“フィン・エイムズ”(20)
回復魔法の使い手。
弟のために色んなバイトを掛け持ちしている。
弟がこの世の全てで弟には絶対幸せになって欲しい。
学校には行っていないがそれほどの知識はある。
自分といると足を引っ張ってしまう、弟には絶対迷惑をかけさせたくないという思いで、距離を取っている。
“レイン・エイムズ”(18)
剣の魔法の使い手。
イーストン魔法学校の生徒。神覚者。
ここまで育ててくれた兄にとても感謝しており、大切。
学校では学年トップを誇る学力と魔力量。
神覚者ではもしかしたら兄に被害が行くかもしれない、また兄から距離を置かれているため嫌われていると思いこちらからも距離を置いている。
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{0,昔のハナシ}
「大丈夫寒くない」
白く雪が降る真冬の夜。
きっと自分も寒いだろう。なのに持っていた毛布も全部渡してくれる兄様は、本当に心優しい人なんだ。
「大丈夫。兄様は」
「レインが居てくれるから大丈夫だよ」
鼻も耳も赤くなってしまった兄様の顔はとても冷たかった。
「兄様、ダメ。一緒にねる」
「ふふ、ありがとう、レインは優しいね」
そう言ってあたまをなでてくれる兄様の手つきはとても優しく、あっという間に眠ってしまった。
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レインはとても心優しい子だった。
「兄様、これ一緒に食べる」
どこから取ってきたんだろうと思う反面、
レインがとってきたんだからレインが食べて欲しいと思うのが大きかった。
昔から二本線というのもあり目をつけられることが多かったレインは、親戚でタライ回しにされている時も特別扱いされることも多かった。
変な目で見る輩もいてレインは僕が守らないとという思いが強くなった。
でも僕は力も弱い。魔力も少なければ魔法自体戦えるような魔法じゃなかったのだ。
そんな僕にもこうやってパンを渡してくれるレインは本当に心が綺麗なんだろう。
「レインが食べなよ」
「兄様とじゃなきゃやだ」
ほらこうやって何を言っても僕が食べてないから僕が弱いオネガイをしてねだってくる。
「ありがとう、レイン」
そう言って頭を撫でてあげると
「ん、、」
嬉しそうに笑うから。
この笑顔は僕が守りたくなるんだ。
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いつも通り、食べ物を探しに行った。
盗んだりがしない。いつかレインが大きくなった時犯罪した兄なんてレインの顔に傷が着く。
大好きなレイン。だからレインの邪魔になることなんてしたくない。
いつもパンをくれる優しいパン屋さんにパンを貰いに行った。
「大丈夫かいほんとにこれだけで足りる」
「はい、いつもありがとうございます」
「困ったことがあったら来るんだよ」
そんなにいっぱい貰ったらこのパン屋さんが赤字になってしまう。
それで潰れてしまっては、元も子もない。
(レインが待っている。急いで戻ろう)
僕はいつもの場所へ急ぎ足で向かった。
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嫌な予感がする。ものすごく。
背中に変な汗が滲む。
「〜ーッッーー〜」
男性の怒鳴り声が聞こえる。
怖いなんて言ってられない。
聞こえる先はちょうどレインが待っている場所だ。
いやな予感がして足を早める。
「いたっ、やめ、やめてッッ」
頭が真っ白になった。
あんなに大事にしていたレインが、、殴られている。
「やめろ、、、」
「あぁんヒーロー気取りか引っ込んでろよガキ」
「に、兄様、、」
「こいつの兄か確かに似ているなあ」
「おらぁっ大好きなオトウトくんがいじめられているぜぇなにだまってんだよぉ」
「やめろッッ」
僕は無我夢中で体当りをした。
でも僕は、そこまで力が強い訳では無い。
大男はビクともしない。
「なんだよぉそういやお前可愛い顔してんなぁ、今日はこいつでいいか」
「くっ、やめッッ、、」
「おいおい、着いてこれば弟くんが助かるんだぜ」
「、、ッッ」
「いやッッ兄様っ行かないでッッ」
「だめ、行かないっ」
「ちっ、覚めちまったじゃねぇかよ、」
そう言って僕は放り投げられ、男は立ち去っていった。
「レインレインそんな血が、、死なないで、死なないでよぉ」
「う、、」
だめ、だめ、治さなきゃ。
僕しかいない。僕にしか直せない。
怖い、居なくならないで。嫌だ。怖い。
「チェンジズセコンズサニタテムズ」
ぽわぁ、、、
黄色い蝶が宙を舞い、レインの傷が消えていく。
ろくに魔法を使ってこなかった僕にとっては少し力を使いすぎたのかだんだんまぶたが重くなっていく。
気づいたら僕は眠ってしまっていた。
♪。.:*・゜♪。.:*・゜
「兄様っ兄様っ」
泣き出しそうなそんなレインの声で僕は目を覚ました。ゆっくりと目を開けるとそこには涙を零しているレインの姿があった。
やばいこっから何も思いつかなかった。