなぐのに十分な初陣を飾った。それまではどうにか凌ぐしかなかった敵の攻撃を押し切り、バリアを破って撃破したのだ。それも、何体も。
     ライジング・オルトスの活躍、そして必死にかき集めた情報、部隊の練度向上もあり、一進一退ではあったが人類は未知の敵に対抗できるまでになった。作戦を牽引するのは、もちろんイサミとスミスだ。しかし敵を退けたあとに行われる二人の反省会は、もっぱら言い争いで終わることのほうが多い。その多くはイサミの独断専行に端を発するものだったが、今回は違っていた。
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