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    #HQ

    小栗ビュン

    DONE6話中1話目。西谷夕編。
    海獣のバラード~人の子~世界に同じ顔した人が三人いるという迷信は聞いたことがある。けれど、同じ顔をしたやつとなんて出会ったとこがない。会いたくもない。けれど、恋人と同じ顔した人なら少しだけ見てみたい。

    「うちの旭さんの方がかっけぇだろ」って言ってやれるから。

    そんなことを考えているうちに、それでは恋人に対して失礼なのかそうではないのか、わからなくなってきて陸路の移動中に眠ってしまっていた。なぜそんなことを考えていたのか。

    この時点で、俺はもう、呼ばれていたのかもしれない。

    西谷夕は今、北海道を縦断していた。




    遡って昨日のこと。

    「今度は北海道の先っぽに行ってきます。」

    「マジか、締切が迫ってなかったら一緒に行ったんだけどなあ。」

    久しぶりの国内の冒険に、心配性の彼氏が安心と悲しみを合わせた複雑な顔をしていた。旭さんは止めても無駄ということを知ってくれている。その上で、時々渡航するのに細心のチェックを俺にしてくれる。毎日の世界情勢が変わるのは肌で感じているし、そんな中で出会う人達との時間がダイレクトに教えてくれる。日本て小せえなってつくづく思うけれど、日本てやっぱ寝る場所にはいいよなって思ったりする。一番の寝床は、旭さんといるベッドだ。それに限る。
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    MAIKINGテーマ:ノヤさんの恋愛遍歴を知ってびっくりする旭さん
    【HQ】書きかけ「俺に遠慮しねえでいいんですからね」
     サンティアゴに着いてすぐ予約していたホテルにチェックインし、スーパーで買い漁った食事を小さなテーブルに広げたささやかな晩ご飯。互いのビールの瓶をぶつけて笑いながら乾杯を唱えた直後の西谷の言葉に俺は戸惑った。
    「なんの話?」
    「せっかくの旅行なんだし。旅先でいい出会いがあったら俺のことは気にせず楽しんでくださいねって言ったんです。……でも連絡はくださいよ。何かあったら困るから」
     だから何の話だよ、と再度口にしかけて思い出す。
     レジで西谷が会計を済ませるのを待っていた時、溌剌とした女性二人に声を掛けられた。世界ツアーに繰り出してから日本語と英語以外の言語で話しかけられるのにもだいぶ慣れたとはいえ、何を言っているのかまではさすがにまだわからない。笑顔でやんわり首を振れば彼女たちは笑って手を振りながら去っていったけど、今思うとあれは何らかのお誘いだったのだろう。何の用だったんだろう、と去っていく二人を見送る俺のところに会計を終えて駆け寄ってきた西谷には、彼女たちの意図がわかっていたのかも知れない。
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