くろねこくっきー「ポー様が僕にクッキーをくださったんだ」
「みんな貰っているよ。兄貴」
「帝国図書館が対侵蝕者の前線基地として動き出して六年だというからね」
十月三十一日、ハロウィン。三月ウサギの仮装をしたランボーと白うさぎの仮装をしたキャロル、そしてお化けのようにシーツを被ったボードレールが帝国図書館分館の片隅にいた。
ボードレールが小袋に入ったクッキーを見せた。黒猫の形をしたクッキーと格子模様のアイスボックスクッキーが一つ入っている。
この日は帝国図書館が対侵蝕者の前線基地として動き出した日でもある。当時は特務司書の少女と徳田秋声、織田作之助しかいなかったというが今では文豪は八十三人もいた。
ポーがクッキーを作っていたのは特務司書の少女や図書館スタッフが記念にクッキーでも配ろうとしていて、分館の管理者である『くま』が制作していたのだが、ラヴクラフトと壺が全部食べてしまったからだ。
643