みどりた//ウラリタ
DONE甥に淡い思いを抱く叔母秀信+七緒
『叔母と甥』上巻より
一茎のあふひ、色にいづ その兆候はあった。
でもそれもいつからあったものなのか、自分でもわからない。
東の空が白み始め、庭に面した戸一つ分だけの淡い光が部屋の一角を明るく染める。暗がりにはまだ灯が灯り、閨から現れた甥の道筋を表しているようだった。その甥からはほんの微かにぬるい香りがする。
「おはようございます、叔母上」
朝早くに目通りを願ってやってきたが秀信は嫌な顔ひとつせずに迎えてくれた。ただ早々の身支度だったらしく、話す彼の後ろで一人の侍女が髪を梳いている。細く長い指が栗皮色の海をたゆたうように泳ぎ、通ったあとは艶が残る。話を聞きながら、まだ朝日を知らない夜を残した髪を七緒は目の端で捉えていた。
「僕としては……」
伏し目がちに手を動かすその女性の肌は白く、髪はとても黒い。唇も薄めの紅がちょんとのっただけの控えめな飾り、素直に美人のくくりに入れられる人だと思った。
3612でもそれもいつからあったものなのか、自分でもわからない。
東の空が白み始め、庭に面した戸一つ分だけの淡い光が部屋の一角を明るく染める。暗がりにはまだ灯が灯り、閨から現れた甥の道筋を表しているようだった。その甥からはほんの微かにぬるい香りがする。
「おはようございます、叔母上」
朝早くに目通りを願ってやってきたが秀信は嫌な顔ひとつせずに迎えてくれた。ただ早々の身支度だったらしく、話す彼の後ろで一人の侍女が髪を梳いている。細く長い指が栗皮色の海をたゆたうように泳ぎ、通ったあとは艶が残る。話を聞きながら、まだ朝日を知らない夜を残した髪を七緒は目の端で捉えていた。
「僕としては……」
伏し目がちに手を動かすその女性の肌は白く、髪はとても黒い。唇も薄めの紅がちょんとのっただけの控えめな飾り、素直に美人のくくりに入れられる人だと思った。
みどりた//ウラリタ
DONE秀信+七緒『叔母と甥』上巻より
仲良くなりたい叔母と甥
叔母上は年上の甥にむすびの糸を使いたい!「秀信、ちょっといい?」
彼女が僕の視界に収まると、自然と笑みがこぼれる。二つに束ねた桜色の髪が軽やかに右へ、左へ。どうやら機嫌がいいらしい。
「ちょうど一息つこうと思っていました、叔母上もいかがですか?」
その言葉は嘘ではない。早朝から早駆けの知らせが来るなり話を聞き、ちょっとした軍議を開き、その後は文を書き、考えを書にまとめ、気づけは腹の虫が鳴いていた。腹の皮が目の皮がたるむ。伸びてきたあたたかな日差しに手を差し出したいと思考が逸れて、なおざりに字が揺らぐところだった。
控えていた侍女に目配せをし、叔母を縁側へ促すとその手には小さな赤い巾着が。その中身が「ちょっといい?」の内容なのか。口角を上げて待ちきれない様子はまだ年端のいかない頃の姿を思い起こさせる。
1743彼女が僕の視界に収まると、自然と笑みがこぼれる。二つに束ねた桜色の髪が軽やかに右へ、左へ。どうやら機嫌がいいらしい。
「ちょうど一息つこうと思っていました、叔母上もいかがですか?」
その言葉は嘘ではない。早朝から早駆けの知らせが来るなり話を聞き、ちょっとした軍議を開き、その後は文を書き、考えを書にまとめ、気づけは腹の虫が鳴いていた。腹の皮が目の皮がたるむ。伸びてきたあたたかな日差しに手を差し出したいと思考が逸れて、なおざりに字が揺らぐところだった。
控えていた侍女に目配せをし、叔母を縁側へ促すとその手には小さな赤い巾着が。その中身が「ちょっといい?」の内容なのか。口角を上げて待ちきれない様子はまだ年端のいかない頃の姿を思い起こさせる。
みどりた//ウラリタ
DONE秀信+七緒叔母を嗜める甥
『叔母と甥』上巻より
潤溽暑 ―うるおうてむしあつし―「にしても暑い!」
「七緒、はしたないからそれはやめなさい」
日課の怨霊退治を終えて帰城した七緒はうだるような暑さに耐えられず、侍女を下がらせたことをいいことに板間の冷たさをその頬で享受していた。そして寝そべる七緒だけを兄が嗜める。隣には同じように溶けた大和だっているはずなのに。
「タイツなんか履いて暑くねーの?」
「暑い……から脱ぐ」
「待って、待って、七緒待って」
仕方なしに一度部屋の奥へ引っ込み、熱を集めため込む黒い女子の鎧を剥ぎに行く。動きやすいしスカートの中身を気にしなくていいタイツはとても便利なのだが破れてしまったらどうしよう。一応、龍穴を通って家に戻った際にありったけの買い置きは持ってきたけれど有限だ。
2313「七緒、はしたないからそれはやめなさい」
日課の怨霊退治を終えて帰城した七緒はうだるような暑さに耐えられず、侍女を下がらせたことをいいことに板間の冷たさをその頬で享受していた。そして寝そべる七緒だけを兄が嗜める。隣には同じように溶けた大和だっているはずなのに。
「タイツなんか履いて暑くねーの?」
「暑い……から脱ぐ」
「待って、待って、七緒待って」
仕方なしに一度部屋の奥へ引っ込み、熱を集めため込む黒い女子の鎧を剥ぎに行く。動きやすいしスカートの中身を気にしなくていいタイツはとても便利なのだが破れてしまったらどうしよう。一応、龍穴を通って家に戻った際にありったけの買い置きは持ってきたけれど有限だ。
pagupagu14
DONE兄さんは私の恋人/さつなな(遙か7)嫉妬する七緒のお話。ED後です
兄さんは私の恋人 「七緒、ごめん。待たせたか?」
「ううん、そんなことないよ。」
大学の食堂にて兄さん――五月と待ち合わせをしていた私は五月が少し遅れてきたことにほっと胸を撫でおろした。私の正面に座った五月は私と同じようにお弁当を取り出す。今日のお弁当は五月でも私でもなく三鶴さんが作ったものだ。最近、料理も勉強中だという三鶴さんだがどれも美味しく舌を巻いてしまうほどだった。
「…兄さんの味に似てる、兄弟だから?」
「…まあ、俺も教えたりしてたしなあ……」
そんなことを言いながらお弁当をつつく兄さんを微笑ましく思えて思わず見入ってしまう。――と、
「天野くん、隣いい?どの席も埋まっちゃってて困ってるんだよね」
そう声を掛けてきたのは見知らぬ女性だった。しかし私と五月がこうやって仲良く話しているのにこうやって割って入ってくる空気の読めなさに唖然としてしまう。話しかけられた五月は困った様子を見せつつこちらに視線を送る。
1511「ううん、そんなことないよ。」
大学の食堂にて兄さん――五月と待ち合わせをしていた私は五月が少し遅れてきたことにほっと胸を撫でおろした。私の正面に座った五月は私と同じようにお弁当を取り出す。今日のお弁当は五月でも私でもなく三鶴さんが作ったものだ。最近、料理も勉強中だという三鶴さんだがどれも美味しく舌を巻いてしまうほどだった。
「…兄さんの味に似てる、兄弟だから?」
「…まあ、俺も教えたりしてたしなあ……」
そんなことを言いながらお弁当をつつく兄さんを微笑ましく思えて思わず見入ってしまう。――と、
「天野くん、隣いい?どの席も埋まっちゃってて困ってるんだよね」
そう声を掛けてきたのは見知らぬ女性だった。しかし私と五月がこうやって仲良く話しているのにこうやって割って入ってくる空気の読めなさに唖然としてしまう。話しかけられた五月は困った様子を見せつつこちらに視線を送る。
百合菜
DONE「幸村の現代EDがあれば」を妄想した話。だけど、現代でもふたりは運命に翻弄されそうになるふたり。
幸せをつかみとることができるのか!?
永遠と刹那の狭間で:序章序章
「くっ……」
突如、渋谷に現れた怨霊の群れ。
周りにいるものたちにも『それ』は見えているらしく、逃げ惑っている。
そんな中、大学生となった天野七緒は戦国の世にいたときのように薙刀を振るう。
今日、薙刀を持っていたのは幸運というべきなのか。
それとも、何か運命に操られているのか。
ただ、今はそんなことを考える余裕はなく怨霊を倒すのが精一杯であった。
「姫!!」
遠くから聞こえてくるのは想い人の声。
時空を越えてめぐりあった青年―真田幸村。
彼が手にしているのは戦国の世で振るっていた槍ではなく、フェンシングの剣。
致命傷を負わすことは無理だが、意識を失うことくらいはできるらしい。
あっという間に敵を薙ぎ払い七緒の元へやってきた。
662「くっ……」
突如、渋谷に現れた怨霊の群れ。
周りにいるものたちにも『それ』は見えているらしく、逃げ惑っている。
そんな中、大学生となった天野七緒は戦国の世にいたときのように薙刀を振るう。
今日、薙刀を持っていたのは幸運というべきなのか。
それとも、何か運命に操られているのか。
ただ、今はそんなことを考える余裕はなく怨霊を倒すのが精一杯であった。
「姫!!」
遠くから聞こえてくるのは想い人の声。
時空を越えてめぐりあった青年―真田幸村。
彼が手にしているのは戦国の世で振るっていた槍ではなく、フェンシングの剣。
致命傷を負わすことは無理だが、意識を失うことくらいはできるらしい。
あっという間に敵を薙ぎ払い七緒の元へやってきた。
百合菜
PAST #はるななエンディング後の幸せな風景に参加させていただいたときの作品です。
現代の東京で幸村と過ごす七緒。
顔馴染みの果物屋さんには幸村との関係を冷やかされる日々。
そんな中、クリスマスイブに幸村と行ったディナーで七緒が言われたこととは?
「七緒ちゃん、今日はりんごが安いよ!」
東京来て二度目の冬。
新しい年まで数日となったその日、コートにくるまれながら七緒はマンションまでの道を歩く。去年の冬に幸村と一緒に買ったものだが、もこもこした感触が気に入っていて、それを着るだけで寒さが吹き飛ぶような気がする。
そして、商店街を歩いていると、すっかり顔なじみとなった果物屋の店員に話しかけられる。
「りんごか……」
幸村の出身である信濃はりんごの産地として有名だが、幸村が過ごした時期はまだりんごの栽培がされていなかったらしい。
そのため、こちらの世界でりんごを口にしたときはその甘さと酸っぱさが混ざった味に目を白黒させていた。
でも、それは最初だけのこと。その後、りんごは幸村の好物のひとつに加わった。
2463東京来て二度目の冬。
新しい年まで数日となったその日、コートにくるまれながら七緒はマンションまでの道を歩く。去年の冬に幸村と一緒に買ったものだが、もこもこした感触が気に入っていて、それを着るだけで寒さが吹き飛ぶような気がする。
そして、商店街を歩いていると、すっかり顔なじみとなった果物屋の店員に話しかけられる。
「りんごか……」
幸村の出身である信濃はりんごの産地として有名だが、幸村が過ごした時期はまだりんごの栽培がされていなかったらしい。
そのため、こちらの世界でりんごを口にしたときはその甘さと酸っぱさが混ざった味に目を白黒させていた。
でも、それは最初だけのこと。その後、りんごは幸村の好物のひとつに加わった。
百合菜
DONE幸村バッドエンドを元にした話。「これ以上、龍神の力を使わないでほしい」、幸村にそう言われた七緒はその言葉を守ることに。
ふたりは九度山での生活を送り、七緒は普通の人として生き、幸村とも家族になる。
ふたりの間には子どもも生まれ、一見平穏な生活を過ごすことに。
しかし、三成との約束を果たすため、幸村は大坂の陣へ行くことに。
バッドエンドでは命を落とした彼だけど、今回はどうなる!?
ここから開く新たな未来1.
「そう…… 豊臣方が……」
「ええ、姫もご存知のように私には豊臣に切っても切れない義理がございます。この戦の結末は見えているに等しいですが、私には赴かないといけいない理由があるのです」
慶長十九年(1614年)秋、九度山では一組の夫婦が真剣な眼差しで向き合い、話し合いをしていた。襖ひとつ隔てた寝室では子どもたちが寝息を立てている。
話し合いをしているのは真田幸村と七緒のふたり。
天下は徳川のものになったとはいえ、豊臣側の抵抗はたびたびおこなわれており、先日、ついに決定的な亀裂が入る出来事があった。
そこで、豊臣側はかつての臣下に声を掛けており、幸村も戦いに加勢するよう使いのものがやってきたらしい。
まっすぐ自分を見つめる瞳を見ながら、七緒はついにこの日がやってきたのかと思う。
11990「そう…… 豊臣方が……」
「ええ、姫もご存知のように私には豊臣に切っても切れない義理がございます。この戦の結末は見えているに等しいですが、私には赴かないといけいない理由があるのです」
慶長十九年(1614年)秋、九度山では一組の夫婦が真剣な眼差しで向き合い、話し合いをしていた。襖ひとつ隔てた寝室では子どもたちが寝息を立てている。
話し合いをしているのは真田幸村と七緒のふたり。
天下は徳川のものになったとはいえ、豊臣側の抵抗はたびたびおこなわれており、先日、ついに決定的な亀裂が入る出来事があった。
そこで、豊臣側はかつての臣下に声を掛けており、幸村も戦いに加勢するよう使いのものがやってきたらしい。
まっすぐ自分を見つめる瞳を見ながら、七緒はついにこの日がやってきたのかと思う。
starbirth-iori
DOODLE週末漫画と同時進行で別の絵も描いてます^^ようやく構図が固まった!!まだまだ途中なのですが、水彩塗りの実験を兼ねて、出来たところまでぬりぬり…。。。早く完成させたいな~!
ある方ともお話しさせていただいたんですが…一日が48時間ほしいっ!そうすれば平島殿漫画の続きとか、カピタン漫画も描けるのになぁ~><。 2
百合菜
DONE幸七の「そうだ、カレーを作ろう!」2021年2月7日に開催された天野七緒中心WEBオンリーで実施した「エアスケブ」でいたものです。
リクエストは「炊事をする幸七」。リベンジバージョンです。
天野家にやってきた八葉に提供するためカレーを作ることになった七緒。
幸村もそこに手伝いに来るが、七緒はあるひとりの存在を思い出してしまい……「この人数でご飯となればやっぱりカレーかな」
何度目かになる八葉一同による天野家の訪問。
時間も遅いため、今日はここで過ごし、明日戦国の世へ戻ることにした。
そんな中、五月と七緒の兄妹は台所で頭を悩ませている。
七緒を含めて9人の大所帯。
多少の買い置きはあるが、9人分の食事をいっぺんに用意するとなればメニューは限られてくる。
「そうだね、それが一番手っ取り早いよね」
五月の提案に七緒は頷く。
煮込むのに多少は時間が掛かるが、天野家にある食材でできるものとなれば、カレーが一番早い。
食べ盛りのものや体格のいいものばかりのため、ルーひと箱で済むかという不安もあるが、仕方がない。足りない場合は買い置きの冷凍コロッケでも出そう。
七緒がそう考えていると、五月が米を取りにいくため台所から出ていく。
すると、入れ替わり台所に入ってくるものの気配が。
「姫、何か手伝いましょうか?」
爽やかな笑みを浮かべながらそう話しかけてくる。
なぜだか最近その笑みを見ていると胸が苦しくなるのを感じるが、七緒はあえて気がつかないフリをしている。
たぶん、これは気がついてはいけない種類の感情だから。
「あ、幸村さ 2299
百合菜
DONE2021年2月7日に開催された天野七緒中心WEBオンリーで実施した「エアスケブ」で書いたものです。遅刻となってしまい、申し訳ございません。
リクエスト内容は、「空を見る二人」。
5章をイメージして書きました。では、どうぞ。
※ゲームを見返すエネルギーがないため、取り急ぎ「荘園」という言葉を使いました。
後日見返して訂正します。「若様、姫様、そろそろ休んだらどうだい?」
その日、七緒は幸村とともに真田家の荘園の見回ることとなった。
富士で呪詛返しを受けたため、現在、七緒は信濃でゆっくりと療養している。幸い身体の調子は戻ってきており、再度の富士登山に向けて体制を整えているところであった。
見回りと言っても幸村はただ視察するだけではなく、農作業に加わる。
故郷を離れていた時期が長いため、民とともに田畑の手入れを行うことが何よりの喜びだと話す様子が七緒には印象的だった。
幸村には「姫は木陰で休んでいてください」と言われるが、周りのものがあくせく働いているのを見ると申し訳ない気持ちになる。それに幸村が生まれた土地のために汗水を流しているのだから、少しでもいいから力になりたい。
そう思って七緒もともに身体を動かしていたのだが、思っていた以上に時間が経ったらしい。
太陽はいつの間にか空の一番高いところまで上り、強い日差しが七緒と幸村を照らしていた。
「せめてものお礼に」と言われて差し出されたおむすびを七緒は口に頬張る。
塩でシンプルに味付けされたものだが、空腹の身にはそれが却っておいしく感じる。
ふと何気なく七緒は 1602
百合菜
DONE2021年2月7日に開催された天野七緒中心WEBオンリーで実施した「エアスケブ」で書いたものです。リクエスト内容は、「突然の雨に人気の少ない場所で雨宿り」。
幸村8章から終章の間をイメージして書きました。広い大地の間を割くように閃光が走る。
そのことに気がついた次の瞬間、激しい音とともに地面を叩きつけるような大粒の雨が降り出す。
「姫、こちらへ!」
突然の大雨に驚き、身動きがとれなくなった七緒を幸村は強く手を引いていく。
バランスを崩しかかった七緒であるが、幸村に後れを取るまいと体勢を整え、走り出した。
「ここなら大丈夫ですね」
そう言って幸村が連れてきたのは廃屋と思われしき建物の軒下であった。
周りを見渡すとかつては田畑だったのかもしれないが、すっかり荒れ果てた土地となっており、草木が無造作に生えるだけであった。
「兄さんや大和は大丈夫かな……」
今、幸村たちは上田から九度山への長い旅路の最中。
五月や大和は先発隊の一員として先を行っているが、この雷雨には当たっていないだろうか。
そう不安に思う七緒であったが、幸村は七緒に笑みを向けて話す。
「五月たちであれば、そろそろ宿場町に到着するので、大丈夫かと思います」
五月たちが雨に当たる可能性が低いとなれば、考えるのは自分たちのことだけでいい。
そう思うと少しだけ安堵する。
だけど、逆に考えれば、五月たちにしてみれば、自分 1289
百合菜
DONE2021年2月7日に開催された天野七緒中心WEBオンリーで実施した「エアスケブ」で書いたものです。リクエスト内容は、「はっさくを食べる二人」。
本当は、「探索の間に、幸村と七緒が茶屋でかわいくはっさくを食べる」話を書きたかったのですが、実際に仕上がったのは夏の真田の庄で熱中症になりかかる七緒ちゃんの話でした^^;
※スケブなので、無理やり終わらせた感があります「暑い……」
七緒の口から思わずそんな言葉が出てきた。
富士に登ったものの、呪詛返しに遭い、療養することを強いられた夏。
無理ができない歯がゆさと戦いつつも、少しずつ体調を整えるため、その日、七緒は幸村の案内で真田の庄をまわっていた。
秋の収穫を待ちながら田畑の手入れを怠らないものたちを見ていると、七緒は心が落ち着くのを感じる。
幸村を育んだ土地というだけに穏やかな空気が流れているのだろうか。ここにはいつまでも滞在してしまいたくなる安心感がある。
しかし、そのとき七緒はひとつの違和感を覚えた。
呪詛とか怨霊の類ではない。もっと自分の根本に関わるようなもの。
おそらくこれは熱中症の前触れ。
他の土地よりは高地にあるため幾分和らいでいるとはいえ、やはり暑いことには変わりない。
七緒の変化に幸村も気づいたのだろう。
手を引かれたかと思うと、あっという間に日陰に連れていかれる。
そして、横たえられたかと思ったその瞬間、七緒は意識を失っていた。
水が冷たい。
そう思いながら七緒が目を開けると、そこには幸村のアップの顔があった。
「姫、大丈夫ですか?」
そう言いながら自分を見つめる紫の瞳 1386
百合菜
DONE2021年2月7日に開催された天野七緒中心WEBオンリーで実施した「エアスケブ」で書いたものです。リクエストは「炊事をする幸七」です。
……が、実はこれは没案の方です。
(それを先に書く私も私ですが^^;)
そもそも「炊事」とは何なのかとか、買い物で終わっているじゃない!という突っ込みはあるかと思いますが、少しでも楽しんでいただければ幸いです。「姫様、こちらは何ですか?」
何度目になるかわからない八葉たちによる令和の世の天野家の訪問。
さすがに慣れてきたのか、八葉の者たちは早速手洗いを利用したり、リビングでソファに座りながらテレビを見たりするなど、思い思いのくつろぎ方を見出すようになった。
その中で、七緒と五月、そして武蔵の三人は八葉に茶と軽い食事を出すために台所へいた。
「これは、電子レンジって言うんだ」
「でんし…れん……じ、ですか?」
水道水の出し方や冷蔵庫の扱いには慣れてきた武蔵であったが、台所の片隅にある電子レンジの存在は使ったことがないこともあり認識していなかったらしい。
七緒もそのことに気がつき、武蔵に説明する。
「うん。説明するより、実際に見てもらった方がいいと思うから、使ってみようか」
そう言って七緒は冷凍室から冷凍ピザを取り出す。
そして、慣れた手つきで袋を開け、さらにピザを乗せていく。
数分後、軽快な電子音が鳴り響き、そしてレンジの扉を開くとトマトソース匂いが台所に広がっていく。
「ほお、相変わらず神子殿の世界にあるものは興味深いね」
「そうですね、兼続殿」
そこに現れたのは兼続と幸村のふ 2359
百合菜
DONE「恋は苦く、そしてときには甘く」遙か7・幸村×七緒。
2021年2月7日、天野七緒中心WEBオンリーに合わせた書き下ろしです。
一足早いバレンタインネタをどうぞ~
弱々しいとばかり思っていた日差しが輝きを持っていることに幸村は気がつく。
「あれから一年か……」
七緒が神域に帰ってから約一年。季節の移ろいは彼にとって意味をなさないものとなっていたが、この季節だけははっきりと覚えている。
彼女が最後に見せた笑顔はこの光の強さとともに覚えていたものだったから。
思い出すと彼女の存在がここにないことに気がつき、辛くなるためどこかで彼女への想いを封印してしまいたい自分。一方で、近くにいなくても彼女が遠くの空から自分を見守っていることを信じ、いつまでも胸に留めておきたい自分。
そんなふたつの考えを持つ自分が鬩(せめ)ぎ合う一年であったともいえる。
ふと幸村は部屋の片隅に小さな箱が置かれていることに気がつく。
7244「あれから一年か……」
七緒が神域に帰ってから約一年。季節の移ろいは彼にとって意味をなさないものとなっていたが、この季節だけははっきりと覚えている。
彼女が最後に見せた笑顔はこの光の強さとともに覚えていたものだったから。
思い出すと彼女の存在がここにないことに気がつき、辛くなるためどこかで彼女への想いを封印してしまいたい自分。一方で、近くにいなくても彼女が遠くの空から自分を見守っていることを信じ、いつまでも胸に留めておきたい自分。
そんなふたつの考えを持つ自分が鬩(せめ)ぎ合う一年であったともいえる。
ふと幸村は部屋の片隅に小さな箱が置かれていることに気がつく。
starbirth-iori
DONEちまちま修正を加えつつ…ようやく完成!!^^*ちび絵もアニメ塗りも久々!!
2/7は『う7』にスペースいただきました!
新作は天音さんとの連作2本と、10の質問の回答が1本。…余裕があればプレイ感想のツッコミ4コマも描きたいけれど…難しいかな^^;
本の販売等は特になく、全てピクシブ公開です。
遙か7好きな方と交流できるのを楽しみにしています!
遙か7友達、いっぱいできるといいな~><
starbirth-iori
DONE阿国さんの温泉イベントの翌朝の話。誤字脱字を確認したらピクシブに置いてきます^^
ようやくデジタルで漫画描くのに慣れてきた気がするので、オンリー合わせの合作漫画に戻ります~^^ 5
starbirth-iori
DOODLEコミックスを見て…絵柄のすり合わせメモ!1:髪型!まるっこくてかわいい!小振りな伊達兵庫ということか!ポニテ位置で結って、そこからまるく広げるイメージ
2:3つのかんざし、丸じゃなくて、凝ったデザインになってる!!
3:後ろの紐はリボン部分より房が見えるように…
…と、この練習絵描いてたら、うっかり保存してない漫画下書き5ページが消えた…orz
悔しいからさっきより良いもの描いてやるっ!!
starbirth-iori
DOODLE「確かに…お売りしたのはワタシたちデース。でも…使ったのはアナタたち、でショウ?」みたいな感じで、兵器を売りつけて、相手がどうなろうとも自己責任デショみたいな感じで冷酷に突き放してほしい!←どんな願望
ところで、カピタン、高校で使ってた歴史資料集にちゃんと載っててびっくり!(カピタン・モールとして)
戦国時代、ちゃんと勉強しておけばよかったなぁ^^;←このころから平安末期が好きだった
starbirth-iori
DOODLE原稿の休憩に落書き^^全身描いていたんだけれど、ここだけ切り抜いてほっておいたら、うっかり保存し忘れてとじてしまった…orz いいんだ…落書きだから…(涙)
さて!子どもたちが起きてくるまであと30分!!どこまで進められるかな><!
starbirth-iori
DOODLE原稿の合間に…平島殿^^今週末は平島殿の漫画を描こうかと!…思いっきり捏造だけれど(苦笑)
平島殿について、出ている情報が少なすぎて…(TT)そもそもおいくつでいらっしゃるのか…そこだけでも知りたいっ!!
百合菜
MOURNING遙か7・大七「恋の足音」
リアル身内からのリクエストで大七を書いたときの作品です。
高校2年生ももう少しで終わり。
街に遊びにいった七緒と大和だが、帰りに雨に降られてしまい……。
7の少し前に大和への恋心を意識する七緒ちゃんの話。 1063
百合菜
PAST遙か7・幸七「恋に憧れて」
高校2年生の夏、部活の友達と恋愛の話になる七緒。
しかし、彼女はいまいち恋をしようとする気にはなれず……
すると、その脳に不思議な声が響き渡る。
「恋は素敵なものよ」、そう囁く声が。
※幸村の過去を捏造しています
大筋に関係ありませんが、幸村は生涯七緒ちゃん一筋!という考えの方はお気をつけください
※再録
パスワード…遙か4でCV井上和彦さんのキャラは?(小文字) 4980
百合菜
PAST遙か7・幸七「後朝(きぬぎぬ)」
上田から九度山に向けて長い旅がはじまった幸村たち。
七緒はいまだに幸村への気持ちを自覚していないが、最初の宿場町で幸村と夫婦に間違えられてしまい!?
「同じ部屋。しかも布団はひとつ。きゃー、どうしましょう」な話を書く予定が、思いの外真面目な話に。
※肝心のシーンはぼかしていますので、ご了承ください
※内容の都合上、中学生以下の閲覧はお控えください
※再録です 4242
百合菜
PAST遙か7・幸七「華胥之夢(かしょのゆめ)」
七緒と再会した幸村。
そこには予想もしなかった者たちもいて!?
※再録です
蒼い空。
そしてあたり一面に青い花の絨毯が広がる神域。
会いたいと、抱きしめたいと、そして、想いを伝えたいと願ってやまなかった人の姿がそこにはあった。
どんなに想いを伝えても、どんなにくちびるを交わしても、胸の奥底から溢れてくる想いは留まることを知らない。
空白のときを一刻でも早く埋めてしまいたい気持ちと、ここには永遠のときが流れているから焦らなくてもいいと自分に言い聞かせる気持ち。
ただ、いずれにせよ、『独り』でないことが今はただただ嬉しかった。
「そろそろいいかな……」
「待ちくたびれたぜ」
ふたりしかいないと思っていた神域の静けさを割るような声。
現れたのはふたりの子どもたち。男の子と女の子がひとりずつ。
男女というにはまだ年が満ちていないが、背格好からすると童というにも無理がある。
2891そしてあたり一面に青い花の絨毯が広がる神域。
会いたいと、抱きしめたいと、そして、想いを伝えたいと願ってやまなかった人の姿がそこにはあった。
どんなに想いを伝えても、どんなにくちびるを交わしても、胸の奥底から溢れてくる想いは留まることを知らない。
空白のときを一刻でも早く埋めてしまいたい気持ちと、ここには永遠のときが流れているから焦らなくてもいいと自分に言い聞かせる気持ち。
ただ、いずれにせよ、『独り』でないことが今はただただ嬉しかった。
「そろそろいいかな……」
「待ちくたびれたぜ」
ふたりしかいないと思っていた神域の静けさを割るような声。
現れたのはふたりの子どもたち。男の子と女の子がひとりずつ。
男女というにはまだ年が満ちていないが、背格好からすると童というにも無理がある。