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    東京喰種

    Dochi_Kochi28

    DONEからっぽな朝、満たされた夜

    東京喰種二次創作 アモアキSS
    べたべたに甘いうえにほわほわ風味なのでお気を付けください 解釈違いもあるのかもしれません
    行かないで。行かないで。とうさん。
    必死になって追いかけるのに、目の前の人はやさしいまなざしでこちらを見つめ、手を振っている。
    わかっている。俺はまだ、そっちには行けない。言ってはならない、行ってはならない。

    そうして、手を伸ばして、目が覚める。
    気が付くと、涙を流している自分がいた。
    そして、さっきまで伸ばしていた右腕がある、と自覚して、安堵してまた涙が流れる。

    あの戦いの後、孤児院にいた時の夢を見るようになった。
    つらい思い出も、楽しい思い出も、一緒くたになって夢を見る。
    まるで今まで押し込めていたからっぽな部分が満たされるみたいに。


    そういうことがあってから、どれくらい経ったのかはわからないけれど。
    いつものように、アキラをベッドに寝かせてから自分の部屋に戻ろうとした時だった。
    「?」
    ベッドから立ち上がろうとして、立ち上がれないことに気が付く。アキラが後ろから俺の服を掴んでいるのだ。
    「どうした、アキ」
    「一緒に寝ろ。」
    「いや、俺は」
    「いいから、動くな。」
    観念して、アキラが開けてくれた隙間に体を横たえる。
    「気づかない、とでも思ったのか毎朝泣いているだろう。」
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