それでもあなたは僕の光 兄という生き物が、たまに理解できない。
フィン・エイムズは寮の部屋で、ぼんやりそう考えていた。
フィンの友人には、妹をとても大切にしている少年がいる。ランス・クラウンはフィンが今まで見てきた中でも、特に兄妹愛に溢れた人物であった。妹をすぐ布教しようとするその姿勢だけは、どうかと思うけれど。
ただ、そんなランスを見ていて思うのだ。
ランスの妹は彼の話だと優しくて明るい天使のような人物で、愛され大切にされるべき女の子である。
そんな彼女と比べて、自分はどうだろうか。
兄と比べて劣等生な自分。兄の顔に泥を塗ってばかりの、ドジな自分。幼い頃から泣いてばかりで、兄の足を引っ張ってばかりだった自分。
そんな自分は、兄に大切にされる弟に、相応しくないのではないか。
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