GegyoGWT
DONE本編後の暁人くんと祟り屋さんの妄想3つ目です。祟り屋さんとちょっと距離が近かったりします。無題3 霧の海に、巨大なビルが一棟聳えている。
窓には灯りが点っているが、人の気配はない。命ある人々が住まう現実世界から、適当に切り取られて、そこに漂着したようなうら寂しいオフィスビル。
その周囲に、ゆっくりと浮遊する小さな影が群れを成している。
『あれを始末してもらいたい』
番傘の上で祟り屋が言う。
その隣に浮かんだ番傘の上で、暁人はうんざりして溜息した。
あの霧の夜、今は亡き相棒から借りていた様々な霊能力。あの夜から実に十年が過ぎた今になって、再び能力を獲得した暁人は、やはりと言うべきか除霊やマレビト退治といった活動をするようになった。
決して積極的にではない。そのつもりはない。暁人も今やごくごく普通の会社勤めで、真っ当に生きているつもりなのだ。サラリーマンと霊能力者もどきの二足の草鞋など、たやすく履けるわけがない。
5722窓には灯りが点っているが、人の気配はない。命ある人々が住まう現実世界から、適当に切り取られて、そこに漂着したようなうら寂しいオフィスビル。
その周囲に、ゆっくりと浮遊する小さな影が群れを成している。
『あれを始末してもらいたい』
番傘の上で祟り屋が言う。
その隣に浮かんだ番傘の上で、暁人はうんざりして溜息した。
あの霧の夜、今は亡き相棒から借りていた様々な霊能力。あの夜から実に十年が過ぎた今になって、再び能力を獲得した暁人は、やはりと言うべきか除霊やマレビト退治といった活動をするようになった。
決して積極的にではない。そのつもりはない。暁人も今やごくごく普通の会社勤めで、真っ当に生きているつもりなのだ。サラリーマンと霊能力者もどきの二足の草鞋など、たやすく履けるわけがない。
GegyoGWT
MOURNINGぼんやりと思い浮かんだネタです。マレビトのコンセプトとデザインが好きで、ミニミニのマレビトを育成できたらなと思った話です。黒土女のデザインが一番好きなので黒土女が真っ先に浮かびましたが、人によって育つマレビトが違うやつです。
※全員生存if時空で、暁人くんとKKがバディをしている設定です。
※このお話にカプ要素はありませんがK暁を生み出す人間が書いております。
マレビト育成キット 女の喘鳴が聞こえる。
肺に水が溜まっているような、酷い音だ。
がらんとしたワンルームは明るかった。住む人間のいない部屋は、何も無い展示ケースのように淡々として静謐だ。だがそこに、濡れそぼった女の放つ濁った喘ぎ声だけが繰り返されている。
暁人はためらいつつ、リビングに足を踏み入れた。すぐ後ろでKKも息を潜めている。
カーテンの無い掃き出し窓から、昼下がりの柔らかい光が部屋を照らしている。
女は壁の隅にいた。住人が残した忘れ物のように、脈絡もなく倒れ伏していた。
暁人が近づくと、女はゆっくりと顔を上げた。
ごぼごぼと篭ったような水音がする。こんなにも明るい部屋にいながら、濁った深い水底を思わせる。重く、暗く、茫洋とした水。それはこの女の、胸腔にあたる所から聞こえる音だ。
4419肺に水が溜まっているような、酷い音だ。
がらんとしたワンルームは明るかった。住む人間のいない部屋は、何も無い展示ケースのように淡々として静謐だ。だがそこに、濡れそぼった女の放つ濁った喘ぎ声だけが繰り返されている。
暁人はためらいつつ、リビングに足を踏み入れた。すぐ後ろでKKも息を潜めている。
カーテンの無い掃き出し窓から、昼下がりの柔らかい光が部屋を照らしている。
女は壁の隅にいた。住人が残した忘れ物のように、脈絡もなく倒れ伏していた。
暁人が近づくと、女はゆっくりと顔を上げた。
ごぼごぼと篭ったような水音がする。こんなにも明るい部屋にいながら、濁った深い水底を思わせる。重く、暗く、茫洋とした水。それはこの女の、胸腔にあたる所から聞こえる音だ。
ことざき
PAST以前にXに連投していた、暁人くんに対する自己解釈です。主に、暁人くんに対する自己解釈 ゲーム本編当日が2022年で母3回忌後だと、少なくとも母死亡時から約3か月は暁人君も未成年だし、妹は義務教育中。
暁人君が子どもとして助けを求めるには年齢が微妙で、しかし法的にも社会的にも無力。さらに、成人しても社会的な部分は自動的に解決せず低いまま。
新しいスタート云々の力強い台詞は、そうでもしないとボキリと折れるから。底無し沼に沈みかけていたのは暁人君も同じ。
でもそれを認めると、唯一の家族である妹との生活が破綻する。だから、とにかく頑張ろうとしていた。
(実際は最初から破綻していたから本編開始時のムービーがああだったわけだが)
二人には大人や専門家の助けが必要だった。
けれど、ゲーム本編から推測する母の死因や、暁人君が隙間の年齢にあること、暁人君が妹以外の身近な人の話を一切口にせず匂わせもしないことを考えるに、暁人君も妹も『自分たちは助けてもらえる存在だ』と思う(=人や社会を信用する)のが難しかったのだろうと。
868暁人君が子どもとして助けを求めるには年齢が微妙で、しかし法的にも社会的にも無力。さらに、成人しても社会的な部分は自動的に解決せず低いまま。
新しいスタート云々の力強い台詞は、そうでもしないとボキリと折れるから。底無し沼に沈みかけていたのは暁人君も同じ。
でもそれを認めると、唯一の家族である妹との生活が破綻する。だから、とにかく頑張ろうとしていた。
(実際は最初から破綻していたから本編開始時のムービーがああだったわけだが)
二人には大人や専門家の助けが必要だった。
けれど、ゲーム本編から推測する母の死因や、暁人君が隙間の年齢にあること、暁人君が妹以外の身近な人の話を一切口にせず匂わせもしないことを考えるに、暁人君も妹も『自分たちは助けてもらえる存在だ』と思う(=人や社会を信用する)のが難しかったのだろうと。
GegyoGWT
DOODLE平日の深夜テンションで書いた雰囲気SS。きらきらしたものが好きなのでエーテルが好き。ほんとにどうしようこれ光素 くろぐろとした闇の中に、きらきらと三色のエーテルが浮いている。
暁人はそれを掴み、口に運んで噛み砕いた。
ある夏の夜、暁人は息をするようにこの元素を吸収していた。
体へ取り込んで、別の形へ変換して、エネルギーとしてまた宙へ放っていた。
恐ろしい魍魎の巣窟と化した街を駆け抜けるために、暁人にはこの光る結晶体が必要だった。あの夜に現れた異次元の事物は、全てがエーテルから成っていた。砕けばまたきらきらと元素の形に戻り、まるで従属するように暁人の体に集まった。
暁人の体はもういくつ、この結晶体を受け入れたか知れない。特殊なカメラで特定の波長の光だけを捉えるように、エーテルだけを捉える目があったなら、きっと暁人は燦然と輝く結晶の集積として見えただろう。
1239暁人はそれを掴み、口に運んで噛み砕いた。
ある夏の夜、暁人は息をするようにこの元素を吸収していた。
体へ取り込んで、別の形へ変換して、エネルギーとしてまた宙へ放っていた。
恐ろしい魍魎の巣窟と化した街を駆け抜けるために、暁人にはこの光る結晶体が必要だった。あの夜に現れた異次元の事物は、全てがエーテルから成っていた。砕けばまたきらきらと元素の形に戻り、まるで従属するように暁人の体に集まった。
暁人の体はもういくつ、この結晶体を受け入れたか知れない。特殊なカメラで特定の波長の光だけを捉えるように、エーテルだけを捉える目があったなら、きっと暁人は燦然と輝く結晶の集積として見えただろう。