「花梨、最近かわいくなったよな」
そうイサトが話したのは京の町に雪が降りだした頃。と言っても、今年は気が交わらなかった関係でいつもより遅いんだけど。
「そうか? 俺にはそうは見えねーけど」
イサトですらと言っては失礼かもしれないけど、女の様子にいちいち気づくようには見えないあいつがそう言うんだから、そうなのかもしれない。
そう思いながら脳内に花梨の姿を思い浮かべる。
京にいる女としては珍しく男のように髪を短くし、怨霊退治のため町やときには野山も駆け巡る。
その姿はかわいいというより健気で、それでいてときには無茶をしやがるから心配になってしまう。
でも、イサトが言うように、あいつそんなにかわいくなったか? 俺には前と変わっていない気がするんだが。
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