💜HBD『きっと今日は素敵な一日に』 ――流石に、疲れた。
天堂天彦は小さなため息を吐き出すと、静寂に包まれたリビングに佇むソファへ腰を落とした。
12月がやっとこさ始まった頃。もうあと30回も眠らないうちにやってくるクリスマスや年末年始といった二大イベントに、備えようかという時。ワールドセクシーアンバサダー、通称WSAとして仕事を重ねる日々は多忙を極めていた。
共に暮らすセクシーな皆様が待つ仮住まいへ帰宅出来ず何日か、やっと休暇が取れて帰宅したのが少し前のお話。手に握りしめたままの冷たい箱が示す時刻は、午前1時30分。
『冷蔵庫の中に、天彦さんの晩御飯も入れておきますね。温めて食べてください』
帰れない日々が続く中、住人の皆さんからは幾つもの心配のメッセージが届いていた。やっとこさそれら全てに目を通して、『今日帰宅します』と短い返事をした後の事。この家の家事全般を担当している本橋依央利による返事に、疲れた心が温まるのを感じながら帰宅して、今。
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