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    nekotakkru

    PASTpixivより移動中
    まずは腹ごしらえから鉛のように重い瞼をこじ開けると、刺すような光の中、薄ぼんやりと石造りの天井が見えた。普段とは違う木製の天井でないことに違和感を覚える。走馬灯のように古い記憶が順繰りに蘇ってきて一番近い出来事に辿り着きそうな時、目の端に金糸が揺れた。
    クラゲか?と、できる限り眉間に力を入れて見遣ればくるりとクラゲがこちらを向いた。

    「よお。お目覚めかい?クソ死に損ない」

    煙草をふかせながらクラゲが尋ねる。いや、クラゲじゃなくてカッパだな、エロガッパ。と思い直してゾロは眉間の力を緩めた。言い返してやろうと口を開くがうまく声が出てこない。驚く程に体に力が入らないのだ。
    ゾロのそんな状態を知ってか知らずか、クラゲ、元いサンジがチョッパーを呼んだ。すぐ様大きな角と丸い瞳が嬉しそうに覗き込んでくる。うっすらと涙を浮かべつつも手早く触診をするあたり、さすがは優秀な船医だと感心する。鼻に刺してある割り箸を除いては。よくよく耳を澄ませれば、賑やかな喧騒がぼんやりと聞こえてきた。いつも通りであれば、戦いのあとの宴をルフィが開いているのだろうと予想をつける。全員無事なんだと察してゾロはゆっくり息を吐いた。
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