雨水を含んで重くなってしまったパンプスで店頭のマットを踏みしめる。自動ドアが開くと同時に鳴り出す無機質な入店音に、どうしてか少し安堵した。
終電を間近に控えた深夜のコンビニは駅前の店舗だというのにがらんとしている。入口付近に目当ての商品が置いていないことを確認して、レジの方へ目を向ける。この時間のシフトを一人で回しているらしい店員の男の子はスーツ姿の男性を相手にレジを打っていた。ひとまず壁沿いに雑誌コーナーを通り抜けて、ドリンクコーナーから夕食のお供にする飲み物を選ぶことにした。
新商品のポップが添えられたフルーツフレーバーの紅茶が気になったけれど、寝る前にカフェインは取りたくないと思い直してその前を通り過ぎる。天然水と悩んでから、鉄分入りの飲むヨーグルトを手に取った。鉄分不足を感じていたわけではないけれど、なんとなく健康に良さそうだからという単純な理由で。
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