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    🏦 方向性が定まらない とりあえずオバキル組が好き

     血塗れの男が転がり込んでくる。

     連絡を貰って暫く待って、扉を開けてみるまで予想だにしなかった事態である。獅子神敬一という男の目は、残念ながら、未来視が出来る能力を備えていない。

    「病院行け!」
    「医者に対して何言ってる?」

     馬鹿にするというよりかは純粋に疑問を向けてくる男は、村雨礼二。たった今自称した通りの職業に就いているので、流血沙汰への耐性がありすぎる。
     平然としている様子を見るに、彼自身が大きな怪我を負った訳ではないのだろう。何処か安堵する気持ちを不快に捉えながら、獅子神は溜め息を吐く。
    「誰を殺めてきたんだ」
    「あなたがそれを聞いてどうする」
     殺ってそうだ。が、この医療従事者が無差別で無益な殺生に至るかといえば多分そんな事はない。質問に質問を被せた不躾な男を、獅子神は苦々しい目で睨め付ける。この不審者といつまでも玄関先で話していたくない。

    「あ、村雨さんだー。こんばんは!」

     と、ひょっこり顔を出し、軽快な挨拶をした家主の方向へ、深い真紅が緩慢に転がる。眉を顰めながら。
    「あなたも居たのか」
    「俺だけ居るワケねーだろ! 誰ん家だと思ってんだ!」
    「私はあなたが何処に暮らしているかなど知らないし、然したる興味もない」
    「俺がコイツと同居してたら事だろうが……!」
    「同衾していない事くらいは存じている。縁も所縁もない奴隷をオークションで買い漁って奴隷を量産していたと聞いていたが、それは事ではないのか?」
     平然と言ってのける男に、獅子神は歯を剥いた。以前、耳が聞こえていても会話は噛み合わないと評されていたが、歯車が噛み合った状態で会話がまるで成り立たない。
     この態度で普段の仕事はどうしているのか。外科医と聞いているが問診はする筈だ。荒唐無稽な医師に当たってしまった患者の無事を一瞬だけ祈った後、舌を打ちながら青年はドアを広く開いた。
    「さっさと入ってくれ。変な噂が立つのも防犯カメラに余計な映像が残るのも御免だ」
    「気にするという事は、やはりこの家に何かあると不都合な関係なのか」
    「さっさと入れって言ってんだろ!」
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