赤い海 肉の砂浜(2)ある意味、かわいそうなのかもね。でもまあ僕からしたら、猿ちゃんを悲しませやがって許しちゃおけないぞ! ってそれだけなんだけど。
ということで、僕は重い重い荷物をよっこらしょと持ち上げた。そこに、遅く起きてきた(正確に言うと、理解くんに五時に叩き起こされたあと、ゆうゆうと二度寝していた)天彦さんがぬっと出てきて、手を差し出してきた。「依央利さん、僕が持ちます。せめて半分」不自然な荷物の正体も聞くことなくなんて紳士的な申し出。ド変態とは思えないぜ。
「大丈夫です、奴隷ですから!」僕は反射的に断ったが、「いやいや、その量を持つのはどう考えても無理ですよ」と天彦さん。ちょっぴり考え込んでしまう。これは奴隷としてはあんまり嬉しくないけれど、今日ばかりはとにかくこの仕事をさっさと終わらせなければまずいのだ。
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