空閑汐♂デイリー【Memories】17 荒涼とした赤い大地を見つめ、密かに嘆息する。そんな汐見の態度を横目で見ていたフォスターは困ったように笑いながらも、彼の背中を景気付けとでも言うように叩いていた。
「今日も一日、働くぞ」
「解ってるさ、今日も一日墓場で飛んでやる」
航宙士学院を主席で卒業した汐見は、フォスターと共に軍人としての道を進み始めていた。新兵教育を修了し、出された辞令は二人揃ってモハーヴェ宇宙港勤務。近くには飛行機の墓場と呼ばれる場所があるその地では、地球と軌道ステーションを結ぶスペースプレーンが飛んでいた。
在学中に各種ジェット戦闘機の飛行ライセンスを取得し、航宙徽章を持つ二人は殆どが航宙士学院卒業生で構成される部隊へと配属されたのだ。
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