──君と初めて一緒に光華を見上げた夜は、随分と慌ただしく突拍子もないものだったね。過去の日を思い出して、ユリウスは口元に笑みを浮かべた。
今日もレヴィオンでは光華大会が開かれ、雷雲を吹き飛ばすように勢いよく打ち上げられた火薬玉が夜空で光の華を咲かせている。何度も回を重ねるごとに洗練されていく技術と美しさに人々は目を輝かせ、最早光華はレヴィオンになくてはならない観光事業の目玉となっていた。
普段はアルベールが監督として打ち上げ場所で指揮を執っているが、彼の下で光華の技術を学んだ部下たちが光華職人としてめきめきと腕を上達させていることもあり、今回はアルベールの指示なしで最後まで打ち上げを執り行ってみようとのことになった。そんなわけで彼は今、ユリウスと共に打ち上げ現場から少し離れた丘の上で二人夜空を眺めている。
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