すべては私が眠る間に~プロローグ、1、2プロローグ
「ゆっくりおやすみください。 私の姫」
幸村さんはそう言いながら眠りにつこうとする私のおでこを撫でてきた。
力強く大きな手。 その温かさと優しさに安心して私は眠りにつく。
だけどそのときの私は知らなかった。
幸村さんは、ううん幸村さんだけではない。 兄さん も、そして他の八葉も、悲愴な決意を胸に抱いていたということを。
そんなことに気づかなかった私は疲労感が身体に広がっていくのを感じ眠りにつく。
ただ、 先ほど幸村さんが触れてくれたおでこ。 そこから広がる温かい気持ちが心地よく、私はぐっすりと眠りについたのだった。 幸村さんたちが死闘に向かおうとしていることに気づきもせず。
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冬の凍てつく空気が頬を掠めていく。
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