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    碧@狂人

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    碧@狂人

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    バレンタイン当日に書き始めて普通に終わらなかった途中までです。
    お付き合いを始めた段階でのお話。最初だけトレイ視点、以降3人称or監視点です。

    ##ゆあまい

    【トレ監バレンタイン話(愛され系】途中【STEP:4or5 / お付き合いをしている状態】



    インターネットというものはとても便利だ。

    調べたい何かを検索ボックスの中に打ち込めば、次の瞬間には幅広い知識を与えてくれる。
    男子校であるこの学園ではほとんど縁の無い、『バレンタイン』という行事の存在を、彼女に吹き込んだのは誰だったのか。

    ◎エース、○ケイト、△アズール、×リリア、辺りだろうか。
    面白さ重視、打算重視。そのどちらにせよ、本命という意味に置いては自分という存在がいる。彼女が広げた知識の裾野がそこまでで済めば良かったのだが、どこかの国の慣習として、「義理チョコ」「友チョコ」といった類のものがあり、前者はともかく、後者の「友チョコ」…所謂友人に送ったり、普段お世話になっている人に贈るチョコ、という存在を、彼女は知ってしまった。

    だから仕方が無かったのだ。

    俺はすぐさま寮長であるリドルに連絡をして、然るべき処置を実行する算段を手早く決めた。リドルから学園長への許可も、取り付けた。

    ……恋人であるという立場にも関わらず抑えられぬ、自身の狭量さからくる嫉妬心からくるものではない…とは言わない。
    だがそれ以上に、面倒ごとに発展するのは目に見えている。それこそ、打算重視な商売人や、面白半分に酔狂な馬鹿騒ぎに便乗してくる多数の生徒。
    哀しいかな、名門校である我が学園には、そんな奴らばかりが集まっていた。



    【 バレンタイン数日前 NRC校舎内 廊下 】



    伝統のある学園の何に恥じない、重厚な石造りの歴史を感じさせる校舎の廊下。
    落ち着いた色味で統一されているその道で、異彩を放っている四角形の看板が、とぼとぼと歩く小さな少女の頭の上で浮いていた。
    黒と黄色、それに赤。警告を知らせる為にビカビカと下品な程に点滅している電飾が施されたその板には、表裏とも同じ言葉が書かれている。



    『監督生さんへのバレンタインギフトの送付、また受け取り等の一切のやり取りを禁ずる。罰則は屋外での清掃活動(※魔法の使用は禁止)。 学園長(印)』



    通りかかる生徒はまずその看板を見て、そしてその下の生徒へと視線を移すが、その存在を正しく認知する事は出来ない。
    結果的に印象的な看板の語句だけを刷り込まれ、また食堂や鏡舎などのほとんどの生徒が通る場にも同じものが展示されている為、その禁則が学内に周知されるまでに数日も掛からなかった。

    人に注目されるのが苦手な監督生は、恋人が毎日結ってくれるまじないが籠められたリボンと編み込みに加えて、自身で強力な認識疎外の『呪い』を施した、同じく緑色のピン留めを髪に着けている。
    なのですれ違う生徒に長い時間見つめられる事も、目が合ったりする事もないのだが、それにしたって居心地が悪い。
    敬愛する寮長から、1日でほぼ全生徒に伝わっただろうと聞いているので、もうこの辱めを早く終わらせて欲しい、と俯きながら涙ぐみそうになる。



    『友チョコ』を、普段自分と仲良くしてくれている同級生や先輩方、先生方に贈りたいな、と。

    タブレットを眺めながらほとんど独り言のようにするりと口から零れたそれが、すぐ横に座って本を読んでいた恋人の耳に届いた途端。

    栞も挟まずに本は閉じられ、その音に釣られるように互いの目が合ったと思えば、愛しい人は軽く片眉を上げながら、甘さよりも辛味を帯びた目を細めて、「そうか。」と一言だけ呟いた。
    「何が?」とか、「もちろんトレイくんには特別な…、その、『本命』、のものを用意するよ?」とか、面と向かって言うには恥ずかしい事も含めて食い下がったが、当人は微笑むばかりで自分の言葉には応えてくれないまま、スマホで彼の幼馴染でもある寮長に連絡を取ったかと思えば、「ちょっと臨時の寮長会議に行ってくる。」と言い残して部屋を出て行ってしまった。

    そして次の日の朝からはもう、この状況である。
    入学仕立ての頃であれば、「きっとまた自分が何か世間からズレたことをしてしまったのだろう」と大人しく受け入れる所だったかもしれないけれど、今はそれなりに、世間という程広い範囲ではないにしろ、少なくともこの学園内におけるガイドラインのようなものはある程度理解出来ていると、思っている。つもりでいる。
    それに、自分も彼も、互いに言葉が足りなかったり、気を遣い過ぎだったという事も、恋人という関係になった今は、解る。
    なので、何でもただ言われる通りにするのではなく、疑問があれば積極的に口に出していこうとしている段階なのだ。

    『友チョコ』を送る事はそんなにいけない事なのか、と、1日晒し者にされてから早々に帰寮した寮長室で、寮長と副寮長に向かって胸の前で握った両手をぶんぶんと振りながら抗議すれば、「寮長・副寮長」の顔をした2人は淡々と答えをくれた。

    そもそもバレンタインにチョコを送るという風習は、自分が調べた国だけで大々的に行われている、商業的な事情を発端とした催しなのであるという事。
    無論他国でもその慣習を取り入れている国もあれば、性別も無関係だったり様々で、「愛や感謝の気持ちを伝える」という根底こそ共通しているものの、それぞれ独自の作法があり、特に薔薇の王国など多くの国で共通しているものとして「匿名で相手にプレゼントを贈る」という慣習があり、それが厄介事に繋がる為だと、説明された。

    確かに自分には防衛魔法等の身を守る術や環境があるとはいえ、匿名をいい事に魔法を使って手紙や様々な物品が飛んできたり、自分が受ける授業の教室にそれらが山と詰まれていたり、待ち伏せをされて身動きがとり辛くなる、など、自分はともかく(という言うと怒られてしまうので、それを口には出さないように学びました)、他の人にも迷惑をかけてしまうであろう事が起きるかもしれない、と予測出来る。
    現に今挙げた例のいくつかは、実際に起こった事も含まれていて、相手は元より、感電し易い物質を辿って友人にも被害が及んでしまった事もあった。

    更に薔薇の王国では、チョコレートではなく薔薇の花を贈る事が一番ポピュラーで、それも赤や白の薔薇を、その意味に合わせて1本から数本、中には100本以上贈る事まであるのだとか。必然、植物園やこのハーツラビュル寮の庭から薔薇を盗難しようとする輩が現れるだろう、と。副寮長はあくまでも平静な口調で語りつつも、その時ばかりは自分のほうを見て軽く眉を下げて、目配せをしてきた。
    それが何を指しているのかは、入学してしばらく経ったくらいの自分でも解るだろう。
    この寮において重要な存在である薔薇園に手を出そうものなら、ハーツラビュル寮の掲げる精神を誰よりも大切に想っている、目の前の頼れる我らの寮長が、それこそその綺麗な顔の色を白から赤へと塗り替えるように激昂して、ユニーク魔法を惜し気もなく使用してしまうであろう事は自分を始め、寮生全員が容易に想像出来る事だと思う。
    もちろんあの惨事を繰り返すつもりはなく、これまでの説明と合わせて結果、最終的にはしょんぼりと俯くしかなかった。

    「私が貰う側の対応は、確かにそれでいいと、思います。…でも、その。私の方から、こっそり、見つからないように手渡すのも、駄目ですか?」
    「他の生徒達も同じ規制を受けているんだ。キミだけ特別という訳にはいかないだろう?そんな扱いを受ける事を、何よりキミ自身が嫌っていたじゃないか。」

    返す言葉もない。
    他の寮の先輩方とお話する機会もあるけれど、その中でもこういった話し合いに置いて、自分はまだまだこの2人にはまったく敵わない。

    「加えて現実的起こりうる問題の可能性を考えるなら、獣人族や人魚族は鼻が利くし、聴力も人間よりも鋭い。まったく気付かれないように、という訳にはいかないだろうな。それに渡す人数の多さから考えても、その全員に、というのもまた難しいだろう。そのうちの誰か1人でも受け渡しに気付かれてしまったら、まぁ、大なり小なり、学内の空気や治安は悪くなるだろうな。学外に恋人のいる生徒が、流れ弾で八つ当たりにあったりするかもしれない。」
    まぁそれは今に始まったことではないけどな、と副寮長は軽快に笑う。
    ……こういう時ばかりは、彼がちょっとだけ憎らしい。

    「……じゃあ、とにかく私も、友人にも恋人にも、チョコを渡さない、という規則に従う、という事ですね?」
    ジト、とした目で一見優しそうな笑顔を浮かべている彼に確認をとっても、顔色ひとつ変えずにただ笑っているだけだ。
    逆に実際どこまでも優しくて、大好きな赤髪の寮長は、大きな灰色の瞳でひとつ瞬きをして、ふむ、と口元に指を沿えて考え込む仕草をする。
    ああ、彼を困らせるつもりは毛頭ないのに、その姿を見て自分も動揺してしまう。

    「……あくまでも匿名で、片恋慕の情を送るだけの事は確かに禁止したい。かと言って、名乗りを上げればいいというものでもない。それこそキミ達以外の生徒が、勝手に不毛ないがみ合いを始めかねない。…ボクが重んじているのは、学園内や寮内の平穏だ。恋人同士という極めてプライベートな関係性にまで、それを強いるつもりはないよ。……繰り返すけれど、学園内の治安を脅かさない範囲でなら、ね。」

    つまり、元々同室である自分達の部屋や、誰にも気付かれないプライベートな空間であれば、好きにしていいと。
    この優しくて優秀で、そして自分達にはちょっぴりだけ甘い我等が寮長は、言葉を選んで、自分達の体裁を整える為の言葉をくれる。
    とても隣に立つ意地悪な副寮長の幼馴染だとは思えない。
    だってそのひとは今、『貰えて当然』みたいな顔でニコニコしている。


    ……私の恋人は優しい。本当に、私に対してどこまでも優しいのだけれど、それと同じくらい、結構、割と、なかなか、意地悪だ。

    そしてそれは自分も同じで。

    周りのひと達はみんな私の事を優しい、お人好しだと言ってくれるけれど、そんな事は、全然なくて。
    世界から隔絶された環境で育ったとしても、私は魔女であり、つまりはヒトでもある訳なので。


    ―――成る程。デュースくんやエペルくんから話を聞いてもあまりピンときていなかった感情は、これなのかもしれない。
    盗んだマジカルホイールで走り出す…のは、やっぱりよく解らないけれど、多分、きっと、それに近いものな気がしている。
    だって、『それ』をしてみたい、という欲求を確かに感じるのだ。
    加えて、これはもう既にみんなが知っている、血と身体に染み付いてしまっている、私の悪癖。

    【一度腹を括ったら、それ以外のことが目に入らなくなる。】

    今回はその『それ以外』に、目の前の愛しくて憎らしい恋人も、この際一旦、入れてしまおう。
    そこまで考えて、途端にわくわくした気持ちが湧いてくる。
    自然と口元が綻んで、笑顔になってしまう。
    今の私の顔は、もしかしなくても愛しいひとのそれと似た、意地悪なものだったかもしれない。
    眼鏡の奥のマスタードが少し意外そうな光を宿したのが見えて、小気味が良い。

    「優しいお気遣いとお言葉、有難うございます。リドル寮長。大好きです。大好きな寮長の手を煩わせないように、善処しますね。」

    書類類がきちんと整えて置かれているテーブル越しに身を乗り出して、座っている彼の頭を抱き寄せてハグをする。距離や身長の関係で、自然と胸の辺りに彼の顔が埋まってしまった。胸元に埋められた小さめで形のいい頭が強張ったのを感じて、あ、息がし辛いかなと思い、あくまでも優しく抱き締めて、抱え込んだ頭頂部に愛しさを籠めてちゅ、とキスをした。
    本当は一緒に頭を撫でたい欲求もあったけれど、それを先輩にするのはあまり良い事ではない?らしいので、すぐに離れて、心からの笑顔を浮かべる。
    突然の事に驚いたのか、まだ固まっている様子なのが少し気になったけれど、バレンタイン当日までの時間は少ない。それこそ一秒でも惜しいので、そのまま寮長室を後にした。

    「それではこれで。失礼します。リドル寮長。」
    笑顔と声は寮長へ。そしてドアを閉める際に隙間から垣間見えた彼は、少し眉を寄せて、怪訝そうな表情を浮かべていた。



    『―――お前みたいなのがどうしてこの学園に来たんだろうな?』



    入学してからずっと、色んなひとに何度も何度も言われた言葉。
    そんな事ないですよ。
    私はちゃんと、ナイトレイブンカレッジに相応しい資質を持った、ヒトの子です。
    だってロイヤルソードアカデミーの生徒さんだったら、
    恋人のあんな顔を見て、愉快な気持ちになることなんて、ないでしょう?










    【 バレンタイン当日 放課後 NRC校舎内 教室 】

    あの大々的な告知のおかげか、授業は何事も無く無事に終わった。

    いつもなら一息ついている所だが、自分のメイン行事はこれからなのだと気合いを入れ直す。
    今日の計画は、とにかく事を進める順番が大切だ。
    まずは、購買部に向かわなければならない。

    のだけれど、同じ授業を受けていたエースくんとデュースくんの目があり、彼らにそれを知られるのは少し都合が悪いので、2人が片付けをしながら雑談している隙を見計らって、制服のポケットから小さな包みを取り出してその一部を少しだけ緩めて、落し物をした風を装って机の下に潜り込む。するとグリムくんがその包みから洩れる匂いに釣られてそれに続いてくれた。
    一応匂いが洩れない特殊な紙を使っているのだけれど、やっぱり鼻がいいんだなぁ。確かにサバナクローの人達にはバレてしまうというのも納得出来る。

    「お前。何か美味そうなモン持ってるんだ…ング!?」
    グリムくんが口を開けた際に、その中に四角いキューブ状の塊を指でうに、と押し付けて舌に乗せれば、その口を自分の両手で覆って、くりくりなお目目をきらきらさせた。尻尾も嬉しそうに揺れている。
    ふふ、可愛い。どうやら気に入って貰えた様で安心する。
    この様子を見ていたい気持ちは山々だけれど、彼にはお願いしたい事があるのだ。だからこれは、そのお願いの対価の分。

    (美味しい?)
    口には出さずに呼び掛ければ、グリムくんは大切に味わうように口をもぐもぐと動かしながら頷く。
    (あのね。お願いがあるの。私の荷物を持って、ハーツラビュル寮に持っていってくれないかな?グリムくん達のお部屋に置いておいてくれれば、後で取りに行くから。それと、私はこれからちょっと用事があるから姿を消すけれど、エースくん達には「先生に急ぎの用事を頼まれてるから先に出て行った」って、伝えてくれる?)
    (何でオレ様がそんな事しなきゃ…)
    (ここにもうひとつ、グリムくんのお口に入ってるものがあります。)
    (オレ様に任せておくだゾ。)

    掌を引っくり返す速さにこの学園の生徒らしさを感じて思わず小さく笑ってしまう。
    (お願いね。それと、今食べてたのはお願い事のお礼。で、これは、)
    包みから新しいものを取り出すと、グリムくんは大きく精一杯大きく開けて準備万端だ。
    乗せやすいように出された舌の上にそれを優しく置いて、首元をすりすりと撫でる。
    (私の事苦手なのに、何度も助けてくれたり、一緒にいてくれる、日頃の感謝の気持ちです。)
    ひとつめのものよりも更によく味わうように大事そうに口をもごもごさせながら、(何のことなんだゾ?)とでも言いだけに首をこてんと傾げる。可愛いなぁ。もっと撫でなでしたいけど、もう行かないと、エースくん達に気付かれてしまう。

    (いつも有難う、ね。)
    最後の一撫でと共に笑いかけて、口の動きだけでお礼の言葉を紡ぐのと同時に、右手はホルダーから杖を、左手は胸ポケットから魔法陣を描いたメモを取り出して、それを床に縫い止めるように杖の先で軽く突いて、魔法を発動する。


    『Léim』


    ふ、と自分の体重が無くなったような浮遊感を感じて、音にはならない声で唱えた次の瞬間には、沢山の物や箱が積み上げられた隙間の床に収まるように座っていた。



    「Hey!いらっしゃい!小魔女ちゃん!」

    カウンターに上半身を預けていたサムさんが、特に驚きもせずいつも通りに声をかけてくれる。
    事前にちゃんと話を通していたとはいえ、あまりにもいつも通りの快活な声での歓迎に、思わずしーっ、と人差し指を口に当ててこちらの方が慌ててしまう。

    「まだ授業が終わったばかりだから、お客さんが来るまでに少なくとも数分はかかるから大丈夫だよ。商売人として守秘義務にはちゃんと従うさ!」
    勝手知ったる、とばかりにパチンとウインクしてくれる。
    この余裕を、私もいつか大人になった時に持てたらいいなぁと羨望の眼差しを送りながら、時間が無いことを思い出して念の為にカウンターの向こう、お客さんがお買い物をする場所からは見えないように姿勢を低くしながら、密かに憧れていた言葉を口に出す。

    「頼んでいたものは、用意出来ましたか?」
    「Yes!もちろん!このサム、お客さんが望んだ物はどんなものでもIn stock nowさ!そちらの扉からどうぞ?」
    「ありがとうございます!ちょっと失礼しますね」
    ビーンズデーの時にイデア先輩が引き籠もって…篭城して?いた秘密の入り口をそっと開けて、頭と片手だけをその中に突っ込む。

    「小魔女ちゃん?もう少しでお客さんが来ちゃうから扉は閉めた方がー…」
    「…これ!サムさんへのお礼です!」
    振り返りながらそう言って、先程グリムくんにあげたような四角い包みを掌の上に掲げる。
    「御代ならもう先払いで貰っているよ?」
    「それは商売としての正当な対価です。これは日頃から色々素敵なものを仕入れてくれたり、今日みたいな悪巧みに付き合ってくれる、ほんのお礼の気持ちです。受け取って…じゃなくて、食べてくれると嬉しいです。」
    「俺にも、いいのかい?」
    「もちろんです!あーんして下さい。『受け渡し』は禁止されているので、今日の私はえっと…そう、『押し付けバレンタイン』の魔女、です!」

    手渡すことが駄目だというなら、直接食べさせてしまえばいい。
    もちろん詭弁である事は承知の上だ。それでも一方的なこの方法なら、罰を受けるのも私一人だけで済むだろう。そしてそれをより確実なものにする為に、まだいくつかやらなければならない事がある。

    私が今この場で考えたちょっと間の抜けた2つ名と宣言と聞いて一瞬ぽかんとした顔をしたサムさんは、アッハッハッと心底愉快そうに笑った後、少し上半身を下げてくれた。

    「正直、先払いの報酬はちょっと貰い過ぎたかな?と思ってたんだ。なるほど。悪い子だね、小魔女ちゃん。有難く頂くよ。どうぞ今後ともご贔屓に。今日みたいな楽しい注文も大歓迎だから、Mr,Sのミステリーショップをよろしくね!」
    「こちらこそ、よろしくお願いします。」

    包みからデフォルメされたドクロの形をしたチョコレートを取り出して、開けてくれた口に放り込む。オーソドックスなミルクチョコレートだ。
    「ちょっと甘過ぎるかもですが、サムさんは働き者なので、その心配も兼ねて、です。ちゃんと適度に休んで下さいね?」
    「フフ、君の本命くんと重なるかい?」
    「さぁ、どうでしょう?…と、失礼しますね。」
    ドアにぶら下がっているベルが音を立てたので、軽く頭を下げて例の秘密の場所へ身を隠すように入り込む。
    ドアが閉まる隙間の先で、「Good Luck.」と小声で呟きながらまたパチリとウインクをしてくれて、笑顔を浮かべながらそっと扉を閉める。

    「喜んでくれて良かったね。監督生さん。」
    背後から高くて可愛らしい男の子の声が聞こえて、笑顔のまま振り返る。

    そこには私が学園生活を送るにあたってどれだけお世話になっているか分からない先輩のタブレットと、それを膝の上に置いた弟さんが椅子に座っていた。
    「うん。オルトくんも有難うね。…あれ、イデア先輩は?」
    「監督生さんが今日限定の2つ名を名乗ったのを聞いた瞬間に『可愛過ぎか』って息を吸いながら呟いてそのまま倒れたよ。いつもの事だし倒れたのもベッドの上だから安心して。」
    「そ、そう…?あ、でも直接…、ううんリアルタイム?でお礼を言えないのはちょっと残念かな。」

    オルトくんの言う通りいつもの事なんだけれど、イデア先輩もよければ来て下さいって声をかけていたのでそれも含めて重ねて残念だ。
    「『こんな小さな密室空間でなんて絶対無理。息が出来ない。申し訳なくて。』だって。」
    「確かに、イデア先輩痩せてるけど背は高いから、窮屈な思いはさせちゃうかも。」
    この秘密基地を拡張してもいいか今度サムさんに聞いてみようかな、なんて考えていると、オルトくんは何か物言いたげな、どこか遠くを見るような目をしている。

    「どうかした?」
    「ううん。何でもないよ。それよりこれ、お願いされていた物。大丈夫そうか確認してくれる?」
    「わぁ、有難う!……なるほど、こういう素材になるんだね……すごいなぁ……。着てみるね。」
    オルトくんが渡してくれたのは、一見白い布地で出来た長い丈のローブだ。袖に腕を通して身に付けて、更になるべく身体全体に纏うにして、仕上げにローブを深めに被る。
    と、見下ろした視界ではローブに包まれた自分の腕や足元が消えて、自分が立っているはずの床が何も無い状態で見えていて、その不思議な光景に感歎の声を上げる。

    「うわぁ、すごいすごい!学園の屋内ではほとんどこれで見えなくなるの?」
    「うん。防犯カメラも大分数が増えたからね。屋外でも、周りの木々とか空と混じるように補正されるから、大丈夫だと思う。試しに写真を撮ってみるね。」
    パシャ、と1回シャッター音が鳴って、目の前に小さなウィンドウが表示される。
    そこには恐らく自分が映っているはず…なのだが、画面には背後のドアだけが表示されていた。

    「これって、手に何かを持っていたりしても大丈夫?出来れば箒で移動しようかなって思っていたんだけど。」
    「監督生さんが髪に着けてるピンの認識疎外の魔法もかなり強いし、このふたつが揃っていればほとんど問題はないと思うよ。ただ、やっぱり聴覚や嗅覚とか、勘が鋭いヒトに気付かれる確立は上がってしまうから、そこはまた対策をして貰ったほうがより確実、かな。その時は認識を阻害するというよりは、誤認させた方が効果的だと思う。」
    「誤認…なるほど。うん、分かった。アドバイス有難う。すごく助かります。……ちなみに、オルトくんには今の私って、見えてる?」
    「うん。僕には熱に対するセンサーとか、声の発生源とか、そういった総合的な情報が見えるからね。」
    「そっかぁ…魔導工学ってほんとにすごいね。防犯カメラとかの背景情報を光学迷彩に反映してる…んだっけ。……素人の私でも、ものすごい技術だって分かるのに、イデア先輩はまたお礼を受け取ってくれないの?」
    「兄さんはお金に困ってない…というか、そもそも興味がないからね。むしろ監督生さんの手伝いをするのを逆に楽しんでるみたいだから。そのローブも楽しそうに作ってたよ。それを更に応用して企業に提供して、充分原価や開発費以上のお金を貰っているみたいだから、気にしなくていいと思う。」
    「うぅーん……。でもね、魔女としてはやっぱり対価が不釣合いなんじゃないかなって、どうしても思っちゃうんだよね……。」

    フードを外しながら何とか天秤に載せられるようなお礼は出来ないだろうか、と考える。
    イデア先輩は、私が誰かの誕生日のプレゼントに何を贈ろうか悩みに悩んでいる時に、『歌を歌ってあげるといいと思うでござる。オルトの時にもそれでかなり拙者にも嬉しい事がありましたし。もちろん全面的に協力しますぞ。』と申し出てくれて、その言葉の通り、イグニハイド寮生の皆さんにも協力して頂いて、私にもよく分からない何だかものすごい技術力で、歌う舞台や演出の監修をしてくれるのだ。そしてその時にも、やっぱり金銭的なお礼をさせてはくれない。

    この世界にきて、『金銭』という世界共通で適用され、人々に染み付いている概念は、とても分かりやすくて素晴らしいものだと思うのだけれど、それに興味が言われてしまうとなかなかに困ってしまう。またそういった感覚のひとがこの学園には多いので、お誕生日プレゼントを何にしようと結構迷ってしまう事も多いのだ。
    もう何度も何度も(出来れば直接会って)お礼がしたいと毎回欠かさずに口に出しても、『いや、監督生氏が歌っている御姿を今現在の最先端技術で演出して、更にそれを最高品質で録画していいという許可を頂いているだけで、ガチで充分なので。神報酬なので。』と時々聞ける、冷静で落ち着いたとてもかっこいい声で断られ続けている。

    「録画…、かぁ………、! そうだオルトくん、今日は渡すものがあってね、それはそれとして、ひとつ…ふたつ?お願いしても、いいかな?」
    「? それは構わないけど…」
    可愛らしく首を傾げているオルトくんが座っている場所のすぐ横にある、先程サムさんにあげるチョコを取り出す為に一度手に取り置いていた本の形をしたポシェットを、作業台の上から持ち上げる。

    分厚い皮のカバーがついた本の形をしていて、持ち主が表紙の魔法石に触ると開閉出来るようになっているので、そのまま表紙部分にあたる蓋を開けた。中は薄いけれど頑丈な木で出来ていて、それを宝石箱のように赤いベルベットが覆っている。
    そこにきちんと収まった色とりどりの紙で包まれたキューブ上のものとは別に、透明な小さな袋に入ったチョコレートを取り出す。
    甘めのチョコを薄い板状に固めて、チョコペンでオルトくんのお誕生日ケーキの時と似た、だけど表情は違う2人を描いたものだ。

    「これ。イデア先輩とオルトくんの分です。駄菓子に使われるような配分で作ったから、多分イデア先輩の好みな味になってると思うんだけど。」
    「この模様も、監督生さんが?」
    「うん。クッキーにアイシングをするのは慣れたつもりだっただけど、チョコはまた勝手が違って、ちょっと歪になっちゃった。ごめんね。」
    「そんな事無いよ。すごく可愛い!ありがとう、監督生さん!僕も嬉しいし、兄さんもきっと喜ぶと思う。……食べるのはまた3Dデータにした後かな……」
    最後の方に呟いた言葉はどういう意味が解からなかったけれど、誕生日の時と同じように喜んでくれたら嬉しいなと思う。

    「でね、さっきサムさんに宣言した通り、私は今日、『押し付けバレンタイン』の魔女だから、これからみんなのお口にチョコを放り込んでいくつもりなの。でも、残念ながらイデア先輩はここにいないし、今寝ちゃってるみたいだから…、「あーん」するところを、オルトくんに録画して貰っていいかな?」
    「想定される可能性のうち、かなりの高確率で、トレイ・クローバーさんに怒られそうな気がするけど……いいの?」
    「いいの。今日の私は悪い魔女だから。」
    恋人の名前を出されるのと同時に、あの余裕綽々、というような笑顔を思い出して、ぷく、と片頬を膨らませる。

    その顔をきょとんとした様子で見ているオルトくんにすぐに表情を戻して、「チョコは持っている体、ってみたいな感じでいくね。」と窺いを立てれば、こくりと頷いて、撮影までのカウントダウンをしてくれる。
    自分で言いだしておいてちょっと緊張しつつも、ちゃんと日頃の感謝の気持ちを伝えなくては、と軽く何かを掴んでいるような手の形を作る。

    『イデア先輩。いつもいつも、沢山の助言やお手伝いをしてくれて、本当に有難うございます。あ、イグニハイド寮生の皆さんにも、お礼を伝えて頂けると嬉しいです。…えっと。ささやかですが、日頃の感謝を籠めて、バレンタインのチョコレートを作りました。直接は残念ながら無理そうなので、画面越しで失礼しますね。出来ればチョコを手に取って、合わせて食べてくれたら、嬉しいです。いきますね?はい、『あーん』………、です。……え、と。その。これからも、よろしくお願いします。………、も、もういいよオルトくん、止めて!』

    『あーん』の後の沈黙から恥ずかしさが湧き上がり、最後の方のメッセージは閊えて不自然なものになってしまった。顔が熱い。きっと赤くなっていく様子も映ってしまっただろう。
    やらなければ良かったかな、という思いと、でもちゃんと伝えたい、という思いで熱くなった頬を手で覆って俯いてしまう。

    ――そうだ。録画なんだから、都合の悪い所はカット出来たり修正?したり出来るはず。ケイト先輩がものすごい指捌きでマジカメに上げる動画を編集していた姿を思い出して、ぱっとオルトくんを見つめる。
    と、オルトくんは私が何を言いたいのかを察知していたように、苦笑いして首を横に振った。

    「ごめんね。僕と監督生さんの会話とか一部始終のやり取りは、改編出来ないようになってるんだ。正直そこまでするのは僕もどうかと思うから、この仕様に関してはむしろトレイ・クローバーさんに報告して、一度叱って貰った方がいいかも。」
    「……オルトくんこそ、今の会話をイデア先輩に怒られない?大丈夫?」
    イデア先輩は優しいし、特にオルトくんに対して怒ったりはしないとは思うけれど、それでも心配になる。
    「大丈夫だよ。常々ちょっとやり過ぎじゃないかなって僕が思ってたのは兄さんも知ってるだろうし。気にしないで。それより、今のそれ、僕用にも録画させて貰ってもいい?」
    「もちろんいいよ?オルトくんのお願いが叶えられるなら私も嬉しいし。」

    即了承した私に対して、ふふ、と肩を揺らして笑うオルトくん。
    「理由を聞く前に引き受けてくれて有難う。でも一応事情を話しておくね。学園で色んなイベントとかを見てて、僕も味覚を感じられる機能が欲しいなって兄さんに言ったら、暇を見ては色んな装置やプログラムを組み立ててくれているんだ。それで、テストが出来る段階になったらきっと初めての経験にちょっとどきどきすると思うから、その背中を押してくれるように、さっきの監督生さんみたいに励まして欲しいなって。」
    「わぁ、その機能が実装されたら、オルトくんにも何か作ってあげられるね!私も嬉しいし、楽しみだねぇ!うんうん。私もここに来て色んな国のお料理を食べるようになったから、どきどきするの分かるよ。匂いとは全然違う味がするものとかもあったり、見た目がちょっと…って思っても食べてみると美味しかったりとか。私もまだまだ食べた事がないものいっぱいあるから、オルトくんと一緒に味覚の冒険が出来たら楽しそう!」

    そんな事も出来るんだ、とつい興奮して捲くし立ててしまい、そういえばタイムスケジュールがかなり詰まっているという事にふと気付いて、そういった意味でも落ち着くように、こほん、とわざとらしく咳をする私を、オルトくんは相変わらずクスクスと笑って見守ってくれる。
    こういうところは、イグニハイド寮生の人達ととても似ているらしい。一通り話した後に恥ずかしい気持ちが残るのも同じなのかな、と思うと、親近感を感じてしまう。

    「…えっと。じゃあ、またカウントダウンをして貰っていいかな?」
    「うん。始めるね。」
    3、2、1、とオルト君の声よりも無機質な機械の音声が、数字を刻む。

    「オルトくん、きっとオルトくんも私と同じで、色んな味を知りたいなって思ってると思うんだ。今目の前にあるものは美味しいかもしれないし、逆に美味しくないかもしれないけど、それを比べる為にも、色んなものに挑戦していこう?はい、『あーん』………、………何か興味深い味だったら、私にも、教えてね?」

    やはり『あーん』の後の沈黙をどう上手く区切ればいいのかが分からなくて、余計な一言を付け加えてしまったけれど、オルトくんの瞳がジッ、と音を立てて、「ありがとう。」とにっこり笑ってくれたのでほっとする。

    「今ので、良かった?」
    「うん。監督生さんが言ってた通り、色んなものを味わいたいって思ってるから、実現するのがますます楽しみになったよ。どうも有難う。」
    「ふふ、どういたしまして。」
    改めてお礼を言われると照れてしまう。けど、私も役に立てて素直に嬉しい。

    「監督生さん。時間は大丈夫?」
    そんなほわほわとしていた気持ちでいたら、オルトくんが的確な指摘をしてくれてはっとする。
    本当によく出来た弟さんだ。というか、ただ私が駄目なだけな気もして、しっかり計画を完遂出来るようにと、戒めも籠めて自分で自分の頬を軽く抓った。

    ぱたんと本型の入れ物の蓋を閉じる。ボストンバックと同じで、物を収納、保存する為に特化した魔道具でもあるので、これで自分が激しい動きをしたり揺れたりしても、内部の物はその干渉受けない。一度ローブを脱いで紐部分を斜めがけにして、再度ローブを纏い、フードも被る。

    「うん。もう行くね。イデア先輩が起きたら、このローブのことも含めてお礼を言っておいてね。」
    「うん。わかった。あまり無茶なことはしないで、気をつけてね。僕も応援してるよ。いってらっしゃい!」
    「えへへ。有難う、いってきます!」
    完璧なお見送りと応援の言葉に、足が軽くなったような気分になる。

    秘密のお部屋のドアをそーっと開けて、なるべく低く屈んだ姿勢のまま隙間から外に出る。何人かお客さんがいるのをカウンターの下から確認すると、サムさんはお店のフロアに立って新商品をお勧めしているようだった。
    カウンターの内側は狭いから、きっと私に気を遣ってくれたんだろう。
    サムさんも、オルトくんも、イデア先輩も。本当にみんな親切にしてくれる。やはりちゃんと、日頃溜まりに溜まった感謝の気持ちを伝えたいと、改めて強く決意を胸に抱いて、そのままカウンター下の隙間からごそごそとフロア側へと這い出る。
    ……抱いた決意とはちょっと噛み合わない姿だけれど、見えていないのだから気にしない事にした。

    お店の扉は閉じているけれど、押せば簡単に開く作りなので、勝手に開いたとしても風か何かのせいだろうと思うはず。
    扉の向こうに誰もいない事を確認して、それでも何となく、静かに扉を開けて外に出た。
    扉が閉まる寸前に、「セーンキュー!」という大きな声が聞こえてきて、私も店内のお客さんも皆同時にビクッとしたが、次の瞬間にはふふっ、とつい声を出して小さく笑ってしまった。


    ――さぁ、まずは最低限、済ませておかなければいけない事から。


    ローブの下の制服の胸ポケットからイミテーションの魔法石が付いたマジカルペンを取り出して、石の部分に軽く唇を寄せる。
    次の瞬間にペンは消えて、代わりに私を持ち上げるようにしてお尻の下に箒が現れた。
    この子にも、念の為に感知し辛くなる魔法をかけてある。

    「今日はいっぱい頼りにするから、よろしくね。」
    横を向いた状態で腰掛けた手で箒の柄を握り、同時に藁の部分を優しく撫でてあげる。
    『任せておけ』と言わんばかりに、ヒュッと風を切る音が鳴り、一直線に鏡舎の方角へ飛んでいく。



    最初の目的地は、オクタヴィネル寮だ。





    【 同 NRC内 オクタヴィネル寮 モストロ・ラウンジ カウンター内側 】




    「おや、そこに隠れていらっしゃるのは、一体どなたでしょう?」

    モストロ・ラウンジは元々照明が薄暗いし、内装もセンス良く統一されていて色味が揃っているから、入り口から人にぶつからないように壁沿いに歩いてここまで来るのは、特に難しいことではなかった。
    けれど、カウンターに立ってグラスをピカピカに磨きながら微笑んでいるこの背の高い先輩は、綺麗な立ち姿を崩すことなく視線を手元に落としたまま、ごく自然な調子で言葉を紡ぐ。




    ※略※




    【 同 NRC内  校舎 学園長室付属外部デッキ】




    箒に乗って降り立ったのは、学園長室からのみ出る事が出来る外部デッキだ。
    石造りのそこに着地するのと同時にフードを外す。
    けれど、私の存在は学園長の目には既に映っていたようで、彼は特に驚きもせずに扉を開けてこちらへと歩いて来ていたので、形としては礼儀を示す為のものになってしまった。
    さすが、この学園で一番偉い人だなぁなんて、呑気に考える。

    「困りますね監督生さん。ここは生徒の立ち入りは禁止されているんですよ。」
    「すみません。校舎内と通るよりも早くて確実だと思ったので。」



    *ここまで。
    弊監は最初から学園長の事を警戒しているというか、その先の「理事長」の事を気にしています。ゆあまい2ndさんの開催日の今日この頃ですとなかなかのヒリつき具合ですね。
    あとこれ以降どういうルートで回るんだっけと首を傾げています。
    ここまでは理由覚えててオチも覚えてるんですが……そもそも考えてなかったのか……
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