新レオドン放り投げられたヘルメットを受け取ったものの、レオナルドは未だに困惑した顔をしていた。
「なぁ、これって本当に必要な工程なのか?」
わざわざガレージからエンジンも吹かせずにバイクを持ってきたのは音でバレてしまうと思ったから。
今日は熱帯夜らしい。
下水道を通っていた時からまとわりつく熱気に侵されていたから、外に出たら広がる空間の広さから幾分か息苦しさはマシになっているようにも感じる。
「試験運転って大事だし、ラファエロに任せたら余計な傷をつけて帰ってきそうだから自分でテストするのが一番確実なんだよ」
控え目に轟くエンジン音。
後ろから吹き出す煙越しにレオナルドはまだ腑に落ちないと言う顔をしていた。
ここまで連れてくるにもそれなりに時間をかけて説き伏せて、それでもまだ納得がいかない様子。
本当、頑固なんだから。
「たまには地面を走るデートも良いと思わない?」
ちゃんと動作することを確認すると新しいバイクから少し離れ、レオナルドを手招きした。
まさか自分が運転する側だと思っていなかったようで驚いた顔をしているレオナルドにドナテロは微笑む。
「川沿いに不法投棄されてる場所を新しく教えてもらったんだ。ナビゲートに集中したいからお願いしてもいいかな」
レオナルドは少しだけ押し黙って、やがてわかったと小さく呟いた。
ヘルメットを被り通り様、ドナテロは耳元で囁く。
「目的があって安心した?」
ばっと身を離し顔を赤くしたレオナルドの横をすり抜け、後ろに跨る。
レオナルドはしばらく佇んでいたものの、やがて彼の前に座った。
ヘルメット越しで表情までは見えないが夜闇でもわかるくらい首元は赤く染まっていた。
落ちないように背後から腕を回すと、普段からは慣れぬ布越しの感触。
今日は暑いからとできるだけ変装は最低限にしたもののそれでも肌は隠さなければならない。
じんわりと書いた汗が首筋に溜まっているのが見え、吸い付きたい衝動に駆られたけれど唐突に動いた車体に諦めてその鼓動を感じるのみとした。
不定期に揺れる身体は案外悪い気はしていないことを示してくれている。
お膳立てした舞台で恋人が楽しんでいる様はやはり良いものだ。
バイクデートといえばRの専売特許ですがこれはこれで