いや、けっこう賭けだったよ 修羅の仮面に、純真のケーキ、魔王のイクリプスと虹彩のイクリプス。名だたる素材と霊宝をふんだんに使用して香炉を作った。ウァプラがどんな反応をするかはわからなかったが、フォロンを贈ったときも、フラワーリースを贈ったときも、どんな贈り物をしたとしても、それが自然の営みに反しているものでないかの確認だけはとるが、いつだって受け取ってくれる彼を思い出して微笑んだ。軍団長の立場からメギドラル流の報酬として贈り物をするのはもちろんだが、いつも以上に気持ちを込めて作ったつもりだった。
「テメェなんでこんなところにいやがる」
屋敷で出迎えてくれたウァプラはいつも以上に眉間のシワが深くて思わず笑ってしまった。いつか関わったカジノで見た秘石エスメラルダのような美しい緑色の襟が目を引くスーツを着ていたので、いいものが見られたなとさらに心が弾んだ。
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