八話 赤い戦車「はぁ……はぁ……」
オリエントから出て体感数分。私はミドに手を引かれて街灯の少ない裏路地を走り続けていた。
「!?」
何かに気づき、ミドはいきなり止まる。あまりにも突然だったので思わずこけそうになったが何とか踏ん張って立ち止まり、
「どうしたの?」
と小声で聞く。
しかし、何故立ちどまったか返答を聞く前に答えはすぐにわかった。
「おい! 門番は今どこだ! さっきの報告だと二人いるって聞いたが、一人じゃなかったのか?」
「確かに人影が二つもあったんだ! そもそも町一つを守っている奴だぞ? 一人という方がおかしい!」
「クソッ。ガキ一人追い詰めて終わりじゃなかったのかよ!」
複数人の乱雑な足音が通り過ぎていく。声が聞こえるところを見るとかなり近くを通ったみたいだ。
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