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    gaf

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    聶藍ネタメモ(ツイッタ妄想呟き長い版みたいなもの)です。漫画に起こすことはないかなと思ったのでこちらにポイ。

    #nielan

    道侶密かに道侶の契りを交わした夜。
    我が夫殿は、満足してさっさと実家に帰ってしまわれた。元よりとっくの昔に関係を持った仲である、三拝など今更のことだ。

    思い人を射止めたことで満足してたのは己だけで、相手は不安であったらしい。衣を乱すことすら恥ずかしいと目を閉じる男が、一度開けば朝まで離さぬのだから。同じ男としては、同等に求められることは嬉しい限りだったのだが。ただただ不安がゆえのことだった。
    とうとう耐えかねた「約束が欲しいのです」という掠れた声。己を中に閉じ込めたままで言われたのだから、堪らない。

    さて。
    我が父上と、夫の父は親友だ。その弟の藍先生とも昔から親交がある。特に成人もまだの若造が宗主を継いだ当初は、それはもう大変に世話になった。
    その甥の曦臣とも、幼馴染の仲である。
    昨日までは恋人で、昨夜からは夫だ。
    可愛い甥っ子が事前報告もなく道侶を得たなどと知れば、一悶着はあるだろう。叔父っ子の彼が報連相しないわけがないのだ。
    そう思い迎え撃つ覚悟を決めてたのだが、とんと音沙汰がないままに。そのうち時代の波にいっしょくたに呑み込まれてしまった。



    事実曦臣が藍先生に報告していたと知るのは、次に意識が浮上したときだった。
    死んだし、切り刻まれたし、封印された。
    それはいい。今は、置いておこう。

    取り急ぎ目の前の「孟瑶」である。
    正しく聶に居た頃の「孟瑶」の姿である。最期に会った時は金氏の校服だったように思うが。
    「そういう貴方も随分と若い」
    言われてみれば、己も聶氏の校服である。宗主の頃ではない、弟子と同じもの。これを着ていたのは、宗主になるまでのことだ。つまり青春時代。
    それでいて孟瑶は聶氏に居た頃なのである。時代がちぐはぐだ。
    「この方は、この時代の私が良かったらしい」
    隣を見上げれば、衣装から肌から青白い相貌の男。無表情のその男は、自身の叔父に睨まれていることで、辛うじて立っている様子だった。弟の方ではない。間違える筈がない。
    意識が浮上する前、確かに名を呼ばれた。

    封棺大典。身体は囚われ、中身はこの男に呼応する。
    我が実弟の立派な姿をみれたのだ、この状況も悪くはない。悪くはないが、原因の彼には我々の姿が見えないようで、呼んでも応えることはない。
    今は宿ですやすやとおやすみだ。

    そのまま穏やかに忘れたらいい。
    十何年も前に死んだ夫など、忘れてよい。思い出させたのかもしれないが、死んでいるのだ。もう、死んでいるのだから。

    とはいえ。
    早くに死ぬだろうことは、覚悟の上でも辛いものだった。
    何時かは手を放すから、幸せを掴んだらいいと綺麗事を思う。
    死んでも、一生を縛り付けたいと思う。
    後者が己の本音だと思っていたが、死んでみたら諦めがついていた。
    名を呼ぶ声にも、もう私は応えてやれないのだから。



    「約束が欲しいのです。心だけではなく、身体だけでもなく、一生残るものを」
    天に誓い、祖先に誓い、互いに誓う。契りを交わす。
    愛しい貴方が望むなら、幾らでも。



    手に火傷を負い驚く。
    やはり藍先生は怒っていた。
    曦臣に触れようとした手に、ぺしっと貼られた札の熱いこと痛いこと。
    「どうせ触れはしないのに!」
    口に出てしまったのは、姿が子供に戻っているからだろうか。
    孟瑶は枕元、ただ寝顔を見詰めていたのでお咎め無しだ。
    「おまえは、曦臣の望みを聞いただけだと思っていた」
    静かな声は、胸に重い。
    「悲しむ前に、別れてくれるだろうと思っていた」
    父同士は親友で、藍先生はその弟である。家同士の付き合いにすると長い。薄っすらと事情を知る人物だった。

    「叔父上、誰と話しているのですか」

    目が覚めた曦臣は、しかし顔色の青白さは変わらなかった。
    「あまりに賑やかで、呼応したのでしょう。夢をみました」
    明玦殿と阿瑤が賑やかに話しているのです。聶に居た頃の阿瑤と、ずっと若い頃の明玦殿。時代がちぐはぐでした。
    しかし少し笑った表情はするりと落ちる。
    「夢だ」
    そしてまた深い眠り。

    欲しい時に欲しい愛情を貰えなかった子供は、どんなに愛情を注いでも、割れた器の様に零れて満たされない。優しいだけの月一の母。叔父は親代わりだが親でなし。恋人とは頻繁に会えない。
    そのうち時代の波にいっしょくたに呑み込まれてしまった。
    焼けた故郷と、その復興。何があったのか閉関した弟。あの頃の曦臣に、私とも別れてくれとは言えなかった。置いていくだろうとわかっていても。



    曦臣の周囲に札を貼り終えると、藍先生は伝令蝶をどこかへと飛ばす。余程に触られたくないらしい。相当のお怒りだ。触れない、と言ったのに。

    翌朝、藍先生は封棺の確認に出ていく。入れ替わりに、藍の先輩方がやってきた。伝令蝶の飛んだ先だ。
    「一人で帰れるのに。迎えを寄越すなど」
    恐縮する曦臣の背後で、先輩方は印を切っていた。
    「背後をとられましたね」
    孟瑶の暢気な声。今にも倒れそうな者が、何をするというのか。母の様に、父の様に、何か「間違い」を起こすというのか。

    「孟瑶、おまえ曦臣に何をした」
    「まるでご自身に責任はない様な言い方をする」

    誰も彼もが、曦臣を残して消えたのだ。
    優しいだけの月一の母。見捨ててしまった父。殺してしまった夫。義弟は連れて行ってはくれなかった。
    夢もみたくなるだろう。

    藍先生が封棺に何かしたのか、曦臣の目が覚めたのか、去る背中を見届けたのが意識のある最後だった。
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    chunyang_3

    MEMOCQL50話の後の懐桑と藍曦臣。あの後の二人の関係性ってどうなるんだろうと長らく考えていた話です。失ってしまった誰かのことをそれぞれ別の感情を持っている二人が分かち合う時間みたいなものが好きなので、そんな夜があれば良いなと思っていたのをやっと書きました。聶明玦と藍曦臣の特別な関係に名前は付けてないんですが、雰囲気nielanっぽいかもしれない。
    響き分かつ夜 石畳の小道を行く懐桑は、鼻歌でも歌い出しそうなほど気分が良かった。酒で火照った顔を扇子で仰ぐと、座学に来ていた頃に隠れて三人で飲んでいるのを藍忘機に見つかって逃げ出したことを思い出してしまう。そういえば、あの時は懐桑と江澄がいなくなった後、魏無羨と藍忘機の二人は一晩一緒に過ごしていたのだった。今思えばなんて本人達に言うものでもないだろうが、それにしてもこんな風にまた雲深不知処で酒を飲むことになるとは思いもしなかった。
     清談会が雲深不知処で行われるのに合わせて姑蘇へやってきていた懐桑は、明日からの会合に合わせたもてなしの宴に参加していた。宴と言ってもそこは藍氏の宴なので他の世家の宴とは幾分趣きが違うものではあるのだが、何にせよその宴の後、思わぬ人物にそっと物陰へと引っ張られた。見れば、今は藍忘機の元にいる魏無羨がニヤニヤしながら懐桑を見ていた。
    6079

    chunyang_3

    MEMOCQL50話の後の懐桑と藍曦臣の話(https://poipiku.com/2517302/5280800.html )に至る兄上と“兄弟”の話。nielanなのかyaolanなのか?みたいな感じですけど、どっちも違うベクトルで大切だったんだろうなぁと思う。“兄弟”にこだわる兄上の話です。お誕生日に上げる話じゃない気がするけどおめでとうございます!(遅刻)
    ※竜胆要素は原作からです
    竜胆の願い 修練を始めてからは月に一度、母と会えるのを楽しみにしていた。母上にこんなことができるようになったと言ったらまた褒めてもらえるだろうかと期待しながら向かっていた。叔父上は厳しい方だったので辛いと感じたこともあったはずだけれど、記憶にあるのは母にたくさん話をすると褒められるのが嬉しかったことばかりだ。そんな毎日だったからだろうか、母と叔父しかいない世界が変わった時のことは鮮明に覚えている。
    「あなたに弟か妹ができるの」
     そう言いながら母がお腹をさすって微笑んだ。あの日から、私は兄になった。

    「兄上」
     呼ばれた声にふと我に返る。弟が部屋にやってきていたらしい。うっかり考えに耽っていて声をかけられたことに気付かなかったが、何度か呼んでくれたのだろうか。藍曦臣が立ち上がって弟を迎え入れようと扉を開けると、弟は手に籠を提げて立っていた。恐らく夕餉だろう。
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