レーナの憂鬱と里帰り「それじゃ僕はパパ…じゃなくて、パンド先生から依頼された物を届けに行ってきますね」
「うん、いってらっしゃーい」
先日の一件で更に被害が拡大したフォルカ村は建物が崩壊し今も辺りの空気は焼けた後の臭いが残っていた。あの穏やかな日常を取り戻そうとカラ元気であろうとも村の人々は明るくふるまい、共に助け合い生活を続けている。
帰省をする度、声をかけてくれる皆はいつも変わらず温かかった。
「琴音の家…」
ぽつりそう呟き困った顔をするレーナと自分の家を見つめる。
生まれた時から住んでいた思い出の家は今も壊れたままだ。
なかなか建て直す余裕もなくそのままにするしかなく、屋根や壁も、今や全て粉々に転がっている。
何度帰って来てもそれはやっぱり夢ではなく、帰る家がないことは琴音もとても寂しい。
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