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    #龍アソ
    ※こちらはmacamさん(@macamaca_ryas)の龍蛇神ネタの三次創作になります。多謝。

    「良いものをあげるよ。手を出してごらん。」
     そう言われ、蛇は素直に手のひらを龍に向けて差し出す。すると、ころっと小さな貝が一つ龍の手から蛇の手へと落ちてきた。
    「なんだ―――紅、か?」
     番である龍の顔と、己の手の上の二枚貝。それらを交互に見て蛇は言う。はまぐりの貝の外側には小さな梅の花が描かれている。中を確認するまでもない。間違いなく、これはよく見る紅である。だが何故―――。
    「どこぞで手に入れた?町に下りねば、このようなものは手に入るまい。」
    「そうだ。大変だったよ。人に紛れて……紅屋に行くだなんて。肝が冷えたさ。人の姿になるのも久方ぶりだったしね。」
     そう蛇に語るうちにも龍の顔色は段々と悪くなっていく。まさにげんなりといった表情だ。気の毒になり、蛇は腕を差し伸べた。遠慮なく身を預けてきた龍を抱きとめ、労をねぎらうように背中を擦ってやる。
    「―――そうだろう。だからこそだ。キサマは人間が嫌いだろう。」
    「……人嫌いとは心外な。単に、ちょっとばかし人が怖いだけさ。」
    「さして変わらんだろう。―――で?どういった理由だ。」
    「……今日は何の日か、分かるかい?」
    『―――流石に誤魔化されないか。』そう観念して龍は、渋々といった様子で蛇に問うた。相変わらず、心の声が漏れやすい旦那様だ。そう思いながらも蛇はちょっとばかし考えてはみたが特に思い当たる節がない。
    「なにか目出度い事でもあったか?」
    「いんや。まぁおまえは、知らないだろうね。ぼくだって、偶々知ったのさ。―――冬の丑の日は、良い紅が売られる日だと。」
    「ほぅ。それで、わざわざ人里まで降りて、これをオレの為に?金はどうした?」
    「……賽銭を少々。―――良いだろう!元々はぼくらの為に納められたものなのだから…!!」
    「べつに責めちゃいないさ。―――嬉しい。そう言っているんだ。」
     龍の頭に頬を寄せて、蛇は言った。人嫌いの龍神が、そこまでして己の為に―――。
    「成歩堂。紅はどうして使うか、分かるか?」
    「それくらい分かるさ。水で溶いて使うのだろう。」
    「―――そうじゃない。本来の使い方だ。……見ていろ。」
     龍と同じく、蛇もまた水の神である。蛤を開け、その内側を蛇は小指でくるくるとなぞった。水が無くとも自然と紅液は溶けていく。小指の腹で取った紅液を、蛇は唇に乗せた。スッとひかれた紅は鮮やかな赤。染まる唇を再度紅液を取ってなぞれば、その度に赤は深く、美しい玉蟲色を帯びる。
    「確かに。良い紅だ。オレには勿体ない程に。」
    「―――そんなことないさ。てっきり目弾きに使うものだと思っていたけれど……綺麗だ。似合っているよ。」
     今度は蛇が龍の腕の中に居た。後ろから抱かれて鏡を見る。
    「キサマにも、似合うと思うがな。」
    己の手鏡を覗き込む龍へ振り向き、蛇はそっと龍の口端に接吻した。
    「―――ほら。よぉく似合っているぞ。」
     そう言って意地悪く微笑む蛇の艶やかな唇を、龍は覆うようにして口付けたのだった。
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