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    mee30232362

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    mee30232362

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    貴方の隣にいたことを。ひとりになると思い出す。

    あの時のハリーの顔。
    ハリーは茶化さずに、誤魔化さずに。

    私の想いに応えてくれた。

    嬉しかった。


    でも。


    ***


    冬の風が気持ちいい。
    大会が終わって一息着いた平日の午後。

    ほまれは少しだけ久しぶりに、学校帰りにビューティーハリーに向かっていた。
    足取りが重い。

    あれから私は初めてハリーに会う。

    ビューティハリーが遠目に見えて来て、ほまれは立ち止まった。


    告白して良かった。
    後悔はない。

    モヤモヤしていた気持ちに整理が付いたし、子どもだからって誤魔化したりぜずに、きちんと向き合ってくれたハリーはやっぱり私の好きになったハリーだった。


    でも。

    すぐに全てが元通り、なんて訳でもない。

    私は、ハリーにどんな顔で会えばいいんだろう…。

    いつも通り。
    …いつも通り?

    いつも通りって、どんなだっけ?



    重たい足を一歩踏み出す。

    と、カサっと頭に何かが触れた。

    「何してるんや?」
    「・・・・っ?!!」

    振り向くとそこには、いつものアイツ。

    「はっ!!ハリー?!!」

    頭に何かが当たる感触。
    カサカサと音がする。
    小さな紙袋??
    紙袋が、頭に乗ってる??

    ほまれが頭に手を伸ばすと、それを見てハリーが紙袋から手を離した。

    「何…コレ」
    「イケメンサンタからのプレゼント」

    笑顔で応えるハリー。
    それはいつもと変わらない、あの笑顔。

    ほまれは小さな手のひらサイズの紙袋を開いて中身を見る。

    「あ、クッキーだ」

    うさぎの形のアイシングクッキー。

    「近くの店で見かけてな。なんや、ほまれが好きそうやなぁと思ってん」

    ほまれはクッキーを眺める。
    どこかで見た形…、

    「このうさぎ…なんか、似てる」
    「ん?」

    クッキーを見て思わず微笑む。

    「私の持ってるぬいぐるみに似てる」

    ハリーもクッキーを覗き込んだ。

    「ああ、お泊まり会した時のうさぎか?」
    「うん。きゃわたん。こんなの食べられないよ」

    よく見ると細かく模様が描かれたクッキー。
    食べるのが勿体ないのは、たぶんそれだけじゃなくて。

    ほまれはクッキーを紙袋に仕舞う。

    「ありがとう」

    ハリーはいつも通り。

    「どういたしまして」

    変わらず私に笑いかける。

    いつも通り…今日はアイスじゃないけれど。
    こうしてまた、私を甘やかしてくれる。
    優しくしてくれる。

    私だから、特別じゃない。
    でも、気を使わずにいてくれることが、今はとても心地良い。

    「ほな、行こか。
    みんな待っとるで」

    言ってハリーが歩き出した。

    「うん」

    ほまれはハリーの横を歩く。

    あと少し。

    あと、少しだけ。
    あなたの隣に居させて欲しい。


    End***




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