夕焼け色のキミに恋をした「はじめにいさま! みて! きれいなゆうやけ!」
そう言って俺のほうを振り返るきみが、あまりにも輝いて見えて。
なぜだろう。胸が苦しくなる。
花のような笑顔を直視できなくて、頬の熱を夕日のせいにしてきみの手を取った。
「さあ、かえろう、ゆき」
「はい!」
握り返された手の感触に、心臓がとくりと跳ねた。
◇
「始さん。見てください。綺麗な夕焼けです」
そう言って俺のほうを振り返る彼女は、まだ幼かったあの時よりも遥かに大人びた、でも、あの時と変わらない綺麗な笑顔で。
「ああ、綺麗だな」
あの時と同じようにそっと手を取る俺に、あの時と同じように笑顔を向けて。
「さあ、帰ろう、雪」
「はい」
握り返された手の感触も、あの時と同じ。
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